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会長メッセージ

公益財団法人 日本サッカー協会 会長 田嶋 幸三

新たな一歩を踏み出した日本サッカー

この国のサッカー

2021年9月10日、日本サッカー協会(JFA)は創立100周年を迎えました。そして今、次の100年に向けて新たな一歩を歩み始めています。

100年にわたる歴史の中ではさまざまな出来事がありました。JFAが創設されて間もなく起こった関東大震災、世界で唯一核兵器が実戦使用された第二次世界大戦、そして未曾有の大災害をもたらした東日本大震災――。社会情勢や自然災害など幾多の苦難に翻弄されながらも、私たちの先輩はサッカーの灯を消すまいとその度に立ち上がり、挑戦を続けてきました。

その陰に人々のたゆまぬ努力と温かいサポートがあったことも忘れてはなりません。
日本各地にサッカーの種を蒔き、サッカーの土壌を育ててくれた先人たち。終戦後、世界から孤立していた日本に対戦相手として手を差し伸べてくれたアジアの国々。東日本大震災に見舞われたときには世界中のサッカーファミリーからの温かい励ましとサポートがありました。
日本サッカーは、多くのボランティアの皆さんによって支えられています。サッカーの普及や選手育成・強化に心血を注ぐ指導者、審判員、大会運営や草の根のサッカーを支える人々、どんなときも熱い声援を送ってくれるファン・サポーター、そのほかにも多くの人々がさまざまな形でこの国のサッカーを支えています。

JFAは日本サッカーを応援してくださる皆さんが充実したサッカーライフを送ることができるように、そして、素晴らしい人材を輩出しながら日本サッカーを名実ともに世界レベルへと押し上げていく考えです。

強く、魅力ある日本サッカーに

JFAは「JFA2005年宣言」の中で、“2050年までにFIFAワールドカップで優勝する” “2050年までにサッカーファミリーが1000万人なる”ことを「約束」として謳っています。誰もがサッカーを楽しめる広い裾野があってはじめて優れた選手、優秀な指導者、審判員が次々と送り出されてくるのです。

強く、魅力ある日本代表をつくるために、「強化」「育成」「指導者養成」「普及」の“四位一体”を推し進めていく一方で、「技術力(器用さ)」「俊敏性」「持久力」「組織力」「勤勉性」「粘り強さ」「フェアネス」を特長とする「Japan’s Way」の考え方を全国の指導者やサッカー関係者と共有し、ユース年代をはじめとする各カテゴリーに広く浸透させていきます。
なでしこジャパンを再び世界トップへと押し上げるために中高生年代の競技会を整備することも重要な課題です。WEリーグとも連携しながら女子サッカーの強化、育成、普及を推し進めます。

そのほか、指導者養成の改革とエリートコーチの国際化、世界で活躍できる審判員の輩出にも取り組みます。また、JFA夢フィールドとJFAメディカルセンター、JFAヨーロッパオフィスが密接に連携し、テクニカルやスカウティングの知見、医科学的データ、サッカー先進国のノウハウなど、サッカーに関するインテリジェンスを集結することも世界トップになるために必要なことです。そして、それらの情報のデジタル化を図りながら、そこで得られた知見を47都道府県サッカー協会(47FA)やJクラブ、ひいては日本のスポーツ界、そして、アジア、世界へと発信し、国際社会に貢献する日本サッカーを目指します。

メンバーシップ制度の導入と登録制度改革

一昨年から続くコロナ禍は世界中に大きな打撃を与えただけでなく、私たちの生活や価値観をも大きく変えました。JFAにとってもその災禍がもたらした財政的な損失は決して少なくありません。しかし、われわれはこの苦境を改革を実行する好機と捉え、財政の健全化を図りながらも未来に向けた投資を同時に行っていく方針です。
その大きな柱となるのが「メンバーシップ制度の導入」と「登録制度改革」です。
今回、登録改革を進めていく中で、選手登録が大会とひも付いていること、小学生年代(第4種)の約7割(推定)の選手が未登録であること、また、高校を卒業してサッカーをやめてしまう選手が8割近くいるという問題点が浮き彫りになりました。
「登録」は、会やクラブなどのメンバーが支え合うメンバーシップの考えに基づいています。登録費は大会に出場するための費用ではなく、普及活動や選手育成、フットボールセンターなどの環境整備、指導者・審判員の養成、フェアプレーやリスペクトの啓発活動等々さまざまな活動に生かされています。そういったメンバーシップのあり方を広くサッカーファミリーの皆さんに理解していただきながら、サッカーファミリー一人一人とつながるアプリとIT基盤システムを開発し、有益な情報やサービスを提供しながらサッカーファミリーの皆さんの充実したサッカーライフをサポートします。
具体的には、2022年7月(予定)からメンバーシップアプリ(仮称)の運用を開始します。これによって、2023年にはサッカーファミリー約130万人、2025年には約250万人、2050年までには1000万人を達成できると見込んでいます。そして、2年後の2024年からは、「チーム」主体から「選手」主体の登録者管理システムを導入。個人登録によって移籍のスムーズ化が図られ、選手にとってクラブや指導者選びの選択肢が増えるなど、登録者にとってより良い基盤が整備されると思います。

サッカーを通じて社会に貢献できる人材を

サッカー選手に必要なのは、自由と規律、献身的なプレーです。そのベースとなるのは、論理的に考えてプレーすることであり、失敗を恐れずに挑戦し続けることです。それはまた、現代社会に求められている人間像でもあるのではないでしょうか。

常に世界基準を追求し、サッカーを通じて国際社会をリードする人材を育成していくことはJFAの重要な使命です。また、女性活躍社会の推進や多様性を認め合う社会づくりに貢献していくこともスポーツ界に期待されていることでもあります。
子どもたちの心身の健全な発達をサポートする「キッズプログラム」や心の成長に寄り添う「JFAこころのプロジェクト」、真の意味でのエリートとなり得る人材を育成する「JFAアカデミー」。そういった活動を通じて子どもたちの豊かな人間性や社会性を育むとともに、スポーツマネジャーズや女性リーダーシップ・プログラムなどで国際社会に貢献できる人材の養成にも力を注ぎます。

強く、信頼される組織づくり

新型コロナウイルスとの戦いはこれからもしばらく続くでしょう。コロナ禍、少子高齢化、貧困、異常気象などあらゆる危機を想定し、それに備えるための基盤を強化しなければなりません。また、ガバナンスの強化とコンプライアンス順守を徹底させ、社会課題にも積極的に取り組むことのできる、強く、信頼される組織をつくり上げます。

そして、年齢や性別、障がいの有無に関係なく、レベルや目的に合わせて楽しめるフットボールの普及、また、日本で暮らす外国人のサッカー愛好家の皆さんとの交流も深め、SDGs(持続可能な開発目標)の原則にもある「誰一人取り残さない」社会の実現に寄与したいと考えています。それには、前述した通り、健全なサッカーの土壌を醸成していくことが必要不可欠です。

リスペクトの推進と暴力や暴言・差別の根絶、子どもたちや社会的弱者がスポーツを安心に安全に楽しむ権利とその環境を守る「JFAセーフガーディングポリシー」の周知徹底など、誰もが自由に、気軽に、そして安心してサッカーを楽しめる環境を築きながら、“生涯スポーツとしてのサッカー”を確立させます。

次の100年も先人たちが築いてくれた歴史と伝統を継承し、「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する」という理念の実現に向けて挑戦を続けてまいります。これからの日本サッカーをサッカーファミリーの皆さまと共に育んでいきたいと考えています。

公益財団法人日本サッカー協会 会長
田嶋 幸三

田嶋 幸三 会長 プロフィール

JFAの理念

サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、
人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する。

JFAの理念・ビジョン・バリュー