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FIFA U-20ワールドカップ ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第28回~

2023年04月10日

FIFA U-20ワールドカップ ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第28回~

3月1日から18日までウズベキスタンで行われたAFC U20アジアカップで日本代表はベスト4に入り、上位4チームに与えられるFIFA U-20ワールドカップの出場権を確保した。大会に参加した23選手は大学生が5人、J1のクラブ所属が9人、J2所属が8人、そして海外組が1人というパスウェイで多様性のある構成だった。J1とJ2で同等の人数が選ばれたのも珍しいケースかもしれない。選手を代表チームに送り出してくれたすべてのクラブ、大学関係者の皆様に心からの感謝を述べたい。5月から6月にかけてインドネシアで開催される本大会のドローは、3月31日に行われるはずだった。ところが、インドネシアが欧州予選を勝ち抜いたイスラエルの入国に難色を示したことで話はこじれ、国際サッカー連盟(FIFA)は開催権を取り上げる手段に出た。今のところ、アルゼンチンが肩代わりに名乗りを上げているが、この先どうなることやら。いずれにしても、日本は今回ポッド3なので、カタールのワールドカップのSAMURAI BLUEと同様、ポッド1、ポッド2の強豪と同じ組になることは間違いない。どんな組み合わせになろうとも勝ち進む覚悟を持たなければならない。

今回のAFC U20アジアカップを総括すると、選手を招集する段階からいろいろとハードルは高かった。Jリーグの新シーズン開幕から間もなく、どのクラブもスタートダッシュを図りたいタイミングで、いかに代表活動のためとはいえ、主力選手に抜けられるのは痛いに決まっているからだ。代表チームの側からすると、それはU-20という若さでクラブでも大事な戦力として認められている証しであり、そんなタレントがどんどん増えることは喜ばしい限りなのだが……。この問題、FIFA U-20ワールドカップ本番でも再び浮上してくる。U-20のタレントの戦力化は欧州のクラブでも進んでいるけれど、彼らはシニアのワールドカップと同様、欧州のクラブサッカーのオフシーズンにFIFA U-20ワールドカップの開催時期を持ってくることで影響をミニマムにしている。それに比べて、日本の5~6月はJリーグの真っ最中。そこで準備期間を含めて約1カ月間、主力に育った若手を抜かれるクラブのダメージはいかばかりか……。Jクラブの監督経験がある私としては、送り出す側の痛みも分かるのである。

今大会は私もチームに同行し、約1カ月間、ウズベキスタンのタシケントで過ごした。試合会場はどこも良かったが、練習会場となると「ここでやるの?」という感じの施設も中にはあった。ピッチの状態が半分は土みたいな感じで、特にゴール前は芝がなく、GKはすぐに泥だらけになった。代表活動では、そういう練習環境を当たり前に思うタフネスが、入り口のところでまず問われる。そうはいっても勝負事である。勝つために尽くせる手は打った。その一つが食環境の改善である。中2日の連戦が続くと、自然に体重が落ち、ガス欠を起こす選手が出てくる。ラオスで行なわれた昨年のAFC U-20アジアカップ予選では腹を壊す選手が何人かいたと聞いている。そこで今回はSAMURAI BLUEのシェフとして有名な西芳照さんにお願いしてタシケントに来てもらった。すると選手は食べる、食べる! SAMURAI BLUEの面々の1.5倍は平らげたと西さんも驚いていた。食事がいいと、選手は自然に笑顔が多くなる。あらためて食環境の大切さを感じた。試合後に一番食欲をそそるのは香辛料の効いた料理。そういう意味でカレーは今回も一番人気だった。選手たちは西さんの料理にすっかり魅了されたようで、私のところにも「本大会もよろしくお願いします」と頼みに来たほどだった。シェフの西さん以外に、PT(フィジオセラピスト)の中條智志も今回ウズベキスタンに連れて行った。ケガを抱えて合流してきた佐野航大(ファジアーノ岡山)は、PTがいたことでいち早く戦線に復帰できた。テクニカルアナリストも2人連れて行った。それぞれが各分野でしっかりと仕事をしたことが世界大会出場を後押ししたと思っている。

それにしても、アジアの戦いは厳しく難しい。アジアは突破して当然という空気が日本にあったりするが、トップオブトップの選手をそろえずに勝ち抜けるほどアジアの戦いは簡単ではないのである。昨年9月のAFC U20アジカップ予選も4勝無敗で本大会出場を果たしたけれど、2位のイエメンには1-0という際どい試合をした。今回も初戦の相手、中国は完全にリトリートしてきて堅陣をこじ開けるのに苦労した。開始6分にCKから先制を許す苦しい展開を、途中出場の熊田直紀(FC東京)の2ゴールでひっくり返したけれど、日本対策を十分に積んできた痕跡があちこちにあった。アンダーのカテゴリーでもアジアカップとなると本当に「国を懸けた戦い」になることは、2戦目で日本に0-3で敗れたキルギスの選手が試合終了後、ピッチに突っ伏して悔し涙に暮れていたことでも明らかだった。準決勝で日本をPK戦で下したイラクは神への祈りをささげ、スタッフは優勝したかのような大騒ぎ。国を背負ってピッチに立つから、勝っても負けても感情表現がすごい。彼らに比べると、日本は意気込みの表現も球際(デュエル)の部分でも他国に比べるとスマートでまだまだ鍛える必要があると思っている。アジアとの戦いではそれほど相手が日本に勝とうと躍起になってくる。アジアの先頭グループを走る日本を標的にし、みんなが金星を狙ってくるというか。それは厳しい反面、ありがたいことだと思う。的に懸けてくる相手以上の力を日本は出さないと勝てないわけだから、こちらの成長につながる話なのである。決勝は地元のウズベキスタンがイラクを1-0で下して優勝した。3万8千人の超満員の大観衆は狂喜乱舞という感じで大喜び。完全アウェーの雰囲気の中で奮闘したイラクがうらやましくもあった。そういう張り詰めた空気の中で日本の選手に試合をさせたかったと心底思った。

戦術面ではCKから3失点するなど、セットプレーの守備が日本の課題として浮き彫りになった。ワールドカップに行けば、もっと優れたキッカーがいるから、この課題を積み残したまま本番に臨むわけにはいかない。チーム全体として見ると、日本はMFの人材はどんどん輩出されていて、層は厚い。FWはトップを張れる人材がもっと台頭してきてほしい。5ゴールを量産した熊田はクロスに合わせる力というか、一発がある。タイプ的に上田綺世(セルクル・ブルージュKSV)みたいな感じ。所属のFC東京ではなかなか試合に絡めていないが、これでもし使われるようになったら代表効果といえるかもしれない。サイドバック、GKもさらに強化していきたい。我々は海外で生まれ育ったタレントの発掘にも力を入れているが、今回FCバルセロナから参加した髙橋仁胡もその1人。ご両親が国際結婚をされていて複数の国から代表に選ばれる可能性があるが、バルセロナまで私が足を運んで親御さんや本人と面談し、日本代表を選んでもらった。年齢は17歳でアンダーのカテゴリーでは一つ下になるけれど、これからの日本を背負って立つかもと思わせるくらいの、バルサ仕込みの確かな個人戦術を今回見せてくれた。日本もバングーナガンデ佳史扶(FC東京)、半田陸(ガンバ大阪)らSAMURAI BLUEに呼ばれるサイドバックの若手は出てきたが、もっともっと出てきてほしい。今回のチームに同行した内田篤人ロールモデルコーチには「いいサイドバックを育ててくれ」とネジを巻いておいた。SAMURAI BLUEの右サイドバックとして活躍した内田コーチはワールドカップ本番にも来てくれる予定だ。

GKは今回、流通経済大の彼島優、日大の木村凌也、そして水戸ホーリーホックの春名竜聖の3人を呼んだが、J1、J2、J3の計60チームの中で、この年代で試合に出ているGKは1人もいない。GKは経験値が求められるし、ポジションは1つしかないから、U-20の選手になかなかチャンスは回ってこないのは承知している。それでも、この年代でJクラブのゴールを守るような逸材を輩出していかないと、U-20の世界の頂点に立つのは難しいだろう。この問題は一つ上のカテゴリーのパリオリンピックを目指すチームも同様で、鈴木彩艶(浦和レッズ)、佐々木雅士(柏レイソル)、小久保玲央ブライアン(SLベンフィカ)も所属チームでの試合機会が少ない。ウズベキスタンでの約1カ月の活動をつぶさに見て、課題を抽出し、今後に生かすことは技術委員長の私の仕事なので、いろいろと方策を考えたい。例えば、何らかのルールを作ってU-20のGKがJリーグでも出場機会を確保できるようにお願いするとか。当然ハレーションは起きるだろうが、そのくらい極端なことをしていかないと事態は何も変わらない気がするのだ。このままではセレクトの目はどうしても試合に出ている大学生に向けられるだろう。

AFC U20アジアカップは23人の選手を選べたが、本番のワールドカップは21人に減らされる。GKを3人選んだら、フィールドは18人になるわけだ。これは結構きつい。真剣にFIFAにお願いのレターを出そうかと思っているくらいだ。シニアのワールドカップは26人なのに、若い選手の集合体で1人でも多くの選手にゲームの機会を与えるべきアンダーのワールドカップで21人とはなんぞや!という思いでいる。ケガで大会直前に離脱した中野伸哉(サガン鳥栖)は本番までに戻って選考対象になるだろうし、海外組から新たに割って入る選手もいるだろう。そう考えるとトータルで21人というのは、かなりの狭き門である。2人減らされる分だけ、いろいろなポジションができるユーティリティー性のある選手を選ばないといけないのかもしれない。U-20とはいえ、FIFAワールドカップである。ここでカップをとることが来年のパリオリンピック、3年後のSAMURAI BLUEのワールドカップにつながるのは明らか。今回は「優勝カップを取る」ことをターゲットにしている。そこで選手には解散の前に、それぞれの所属先であるクラブ、大学に戻ったら、死に物狂いでやってくれとお願いしておいた。

日本男子のこのカテゴリーにおける最高成績は1999年のFIFAワールドユース選手権ナイジェリア大会の準優勝である。アジア勢はノーチャンスというわけではないし、新型コロナウイルスの感染爆発で活動できない時期もあった今回のチームには、集大成としてなんとか成果を出したいと考えている。クラブのリクエストを踏まえるとJの試合を優先することになるから、準備期間を長く取ろうとしても難しい。それでも密な日程を縫いながら、4月に短期のキャンプを2回ほど開くつもりでいる。こういう慌ただしさの中では、集合して練習を始めるときにはもう代表モードになってくれないと困るというもの。借りてきた猫のような遠慮は不要で、すぐに自分のチームと思えるように頭のスイッチを切り替える必要がある。即席でもすぐに対応できるのも代表選手の力量の一つだと思い、そういう習慣を身につけさせようと、U-16からいろいろと積み上げてきている。それが今回、1週間ほどの準備で試合ができた理由の一つなのかなと思う。今後もそこの重要性は強調したい。練習が終わると、見るのは自分のスマホの画面ばかりというのはでなくて、選手同士で食事中でも食後でも時間を見つけてディスカッションしてほしい。集まってすぐに試合ができるパーソナリティーはすごく大事だ。

それは所属先に戻っても同じことが言える。今回は決勝までいくつもりで帰りのフライトを押さえていたが、3位決定戦がない大会だったので、準決勝敗退が決まった時点で帰国を前倒しした。トルコのイスタンブール経由だった便を韓国の仁川経由に変更し、1時間でも早く所属チームに返そうとした。厳しい言い方になるが、自チームに帰ったら「すぐにファイティングポーズを取れよ」と選手に話した。実際、坂本一彩(ファジアーノ岡山)は帰国すると、すぐにJ2の試合でベンチ入りし、柏レイソルの田中隼人は試合に出た。「ファイティングポーズ」に込めた思いは、代表活動は終わっても、選手に休息はないということをインプットしたかった。シニアの歴戦の海外組はそうやって日本と海外を往復しながら、代表戦とクラブの試合を掛け持ちしている。もちろん、本当に疲れていたら休みは必要で、その線引きはメディカルスタッフと相談し自分で自覚して引かなければならないが、クラブに戻っても「僕はやれます」と言えるタフネスはそれくらい大事なのだ。代表選手は、代表でも所属先でも自分がチームの中心という気構えを絶対に失ってはいけない。それは代表選手の基本的なマナーだと思っている。世界チャンピオンになるための戦いはすでに始まっている。そのためには環境作りを含めしっかりとサポートをしていくつもりでいる。

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