2022.01.03
JFA 第25回全日本U-18 女子サッカー選手権大会が2022年1月4日(火)から10日(月)にかけてJ-GREEN堺(大阪府堺市)で開催されます。ここでは前回大会で優勝を果たし、なでしこジャパン(日本女子代表)の一員として2021年に行われた東京オリンピックにも出場した木下桃香選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)に登場いただき、大会の思い出や中高生時代について語ってもらいました。
○オンライン取材日:2021年11月17日
――木下選手はこの大会に中学1年生から計6回出場しています。特に記憶に残っている大会は?
木下 中学1年生の大会です。メニーナの6連覇が懸かっていたのですが、結果的には負けてしまいました。初めて出場した大きい大会だったので、特に印象に残っています。当時は、私と三浦成美選手で2トップを組んでいたんです。今では考えられないですよね(笑)。
――決勝のセレッソ大阪堺ガールズ戦はフル出場しましたが、惜しくもPK戦の末に敗れています。決勝戦はどのような雰囲気でしたか?
木下 準決勝でメニーナの主力2選手が大きなけがをしてしまい、決勝戦は中学生が主体のチームになりました。中学1年と一番下の立場でしたけど、相手が高校生だからと言っていられない雰囲気はありました。
――決勝戦での敗戦は、どのような経験になりましたか。
木下 まずは、それまでに5連覇していた先輩方の偉大さを知りました。加えて、自分はあと5回の全国大会に出場できるチャンスがあったので、素直に5連覇したいと思いました。だけど、結果的にはなかなか難しかったですね。
――高校3年生だった昨年度、木下選手はトップチームに帯同していたため、あまりメニーナの選手と一緒に練習ができていなかったと思います。それでも同学年のメンバーと大会に出場したいという気持ちは強かったですか?
木下 本当だったら、この大会は6年間やってきたことの集大成を見せる場であるはずです。それでも私はメニーナで練習していなかったので、自分がチームの中心としてプレーするには難しさがありました。中には話したこともない中学生の選手もいました。そういった選手たちと過ごせたり、練習をできたことは良かった出来事の一つです。これからのメニーナは間違いなくレベルが高いと実感できましたから。彼女たちは絶対にベレーザでチームメイトになると思います。そういった選手たちのプレーを間近で見られたのは、いい経験ですね。
――1回戦と2回戦は大量得点で勝利。準決勝はジェフユナイテッド市原・千葉レディースU-18を1-0と僅差で退けました。チームが勝ち進むポイントになった試合は?
木下 組み合わせが決まったときから、2回戦で強豪のC大阪堺に当たると意識していました。もちろん試合前から緊張感がありました。普段から試合をすることのない対戦相手なので、どのようなチームなのかも分からない状況でした。あの試合で得点差をつけられたのは、すごく自信になりましたし、そのあとの勢いにもつながったと思います。
――決勝は浦和レッドダイヤモンズレディースユースに延長の末に勝利して優勝を果たしました。他のクラブも力をつけている中でも、メニーナが強くあり続ける理由は何だと考えますか?
木下 確かにセレッソやジェフをはじめ、年々強いチームが増えていると感じていました。でも、メニーナは異色のサッカーをし続けています。ボールを握るところであったり、個人のスキルを重視するところであったり。そういう面で他の強豪ともっともっと差を見せつけないといけないと思っています。
――育成年代にあたる中学、高校時代はどのような生活を送っていましたか?
木下 実家から通っていたので、メニーナの練習場まではすごく距離がありました。中学1年生のときは学校に行ってからメニーナの練習に行き、夜遅くに帰る。そして次の日も朝から学校へ、という生活でした。慣れるまではすごく大変でしたけど、慣れてしまえば本当に充実していました。ただただ楽しかった6年間でしたね。
――周囲のサポートもあったと思います。
木下 中学でも高校でも、学校の先生は私の状況にとても理解を示してくれていました。サッカーで授業や行事に出られないときも多かったのですが、先生方は常に私を応援してくれていました。ベレーザに上がってから皇后杯で優勝できたときも、リーグ戦に初めて出場したときも、とても喜んでくれたのを覚えています。自分がより頑張らないといけないというエネルギーになっていました。
――最後に今大会に出場する選手たちにメッセージをお願いします。
木下 大会で良い結果を出すことが、プロサッカー選手であったり、なでしこジャパンにつながっていくはずです。まずは良い結果、良い順位を目標にしてやってほしいです。もう一つは、自分が一番大事にしている部分、“サッカーの質”にこだわってほしい。私はオリンピックを経験して、質を高めていかなければ世界との差は縮まらないと感じました。優勝したからオッケーではなく、どれだけ良いサッカーができるかが重要です。特に育成年代はそこにスポットライトを当てやすい環境だと思うので、質をしっかり追求してほしいです。頑張ってください。
※本対談の全編は、試合会場などでご購入いただける大会プログラムに掲載しています。
大会期間:2022年1月4日(火)~2022年1月10日(月)
大会会場:大阪府/J-GREEN堺