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【SPECIAL】新春インタビュー 中村敬斗 選手(スタッド・ランス/フランス)
2025年01月10日
もっと自分を磨いていきたい
SAMURAI BLUE(日本代表)で存在感を発揮している中村敬斗選手に、クラブのことや日本代表のこと、未来に向けての意気込みを伺いました。
※このインタビューは2024年12月6日に実施しました。
今の自分は昨年1月と全く違うと言っていい
――最初に、昨年同じ時期のインタビューに登場した遠藤航選手にも聞いた質問を。中村選手にとって2024年を漢字1文字で表すとすると、どんな文字になりますか。
中村 遠藤さんは何と?
――「動」でした。リバプールFCへの移籍など、いろいろと「動く」ことがあったからという理由でした。
中村 なるほど。うーん・・・。少し無難になってしまうかもしれませんが、僕の場合は「成」でしょうか。成長を実感できる1年になりました。
――昨年は、SAMURAI BLUE(日本代表)の全ての活動に参加しました。
中村 元日のタイ代表との国際親善試合(TOYO TIRES CUP 2024)から継続して代表活動に呼んでいただき、とても充実した1年でした。
――23年3月に日本代表デビューを果たすと、6試合6ゴールと得点を量産し、昨年1月のAFCアジアカップにも出場しました。
中村 自分にとっては日本代表として迎えた、初めての大きな大会でした。結果は悔しいもの(準々決勝敗退)でしたが、そこからチームとして課題を克服し、成長したと思っています。当時と現在のチームの分かりやすい違いとして、4バックから3バックになったことが挙げられます。システムが変わったことで攻撃に関わる人数が増え、改善された面もあります。個人としては縦に突破する意識が変わりました。アジアカップではそういうプレーにうまくトライできなかった反省があって、大会後にその部分を磨こうと意識的に取り組みました。
昨年1月のAFCアジアカップでは自陣に引いて守りを固める相手に手を焼いた
――具体的には、どのような取り組みを?
中村 今、僕がプレーしているフランスリーグは「個の力」を重視しています。以前までは相手と1対1になったときにカットインして得点に絡もうとする場面が多かったのですが、今は縦に突破することも意識しています。それが(昨年10月の)オーストラリア戦でうまく発揮できたと思っています。
――途中出場して流れを変え、左サイドで縦に仕掛けて、クロスボールから相手のオウンゴールを誘発しました(試合は1-1の引き分け)。
中村 自分自身も、プレー面で以前との違いを出せたと感じています。突然、自分の何かが変わったわけではなく、スタッド・ランスで試行錯誤を繰り返し、徐々に変わることができました。今の自分は、昨年1月の自分と全く違うと言っていいくらいです。
最終予選のオーストラリア戦では途中出場ながら存在感を示し、相手のオウンゴールを誘発
――守備的な相手が多かったアジアカップで、縦に仕掛ける重要性をあらためて痛感したのですね。
中村 スタッド・ランスでは、以前はチームの戦術的に中央に入ってパスを受けることが多く、そこまで(縦に仕掛けることの)必要性を感じていませんでした。その点、日本をリスペクトしてくるアジアの国々を相手にすると、良い形で自分にボールが回ってきて、たびたびDFと1対1のシチュエーションになりました。ただ、そこでうまく仕掛けられなかったんです。
サイドアタッカーとしてもっと上のレベルに行くためには、プレーの幅を広げて、縦に仕掛けることも必要なのだと強く感じました。フランスリーグは自分の個を伸ばすためにうってつけの場所ですし、トライし続けている過程で少しずつ自分のプレーが形になってきたように思います。
――その変化が、開幕から先発を任され、結果を出し続けている理由でもありますか。加入2シーズン目の今季は、ここまで15試合のうち14試合で先発し、6ゴールを記録しています(24年12月6日時点)。
中村 それだけではないにせよ、少なからず関係しているとは思います。プレーの選択肢が増えていることは確かなので。
――縦に突破すると、カットインを意識していたときよりもゴールが遠くなり、得点数が減ってもおかしくありません。ところが、実際は昨季から既に2ゴール増えています。
中村 1対1になったときに「必ず縦にいこう」と考えているわけではなく、その意識を強めたことによって、よりアグレッシブに仕掛けられるようになりました。パスを受けて少し考えながら仕掛けるのではなく、ボールを持ったら相手とゴールに向かってスピードに乗っていく。その姿勢がゴールにつながっているのかな、と。守備側からすれば、パスもクロスもシュートもあるので守りにくいと思いますし、自分も何でも持っている選手を目指しています。
目の前の試合 毎日の練習に集中する
――今シーズンは、チームでの立場や周囲の見る目が変わったのでは。
中村 そこは全然違いますね。昨シーズンのように先発で試合に出るか、出ないかという境遇からスタメンに定着するようになり、信頼されていると実感しますし、それによって自分のプレーをさらに発揮できるようになってきたと感じます。
――SAMURAI BLUEにおいてはいかがでしょうか。
中村 初めて日本代表に選ばれたときは、どうやって生き残っていくかで頭がいっぱいでした。ありがたいことに昨年は全ての活動に呼んでもらい、最初の頃と比べれば少しは周りも見えるようになり、気持ちも楽になったと言えるかもしれません。とはいえ、今でも代表活動のたびに、いかに存在感を出し、結果を残すかということを考えています。
クラブで試合に出られなくなったら日本代表にも選ばれなくなるでしょうし、チームでの活躍あっての代表活動です。フランスで試合に出て結果を残し、日本代表に選ばれたらそこでいかに良いプレーをするか考える。毎回、危機感を持って代表活動に臨んでいますし、絶対に生き残るという思いを変わらず持ち続けています。
攻守のタレントを抱えるSAMURAI BLUE。中村選手も「周りが全員うまい」と語る
――FIFAワールドカップ26 アジア最終予選(3次予選)に入り、中村選手は日本代表では3-4-2-1の左ウイングバックのほか、2シャドーでもプレーしています。
中村 周りのみんながうまいので、僕は自分の役割を果たしつつ、のびのびプレーさせてもらっています。今後はもっと勝利に貢献したいですし、その思いは先発でも途中出場でも変わりません。日本代表は勝つことが求められるチームなので、僕も試合に向けて準備して、チームが勝てるように全てを注ぐだけです。
――最終予選はここまで6試合を終えて5勝1分け。3月のバーレーン戦に勝てば本大会出場が決まります。
中村 正直、日本代表は強いと思います。僕にとっては今回が初めての最終予選で、予選が始まる前は「アジアの戦いは厳しい」と聞いていましたが、ここまでとても良い状態で戦ってこられていますし、このまましっかり出場権をつかみたいですね。
――強さの要因はどこにあると思いますか。
中村 一つに絞ることはできませんが、選手層の厚さはあると思います。今はほとんどの選手が欧州の5大リーグでプレーしていますし、それ以外の国にいる選手も、そのリーグで最高のチームで切磋琢磨しています。必然的にレベルは高くなるし、自分も日本代表でプレーするたびに刺激を受けています。
――個人として、これからさらに伸ばしていきたいことは何ですか。
中村 自分は完成されたプレーヤーではないので、挙げたらきりがありません。さまざまなことを吸収して、もっと自分を磨いていきたい。昔は数年先のことまで考え、ビジョンを持って取り組んでいました。それがうまくいった時期もあれば、うまくいかないこともありました。今はあまり先のことを考えずに、目の前の試合、毎日の練習に集中することにしています。「今を生きる」ではありませんが、今後もそういうフォーカスの仕方で自分を磨いていくつもりです。
クラブでの活躍が日本代表につながる。「毎日の練習に集中する」ことを意識している
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