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ニューノーマル時代のスポーツ、その発展に向けて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.15~

2021年03月17日

ニューノーマル時代のスポーツ、その発展に向けて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.15~

昨年、新型コロナウイルス感染症に感染したのを公表してから今日でちょうど一年になります。私の場合は、人工呼吸器などをつけるほどの重篤な状況ではありませんでしたが、新型コロナウイルスの恐ろしさは国内外の報道で喧伝されていましたし、主治医の先生にも説明を受けていましたので十分理解していました。また、イタリアやスペイン、イギリス、ドイツなどのFIFA関係者ら身近な人たちが感染していたこともあり、パンデミックが迫りつつあることも感じていました。

今も連日にわたって新型コロナウイルス感染症のニュースが伝えられています。東京都では新規感染者が8日間連続で前週の同じ曜日を上回っていて、リバウンドが懸念されていますし、感染力が強いとも言われる変異ウイルスも増えています。

医療従事者へのワクチン接種が始まり、その後、高齢者や基礎疾患を有する方などの順に接種が進められていくわけですが、ワクチンを打ったからといってウイルスが消滅するわけではありません。今後も新型コロナウイルスを想定した新しい生活様式を実践していくことに変わりはないのです。
皆さん、大切な人の命や生活を守るためにも、もう一度、気持ちを引き締め、感染対策に努めていきましょう。

東京オリンピック・パラリンピックの成功、そして、ポストコロナのスポーツ

東京オリンピック・パラリンピックも4カ月後に迫ってきました。スポーツ界は一丸となって今後を生き抜くための努力をしていく必要があります。

2月にカタールで開催されたFIFAクラブワールドカップカタール2020 presented by Alibaba Cloudは、チームと外部との接触を遮断する“バブル”方式で開催されました。日本サッカー協会(JFA)も3月25日のSAMURAI BLUE対韓国代表との国際親善試合、同26日、29日のU-24アルゼンチン代表とのSAISON CARD CUP 2021、同30日のFIFAワールドカップカタール2022アジア2次予選のモンゴル戦もバブル方式で行うことで準備を進めています。

このバブル方式でのスポーツイベントの開催ですが、国内では昨年11月の国際体操連盟主催の国際競技会に次ぐものとなります。
政府の要請に応えることはもちろんですが、コロナ禍の状況下で開催するオリンピックを想定したテストとして、また、ポストコロナ時代のスポーツの発展に向けて、非常に大きな意味を持つと考えています。各国とも連携してしっかり対策を講じ、実績を積みたいと思います。

困難な状況下でこそ人が育つ

言うまでもありませんが、新型コロナウイルスはこれまでの価値観を変えるほどのインパクトを与えました。多くの尊い命が奪われ、経済的にも大きな打撃を受けるなど、社会、そして人々の生活に大きな影響をもたらしました。
一方で、私としてはこういった困難な状況下でこそ人が育つということも実感しています。

昨年春に緊急事態宣言が発出され、サッカー活動もストップしました。財政的に困窮するサッカークラブや少年団、スクール、サッカー施設などが出てくることは容易に想定されました。
サッカーファミリーの活動の場をなくしてはなりません。一度なくしてしまったら、取り戻すのに相当な時間と労力、費用もかかります。それに、各地のサッカーファミリーの皆さんが築いてきた伝統や歴史、人脈を失ったらもう二度と戻せないかもしれないのです。

危機感に襲われた私は退院後、すぐに救済措置として「新型コロナウイルス感染症対策 サッカーファミリー支援事業」の検討に入りました。
日本サッカー協会(JFA)の職員は使命感を持って取り組み、わずか1カ月で支援制度を設計してくれました。これによって全国のサッカーチームなど261件に対して総額4億9,667万円の融資が行われたほか、連盟・リーグなどに対して総額1億8,400万円の支援金の支給を行うことができました。

昨年3月と6月のアジア2次予選も新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、10月と11月に延期されました。ところがそれも延期されたことから、SAMURAI BLUE(日本代表)は10月にオランダに、11月にはオーストリアに遠征し、パナマ代表、メキシコ代表と国際親善試合を戦いました。

通常、フレンドリーマッチを開催する場合、対戦国の選定から交渉、スタジアムの確保など準備には半年近くかかります。しかも海外で行うとなるとさらに負荷がかかります。ところが、それを2カ月で、しかも感染症対策をとった上で開催することができました。また、国内では試合に合わせてオンラインイベントを実施し、コロナ禍でスポーツを楽しむ新たな試みにも挑戦しました。

韓国、アルゼンチン、モンゴルの選手団の入国が認められれば、防疫措置など、短い間に対策を講じなければなりませんが、チームも観客の皆さんも安全に安心してサッカーを楽しめるよう、周到に準備します。
こういったことをスピード感を持ってしっかり行えることも、JFAの職員らが経験を積み、ノウハウを習得してきた証だと思います。

JFAは今年9月に創立100周年を迎えます。4月1日からは、JFA中期計画に基づいた組織体制とし、より戦略的に各種活動を推し進めて行きます。
特に2021年から2024年の4年間は、登録制度の改革や新たなメンバーシップ制度の導入、それを実現するためのデジタル化、女子サッカーの環境整備などを推進するとともに、SDGs(持続可能な開発目標)の推進とコンプライアンスの徹底、ガバナンスの強化を図り、次の100年に向け、盤石の組織基盤を築いていく考えです。

今後も全国のサッカーファミリーの皆さんが充実したスポーツライフを送れるように取り組んでまいります。そのためにも新型コロナウイルス感染症対策をしっかり行うことが大切です。われわれサッカーファミリーがその手本を示しながら、素晴らしい環境をつくって行きましょう。

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