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3月の成果を6月に生かす ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第9回~

2021年04月27日

3月の成果を6月に生かす ~技術委員長 反町康治「サッカーを語ろう」第9回~

2021年3月は、SAMURAI BLUEとU-24(24歳以下)の日本代表が日本国内で久しぶりに活動することができた。実現にあたってはスポーツ庁を初め、出入国にかかわる各省庁、試合や練習会場のある自治体、宿泊施設、空港、航空会社など関係者の皆様のご理解と多大なご支援をいただいた。この場を借りてあらためて厚く御礼を申し上げたい。

原則的には、海外から日本に到着し、その次の日から活動を始めるようなことは誰に対しても認められていない。コロナ禍の今は通常なら入国後2週間の待機が求められ、スポーツ界でもプロ野球やJリーグの監督や外国人選手はこのルールに従っている。とはいえ、このルールを厳格に適用すると、日本で国際試合をすることはいつまでたっても無理ということになる。2週間も待機していたら、その間に国際サッカー連盟(FIFA)が定めるインターナショナル・マッチ・ウインドゥ(IMW)が閉じてしまうからだ。3月のIMWは22日から30日まで。この9日間で国際試合をするには待機期間の免除が必須。それが不可能となると、6月に予定するFIFAワールドカップカタール2022アジア2次予選兼AFCアジアカップ中国2023予選のホームゲームを開催することも危うくなる。手前味噌になるが、日本サッカー協会(JFA)の職員たちが関係各方面との折衝に大いに奮闘してくれ、幸いにも今回は日本政府から特例が認められたのだった。IMWを活用して組んだカードは4試合。SAMURAI BLUEは3月25日に韓国代表と横浜で親善試合を、30日にモンゴル代表と千葉でFIFAワールドカップカタール2022アジア2次予選兼AFCアジアカップ中国2023予選を戦い、U-24日本代表は同アルゼンチン代表と26日に東京29日に北九州で親善試合を行った。防疫の対象となったのはチームとその関係者だけでなく、FIFAワールドカップ予選を主管するためにアジアサッカー連盟(AFC)から派遣される役職員や審判団も含まれた。万全を期して我々が用意したプロトコルは相当に厳格なものだったが、活動に関わったすべての人がそれを順守してくれたおかげで、なんとか無事に終わらせることができた。それには本当に感謝しかない。

中でも一番大変だったのは選手だったと思う。一般社会から隔絶された、いわゆる「バブル」と呼ばれる環境の中で彼らは毎日を過ごした。動線は一般の人と完全に切り離されていたので、チームと行動をともにした私も選手宿舎となったホテルの舞台裏にずいぶんと詳しくなった。即戦力としてホテルでバイトができるのではないかと思ったくらい。ホテルの出入りは従業員用や荷物の搬入口を使い、エレベーターも非常用のものを利用した。部屋の掃除は3日に1回くらいにしてハウスキーパーと極力接触しないように努め、替えのタオルや歯ブラシは所定の場所から自分でピックアップ。合宿中はほぼ毎日、新型コロナウイルスの検査を受けた。食事も海外組と国内組は別々。時間をずらし、場所もパーテーションを立てて分け、黙食も徹底。万が一、感染者が出ても、可能な限り、濃厚接触者を抑えられるように。宿舎と練習・試合会場の移動は公共交通機関を一切使わず、貸し切りバスで移動。バスの運転手さんも検査対象とした。日本の選手は本当に真面目で「黙食をお願いします」と頼めば、本当に黙食する。たまには外の空気を吸いたくなるだろうに、バブルの中での単調な毎日にじっと耐えてくれた。

試合はまずSAMURAI BLUEが韓国相手に素晴らしいプレーを見せ、3-0の快勝を飾ってくれた。韓国と親善試合を行うのは2011年に札幌で戦って以来。チームを率いるパウロ・ベント監督は他に選択肢もある中で、負ければバッシングが起きやすい日本との対戦をよく受けてくれたと思う。我々のスタンスは「強い相手とやらないと真の強化にならない」ということなので、エースのソン・フンミンの不参加は残念だった。韓国のチーム関係者によると、これまで日本で試合をしたことがないソン自身も今回の日韓戦を非常に楽しみにしていたという。感染に注意する毎日は緊張の連続だったけれど、その中で真摯に試合の準備に取り組めたのは日韓戦があったから、という面はあったと思う。隣国の永遠のライバルに対して日本の選手は必勝の信念を持って臨み、緩みのない試合をしてくれた。監督経験者として、内容と結果が合致する試合はめったにないと思っているが、今回の韓国戦はその両方が伴っていた。テレビの世帯平均視聴率も14%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)とまずまず。サッカーの試合を民放で見る機会がめっきり減った中で、子供たちに試合を視聴する機会を届けられたのは本当に良かったと思っている。

続くモンゴル戦は14-0の大勝。まずはわざわざ日本に足を運んでくれたモンゴルに感謝したいと思う。本来、この試合はモンゴルのウランバートルで行われるものを、新型コロナの影響でそれを諦め、日本での試合を選んでくれた。点差は開いたが、モンゴルの選手は体格も良く、結構てこずるのではないかとキックオフ前は少し気をもんでいた。13分に先制したことで難しい展開にはならず、主導権を握ることが出来た。また日韓戦の課題であったサイドからの攻撃の活性化がこの試合でうまく表現出来たのは大きな成果であった。モンゴルに勝ったことで、日本は最終予選進出に王手をかけることができた。そういう状態で6月の2次予選の残り試合に臨めるのは、見えてくるものが変わってくるという意味で非常に大きいと思っている。

U-24日本代表の方はアルゼンチンとの第1戦に完敗した。アルゼンチンは新型コロナのパンデミック(感染爆発)が起きてから初めての代表活動。それで昨年11月に亡くなった偉大なるディエゴ・マラドーナさんを試合前に追悼したいという要望があり、急きょ色々と用意して受け入れた。「神様」マラドーナに捧げる試合ということで、絶対に負けられないという気持ちはさらに高まったのだろう。試合が始まると強烈にプレスをかけてきた。要所、要所を締めてくるアルゼンチンは国際経験が豊富な試合巧者という印象。南米でブラジルやウルグアイと軒を接し、育成年代からしのぎを削り合っているだけあって、自分たちのリズムに持っていくのがうまい。日本が少しでもいい時間帯をつくりそうになると、ぶつかって転がって時間を稼ぐみたいなことをやって、リズムを壊しにかかる。普通なら、15分くらいは日本にいい流れがきそうなところを、3分くらいでさっと断ち切るようなしたたかさ。0-1というスコア以上の完敗だった。

1戦目で鼻をへし折られたような格好になったが、その悔しさを日本は2戦目に3-0で勝って、すぐに晴らすことができた。普通、南米からアルゼンチンのような強豪を招いて試合をする場合、1試合だけではコストパフォーマンスが悪いから相手は首を縦に振らないものだ。それで来日するチームは韓国などともう1試合アジアでマッチメイクをすることが多い。コロナ禍の今回はそんないつもの形がとれなかった。それで日本で2試合をすることを提案し、遠路はるばる来てもらったのだが、結果としてそれが「吉」に出たと思う。同じ相手と国内で続けて戦うなんてことはめったにないのだが、今回は災い転じてなんとやらで、東京オリンピックの南米予選を1位通過したアルゼンチンのような強豪と、このタイミングで2連戦ができた。まったく活動できないまま、次に代表活動期間がある6月に突入するのと大違いになった。

あくまでも技術委員長としての所感を述べれば、東京オリンピック本番で試合巧者になるために、オーバーエージ(OA)は必要だなとも感じた。SAMURAI BLUEの韓国戦を見ていても、吉田麻也(サンプドリア)なんかはオーラが全然違った。日本はこの試合で鎌田大地(アイントラハト・フランクフルト)がキム・ヨングォンを向こうに回して見事なドリブルシュートを決めた。吉田にも似たシチュエーションがあったが、難なく1対1をさばいてみせた。吉田を韓国戦に出すためには、プロトコルに従うと22日中に日本に着く必要があった。21日にセリエAの試合があった吉田とポルトガルリーグ1部での試合があった守田英正(CDサンタ・クララ)が、その条件をクリアするには、普通に飛行機を乗り継いだのでは間に合わない。それでJFAはチャーター便を手配し、何とか22日の23時過ぎに羽田に到着させることができた。そういう周りのサポートに、この二人も意気に感じることが多々あったのだろう。特に吉田は試合前からチームの士気を盛り上げ、快勝に一役買ってくれた。試合直後に私のところに来た彼は「これで少しは元が取れましたかね」と話しかけてきた。「まだまだだよ」と答えたら、苦笑いしていた。今回、我々はスポーツ界を代表して先陣を切り、特別な措置を受け、活動させてもらったと思っている。試合が終わって解散すればそれでよしではなく、スポーツ庁からは活動終えてから3日目と14日目にもPCR検査を受けるように指導されていた。それで私も選手には「解散してから2週間後の検査までが今回の代表の活動である」と口が酸っぱくなるほど訴えた。3月の活動から得た知見は日本オリンピック委員会(JOC)にも報告済み。JOCの会議に私が出席し、15分ほど自分たちの活動についてプレゼンテーションした。我々の経験をこの夏の東京オリンピック、パラリンピックに役立ててもらえるとうれしい。

さて、その東京オリンピックは、4月21日にドロー(組み合わせ抽選)が行われ、A組の日本は南アフリカ、メキシコ、フランスという非常にタフなグループに入った。この3カ国以外のオリンピック出場チームと強化試合が組めるように、ドローが決まった夜から早速交渉を始めた。新型コロナに直撃された昨年は、秋に海外組だけを集めて欧州でSAMURAI BLUEの試合をするのが精いっぱいだった(もちろんその中に五輪候補を複数加えたが)。今年は春から1チーム2カテゴリーで活動できた。同じ五輪候補でも冨安健洋(ボローニャFC)はSAMURAI BLUEで、久保建英(ヘタフェCF)はU-24日本代表でアルゼンチンと戦うというすみ分けも特に苦労することなくできた。そこは、どちらのチームも1人の監督が見ているメリットをうまく出せたと思っている。同じ期間に2カテゴリーが活動すれば、スタッフや関係者は倍必要になり、何かと面倒なことが多いが、スタッフは常にコミュニケーションが取れているので作業はスムーズだ。この後、SAMURAI BLUEはミャンマー(5月28日、場所未定)、タジキスタン(6月7日、大阪)、キルギス(15日、大阪)とのFIFAワールドカップカタール2022アジア2次予選兼AFCアジアカップ中国2023予選と、キリンチャレンジカップ(6月3日札幌11日神戸)の計5試合が控えている。2次予選の残り3試合は、それらをすべて日本で行うことになったとしても、3月のトライを土台にすれば、なんとか乗り切れるのではないかという感触を得た。U-24日本代表は6月5日(福岡)12日(愛知)に強化試合を予定している。

3月の活動では、SAMURAI BLUEのバブルとU-24のバブルの間で選手を移動させることは差し控えた。例えば、ある選手を26日はU-24の一員としてアルゼンチンと戦わせ、30日はSAMURAI BLUEの一員としてモンゴル戦に出すことは論理的には可能だったが、それをやって新型コロナの陽性者が出たりしたら大変なことになる。ワールドカップ予選という公式戦が中止になることだけは絶対に避けたかったし、未知のウイルスが相手だけに細心の注意を払って振る舞う必要があった。コロナ禍で積んだ昨年秋の欧州での知見、この3月の日本での知見を土台に、6月はバブルとバブルの間で選手を動かすことができるかもしれない。例えば、5月28日のミャンマー戦でSAMURAI BLUEが最終予選進出を決めたら、東京オリンピックのチーム強化のために、SAMURAI BLUEからOAの候補者を抜いて、U-24のチームに合流させるようなことが。もちろん、それはサッカー界だけで勝手に決められることではなく、関係各方面と慎重かつ丁寧に話し合いを進めていく必要があるのだが、とにかく、3月にしっかり活動できたことで、6月以降に「1チーム2カテゴリー」の強みを、さらに生かしていける態勢が整ったことだけは間違いないと思う。

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