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【SPECIAL】つなぐ夢のバトン~JFAこころのプロジェクト

2024年03月15日

【SPECIAL】つなぐ夢のバトン~JFAこころのプロジェクト

2007年に「夢の教室」がスタートしてから17年目となる2023年、過去に「夢の教室」を受講した児童がアスリートとなり、夢先生として登壇するという、夢のバトンが実現しました。また、自治体の職員となったり、プロジェクトを支援する企業に就職したりするなど、「夢の教室」の開催を支える立場になる人材も出てきています。

夢を持つことやそのために努力することの大切さを伝えていく

「夢の教室」で蒔かれた種が実を結び、そこから生まれた新たな種が子どもたちの心に蒔かれ、芽吹く日の訪れを待っています。

JFAこころのプロジェクトは、いじめやいじめを苦にした自殺、その連鎖が社会問題として取り上げられていた2006年、「子どもたちのために、サッカーは何ができるだろう」という思いから誕生しました。翌2007年には小学5・6年生を対象にした「夢の教室」がスタート。サッカー選手やそのOB・OGを中心とするアスリートが夢先生として小学校を訪ね、体育館で児童と共に体を動かす「ゲームの時間」と教室で授業を行う「トークの時間」からなる「夢の教室」を実施し、夢を持つことやそのために努力することの大切さを伝えてきました。

2008年には初の海外授業を実施し、2010年には対象を中学生にも拡大。夢先生もアスリートに限らず、芸術、芸能、技能五輪選手など幅を広げています。

2011年の東日本大震災発生後には、日本体育協会(現、日本スポーツ協会)に働きかけ、日体協、日本オリンピック委員会、日本トップリーグ連携機構と連携し、スポーツ振興くじ(toto)の助成を受けて、被災地域を対象とした授業、「スポーツこころのプロジェクト」を立ち上げ、2021年3月まで10年間継続しました。

新型コロナウイルス感染が拡大した2020年からは非対面式となる「夢の教室」オンラインを開始。コロナ禍の収束とともに対面式の授業を再開して今日に至っています。現在は小学5年生、中学2年生を対象に全国各地で「夢の教室」を開催しており、2022年度終了時点で授業回数は2万291回、参加した児童・生徒は60万7667人に上りました。

2007年4月19日、第1回「夢の教室」が文京区と品川区の小学校で行われた。
写真は品川区の小学校で夢先生を務めた、サッカー指導者の羽中田昌さん

夢のバトンを自らの手で未来へつなげていく

2007年からこれまでの間に誕生した夢先生は2022年度終了時点で1477人。そして、2023年には「夢の教室」のバトンを自らの手で未来へつなげていく夢先生が現れました。その一人が、2023年6月に千葉県市川市立稲荷木小学校で夢先生を務めたフィギュアスケートの北京冬季オリンピック銀メダリスト、樋口新葉選手です。

東京都新宿区立淀橋第四小学校の5年生だった2012年2月に「夢の教室」を受講した樋口選手は当時、「夢シート」に「スケートでオリンピック選手になる」と書き、夢をかなえるために努力することとして「あきらめないで練習する」と書き込んでいました。そして、10年後の2022年2月に行われたオリンピックで夢を見事に実現したのです。

「夢の教室」に帰ってきた樋口選手は、今度は教壇に立ち、黒板にチョークで「夢曲線」を描きながら夢をかなえるまでの道のりを、具体的な体験や思いを交えながら語りました。

「ゲームの時間」と「トークの時間」合わせて約90分の授業を終えると、樋口選手は充実感を漂わせながらこのように感想を述べました。

「先生という立場で子どもたちに夢の授業をするのは、私自身初めての経験でした。なかなか子どもたちと触れ合う機会もなかった中で夢先生の授業ができ、とてもうれしく思います。
私は小学5年生のときに夢先生の授業を受けました。そのときのまっすぐな気持ちと、その後夢をかなえるまでのことを思い出しながら話をしました。みんな真剣に、一生懸命に自分の夢について考えて、発表をしてくれて、あらためて子どもたちの純粋な心に感動しました。自分が経験したからこそ分かることや、『夢は人と違ってもいい』ということ、そして何よりも『諦めない気持ち』を大切にしてほしいと思います。いろいろな壁にぶつかるかもしれないですが、それぞれが自分らしく輝けるように願っています」

樋口選手は「夢の教室」を受けた児童が夢先生となり登壇した初のケースとなった

夢を実現し、次世代へ

プロ野球の北海道日本ハムファイターズで主力として活躍する野村佑希選手も夢先生として「夢の教室」に戻ってきたアスリートの一人です。

野村選手は群馬県伊勢崎市立境剛志小学校の5年生だった2011年6月に「夢の教室」を受講。当時の「夢シート」には「プロ野球選手になってたくさんうってかつやくしたい」と書き、そのために努力することとして「すぶりをたくさんする。長いきょりをはしる。かべあてをたくさんする」と書いていました。

2023年12月に千葉県松戸市立馬橋小学校で行った「夢の教室」では、小中学校時代に苦労したことや高校時代に「甲子園優勝」という目標を立てて実現したこと、プロ野球選手という夢もかなえた今はまた新たな目標を立てていることを語りました。

体育館では児童のトスから豪快なバッティングを披露し、子どもたちを大喜びさせた野村選手。授業を終えるとこのように感想を述べました。

「今回、夢先生として登壇するにあたり、初めて自分の人生をしっかりと振り返りました。そして、自分の今の目標についてもあらためて認識することができました。実際に登壇してみて、最初はけっこう緊張していました。子どもたちの反応が良く助けられたところもありましたが、とても楽しく授業をすることができました。特に『ゲームの時間』では、みんなで協力してすごくたくさん意見を出して、できた・できないということを繰り返しながら、最後にクリアまでいくことができたのが楽しかったです。僕も小学5年生のときに『夢の教室』を受けていたのですが、僕が小学生だったころよりも子どもたちが明確な夢を持っていたことに驚きましたし、『夢シートに書ききれない』という子もいました。みんなの夢を僕も応援したいと思います」

自身の夢をかなえ夢先生となった野村選手は「子どもたちの夢を応援したい」と語る

一人でも多くの子どもたちに「夢の教室」を届けるために

千葉県浦安市立明海小学校の5年生だった2010年1月に受講し、現在は女子バスケットボールリーグのトヨタ紡織サンシャインラビッツに所属している﨑原成美選手は、2023年7月に愛知県豊田市立寿恵野小学校で夢先生として教壇に立ちました。このほかにも、自治体の職員や企業の社員として「夢の教室」を担当している人や、クラス担任として「夢の教室」に参加している人もいます。

JFAはこれからも多くの子どもたちに「夢の教室」を届け、夢のバトンをつないでいきたいと考えています。目標は過去最多だった年間2081回(2018年)を超える年間3000回の授業実施。一人でも多くの子どもたちに夢を持つことの素晴らしさを伝えていくために、樋口選手や野村選手、﨑原選手らに負けないよう、トライし続けます。

現在はスポーツ、芸術、芸能などジャンルを問わず多くの夢先生が教壇に立っている
(写真は元競泳選手の松田丈志さん)

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