ストーリー

【最後の青春ドラマ】U-18最高峰の舞台で学び育った3年間 ~高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグファイナル・大迫敬介(サンフレッチェ広島)後編

2019.12.14

高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2019 ファイナルが12月15日(日)に開催されます。U-18年代最高峰の舞台に立った選手はどのような青春時代を過ごしてきたのか。ここでは今年、SAMURAI BLUE(日本代表)にも選出された大迫敬介選手の高校時代のストーリーをお届けします。

インタビュー前編 ~自ら練習メニューを考え、伸び伸びと成長した少年時代~ 大迫敬介選手(サンフレッチェ広島)
インタビュー中編 ~あと一歩まで迫ったU-18年代最高峰~ 大迫敬介選手(サンフレッチェ広島)

高校3年時はトップとユースを行き来

大迫敬介が高校3年生になる直前の春、サンフレッチェ広島から彼のトップチーム昇格について打診を受けた沢田謙太郎ユース監督は、迷うことなく太鼓判を押した。「俺も早く上げた方がいいと思っていたし、『リーグカップに出られるかも』と思っていた。それぐらいの力があると確信していたからね」。

ただ、大迫自身はトップチームの練習に毎日参加するようになると、すぐに壁にぶつかった。「トップに上がったばかりの頃はすごく差を感じました。全体的にスピード感が全く違って、練習が終わった後にみんなのシュートを受けているときも、ボールの質が全然違いました」。

本来のパフォーマンスを発揮できずに戸惑う日々。「とにかく練習するしかない」。大迫は自らを過酷な環境に追い込んでいった。

トップチームの全体練習が終わると最後までピッチに残り、GKコーチのシュートを受け続ける。その後にはユースの練習にも参加した。トップチームで午前、午後の2部練習をした後にユースの練習に参加するという“3部練習”を行うこともあった。当時を振り返り、大迫は苦笑いを浮かべる。

「本当に忙しかったです。練習しかやっていないと言ってもいいくらい、ひたむきに練習をしていました。あの時期がこれまでで一番練習をしたと思います。今思い返せば、よくあれだけ練習できたなって思いますね」

週末になるとプレミアリーグWESTの試合に出場する。それはトップチームに昇格しても変わらないサイクルだった。「試合があることは本当にうれしかった」と大迫は言う。チャンピオンシップでの雪辱を晴らすことを合言葉にして2017年のプレミアリーグに臨む中、大迫は年代別日本代表での活動も間に挟みながら16試合に出場。この年も広島ユースは勝利を重ねて13勝3分2敗の戦績を残した。チーム全体で42得点を記録し、失点数も2016年と同じ16に抑えたが、ヴィッセル神戸U-18がその成績を上回った。13勝3分2敗で勝点は並び、得点数も42で同じだったが、失点を15に抑えた神戸U-18が得失点差でわずか1ポイント上回り、チャンピオンシップに出場する権利を勝ち取ったのだ。

大迫は1ゴールの重み、ワンプレーの重要性を痛感させられた。「集大成を見せる意味でも、もう一度チャンピオンシップに行きたかった。最終節は年代別代表の海外遠征に参加していたので出場していないんですけど、結果を知って『俺があと1点でも防いでいれば……』という思いになりました」。大迫はこの大会で、小さなことの積み重ねが勝負を分けることを学んだという。

目標に向かってストイックに過ごした3年間

もっとも、1年生からピッチに立ってきたプレミアリーグから、大迫は多くのことを学んだ。「3年間を通じて緊張感のある試合を経験し続けられたことは本当に大きかったです。試合が終わったら寮でみんな集まって映像を見返して、練習して次の試合に向かっていく。その中でできることが増えていく実感を、個人としてもチームとしても感じられましたし、常に目標を持ち続ける手助けをしてくれた大会でした」。

大迫はプロになった今も、目標を持つことの大切さを常に口にする。そして、そのために自分と厳しく向き合う。その土台は、プレミアリーグを戦いながら過ごした3年間にある。

「プレミアリーグには、最後にチャンピオンシップという素晴らしい舞台があります。僕は常にそこを一つの目標にして過ごしてきたので、ストイックになる環境をつくることができましたし、3年間、自分に厳しくやってきたことで、今も自分に厳しくやれています。これからも常に目標を持って前に進んでいこうと思います」

2019年にJリーグデビューを飾った大迫は、次々と目標をかなえていった。そして、瞬く間に日本を代表するGKの一人となり、東京オリンピックのゴールマウスを守るポジション争いでも先頭集団にいる。もっとも、沢田監督は「大迫がポテンシャルを発揮するのはこれから」と語り、満面の笑みとともにこう続けている。

「鹿児島の田舎ですくすくと育ってきた敬介は、西郷隆盛っぽいイメージのヤツなんですよ。みんなをまとめて『やろうぜ!』、『行こうぜ!』と引っ張っていく魅力がある。でも、まだトップチームでも代表でも猫をかぶっているんだよね。慣れてくればもっと伸び伸びとプレーできるようになると思うから、楽しみにしておいて!」

インタビュー前編 ~自ら練習メニューを考え、伸び伸びと成長した少年時代~ 大迫敬介選手(サンフレッチェ広島)
インタビュー中編 ~あと一歩まで迫ったU-18年代最高峰~ 大迫敬介選手(サンフレッチェ広島)

日程:2019/12/15(日) 13:00 キックオフ(予定)
会場:
埼玉/埼玉スタジアム2002
対戦:青森山田高校(EAST優勝チーム) 対 名古屋グランパスU-18(WEST優勝チーム)

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