【対戦国情報】なでしこを待ち受ける強豪たち～第33回オリンピック競技大会（2024/パリ）

前の記事へ │

一覧へ

2024年07月18日

【対戦国情報】なでしこを待ち受ける強豪たち～第33回オリンピック競技大会（2024/パリ）

年齢制限のない代表チームが競うオリンピックの女子サッカーで、なでしこジャパン（日本女子代表）が目指すのは、2012年ロンドン大会の銀メダルを上回る初の金メダル獲得。パリ大会は現世界女王のスペインを皮切りに、南米のブラジル、アフリカのナイジェリアと顔を合わせるグループCで、大きな目標に向けた戦いを始める。グループ2位以内、あるいは各グループ3位のうち成績上位の2チームに入れば、準々決勝進出となる。

7月25日（現地時間、以下同）にナントで行われるグループステージ初戦は、オリンピック初出場ながら、昨年のFIFA女子ワールドカップで初優勝を果たしたスペインと対戦する。もちろん、オリンピックでも有力な優勝候補だが、日本はその相手にワールドカップのグループステージで、宮澤ひなたの2得点などで4-0の快勝を収めた。FIFA公式サイトによれば、ボール支配率はスペインの68％に対し、日本は21％。池田太監督は試合後に「相手にボールを動かされている中で、ボールを奪ってからのスピード感を出せた。効率的な攻撃で得点できた」と振り返った。スペインがその二の舞を演じるまいと警戒してくる中で、日本は前回の試合内容からさらに上積みができるか。

池田監督が「技術やインテリジェンスの高いチーム」と評するスペインは、そうそうたるメンバーがそろう。MFアレクシア・プテジャスは国際サッカー連盟（FIFA）選出の女子年間最優秀選手に2度輝いた技巧派の司令塔。MFアイタナ・ボンマティとの中盤は強力だ。FWジェニファー・エルモソはパワフルなシュート、空中戦の強さを持ち味とするストライカー。DFイレーネ・パレデスは守備の要となるセンターバックだ。こうしたベテランに加え、昨年のワールドカップで最優秀若手選手に選ばれたFWサルマ・パラジュエロのような逸材も注目される。

スペイン戦の3日後、パリで第2戦の相手となるのはブラジルだ。オリンピックは女子サッカーが採用された1996年のアトランタ大会から、アメリカと共に全大会に出場。その全てで準々決勝進出以上という素晴らしい成績を残している。そのうち2004年のアテネ大会、2008年の北京大会は銀メダルを獲得。この強豪にとって金メダルは悲願ともいえる。今年限りで代表キャリアに終止符を打つというエースのマルタに、花道を用意できるか。

38歳となったマルタは今回が6度目のオリンピック出場で、FIFA女子世界最優秀選手に輝くこと5度という、まさに世界女子サッカー界のレジェンド。彼女の動きを封じることも重要となるが、今年4月にSheBelieves Cupの3位決定戦で対戦した日本の北川ひかるは「マルタ選手とのマッチアップは、躊躇（ちゅうちょ）することなく対応できた」と自信をつかんだ様子。FWのアドリアナ、ケロリンも日本の守備陣がしっかりとマークしたいアタッカー。後方はDFのラファエリ、タミレスらのベテランが引き締める。今年2～3月のCONCACAF女子ゴールドカップは決勝でアメリカに0-1と惜敗したものの、強豪相手に自信を深めたようだ。

ブラジル戦の後、なでしこジャパンはナントに戻り、7月31日にグループステージ最終戦のナイジェリア戦に臨む。ナイジェリアは2000年のシドニー大会でオリンピック初出場後、2008年の北京大会まで3大会連続出場を果たしたが、パリ大会は4大会ぶり4度目の出場となる。2004年のアテネ大会で準々決勝に進出したのが最高の成績だ。現在のFIFAランキング（2024年6月14日発表）は36位と、スペインの1位、日本の7位、ブラジルの9位に比べれば低いが、その実力はトップクラスに引けを取らない。昨年のFIFA女子ワールドカップのラウンド16では、のちに準優勝したイングランドにPK戦で惜敗。同大会のグループステージでは、東京オリンピックの覇者・カナダとの一戦をスコアレスドローに持ち込んだ。

日本がナイジェリアと対戦した直近の試合は、2022年10月に神戸で行われた国際親善試合。田中美南の2得点で2-0の勝利を収めた。植木理子は相手の印象を「フィジカル面で日本の選手とかけ離れている」と語った。その代表的存在がCAF女子年間最優秀選手6度の実績を持つFWアシサト・オショアラ。FCバルセロナ（スペイン）時代はUEFA女子チャンピオンズリーグ優勝も経験した、スピードとパワーにあふれたストライカーである。FWウチェンナ・カヌ、MFラシーダト・アジバデは機動力を生かしてチャンスに絡む。WEリーグのマイナビ仙台レディースに所属するDFチディンマ・オケケもメンバー入りを果たした。