2022.01.07
第30回全日本高等学校女子サッカー選手権大会は1月6日(木)に大会3日目を行い、ベスト4が出そろいました。
常盤木学園高校 1-0(前半1-0、後半0-0)AICJ高校
3度目の出場となる今大会で初勝利を挙げたAICJ高校(中国1/広島)は、ベスト8まで勝ち進みました。勢いのままに常盤木学園高校(東北1/宮城)に圧力を掛けようとしましたが、大会常連校の選手たちは焦りを見せず、落ち着いてボールを保持。さらに常盤木は前に出た相手の背後を斜めのロングパスで突き、開始6分で先制に成功しました。その2分後にも同じような形で惜しいシュートを放っていた常盤木は、球際での強さも披露して、AICJにシュート1本しか許さず試合を折り返しました。
ハーフタイムを挟むと、状況が変わります。「スタート時点のままだと守り切れないので、みんなでポジションを変更した」(疋田祝華選手)というAICJが流れを掴み、攻めに移っても、最前線から降りてきた梅津真央選手が長い距離をドリブルで持ち上がるなど、変化をつけてきました。AICJは次々と攻撃的なポジションの選手を送り込み、さらにポジション変更も施し、ロングボールも織り交ぜてと、相手を押し込みました。前半にはなかったCKも奪うなどチャンスをつくりましたが、守り切った常盤木が準決勝へと進みました。
大阪学芸高校 1-1(前半1-1、後半0-0、PK9-10)日ノ本学園高校
大阪学芸高校(関西3/大阪)と日ノ本学園高校(関西1/兵庫)の近畿勢対決は、互いに積極的に前線へとボールを送り込み、守りでは力強く跳ね返す意地のぶつかり合いとなりました。緊張が高まり過ぎたか、序盤に意外な形で点を取り合います。開始9分の大阪学芸の最初のセットプレーで、長めのFKが両チームの選手が集うゴール前でバウンド。ボールの軌道はGKの頭上を越えて先制点となりました。その5分後には、日ノ本学園のクロスボールを楽につかんだかに見えたGKの手からボールがこぼれ、これを野本花音選手が押し込み、試合は振り出しに。
その後はあらゆるエリアで激しい戦いが繰り広げられ、互いにシュートに持ち込めません。それでも足を止めない両チームに、残り10分を切ってから、大阪学芸はゴールをわずかに逸れるシュート、日ノ本学園はクロスバーをたたくチャンスが訪れましたが得点に至らず、1-1で80分間を終えました。
緊張感あふれる接戦はPK戦でも続きました。日ノ本学園GK川幡凪選手が2本を止めるも、大阪学芸もGK酒井優羽選手のセーブなどで土壇場で追い付きます。1周しても決着しない長いPK戦は、13本目を日ノ本学園が止め、4大会ぶりにベスト4入りしました。
前田郁美 選手(常盤木学園高校)
立ち上がりに先制できて、少しは楽な入り方になりましたが、その後は攻められ続けました。それでも全員が走って守備の意識を保てたことで勝利につながりました。インターハイ(全国高等学校総合体育大会)で初戦負けしてから、すごく意識が変わったし、東北大会で優勝した後も新しいことを取り入れてきました。その成果を全国の舞台で発揮できてすごくうれしいです。次の相手(神村学園高等部)はインターハイで優勝して、この冬も狙っていると思うので、勢いで負けずにチャレンジャー精神を大切に、自分たちの良さを発揮します。
疋田祝華 選手(AICJ高校)
立ち上がりの一瞬の隙を突かれたものの、後半はこちらの流れになったのですが、決め切れないのも日々の練習の結果であり、まだ甘かったのだと思います。部ができた3年前は13人しか部員がいなくて、日本一など夢のまた夢でしたが、3年生になるとレギュラー争いも激しくなりました。後輩たちがいたから、日本一を夢ではなく目標にできました。そこまであと3勝だったので後悔はありますが、サッカー以外の部分から自分たちを磨いてこの舞台に立てたので、自信を持って帰ります。
川幡凪 選手(日ノ本学園高校)
最初に私のミスで失点してしまったので、PKを止めてチームを勝たせられてほっとしています。大きな大会では、緊張でいつものプレーができなくなるものなので、中学校時代からの友だちでもある相手のGKの気持ちも分かります。私が入学してから、私が出た前回も含めて、この大会ではPK負けしていました。それまでのPK戦に強い日ノ本を取り返したいと思っていました。こんなに長いPK戦は初めてでしたが、私の武器はシュートストップなので、楽しんでできました。
副島博志 監督(大阪学芸高校)
日ノ本学園とはインターハイと今大会の予選で対戦して、1勝1敗でした。お互いの手の内は分かっているので手を変え品を変えての戦いで、自分たちのプレーを放棄したような前半でしたが、後半にはリズムを変えられました。勝てそうなところまでいきましたが、勝負の厳しさが出ましたね。準々決勝の緊張感や勝ち進む重圧は、言葉で伝えられないものがあり、経験しないとなかなか本当の力になりません。こういう悔しさはバネにもエネルギーにもなるので、1、2年生には次につなげてほしいです。
大会期間:2022年1月3日(月)~2022年1月9日(日)
大会会場:三木総合防災公園(兵庫県三木市)、五色台運動公園(兵庫県洲本市)、いぶきの森球技場(兵庫県神戸市)、ノエビアスタジアム神戸(兵庫県神戸市)