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【JFA STATEMENT】第11回 JFA、SAMURAI BLUEともに、新たなステージに向けて再始動
2015年04月07日
FIFAワールドカップロシア2018 アジア予選に向けて再スタート
早いものでもう4月、都内では新緑が芽吹きはじめ、春本番の陽気になってきました。新学期や社会人生活をスタートさせた方も多いことでしょう。
SAMURAI BLUE(日本代表)もハリルホジッチ新監督の下、再スタートを切りました。
3月の強化試合には31人の選手を選出。トレーニングでは、スタッフを含むチーム全員でランニングをするなど、自らのサッカーをチーム全体に浸透させようというハリルホジッチ監督の意図が見て取れました。
27日は、FIFAランキング25位(2015年3月12日現在)のチュニジアと対戦しました。チュニジアは、アフリカではアルジェリアやコートジボワールと並ぶ強豪で、しっかりパスをつなぎ、堅実なサッカーで仕掛けてくる試合巧者。その難敵を相手に、攻守両面で躍動感あるサッカーを見せ、2-1で勝利しました。31日のウズベキスタン戦は一段と縦への動きが向上し、5-1の大勝。準備の時間も短く若干の不安はありましたが、上々の滑り出しだったと思います。
2試合を通して、守備では常に相手のボールを奪おうとする意識が出ていましたし、攻撃では最優先で、相手ゴールに向かおうという姿勢が感じられましたでチームが大きく変わったという印象を持ったのは、ファン・サポーターの皆さんも同じではないでしょうか。新しい選手や若い選手もそれぞれいい働きをしていましたし、代表経験者もFIFAワールドカップやAFCアジアカップで失いかけた自信を取り戻したようで、6月のワールドカップアジア予選に向けて戦う準備がなんとか間に合ったという感じです。
ハリルホジッチ監督は、元日本代表監督のオシムさんと同じ旧ユーゴスラビアのボスニア・ヘルツェゴビナの出身で、選手時代はストライカーとして活躍しました。1976~1985年までユーゴスラビア代表として活躍し、ワールドカップは、82年のスペイン大会に出場しています。
引退後は、モロッコのラジャ・カサブランカで指導者としての活動をスタートしたのち、フランスのスタッド・レンヌFCパリ・サンジェルマン、トルコのトラブゾンスポルなどの監督を歴任。代表では、コートジボワール、アルジェリアを率いてワールドカップに出場しました。
選手としてはもちろん、指導者としての経験と実績は申し分なく、特に、外国の文化やメンタリティを理解し、その国の良さを生かしたサッカーで結果を出しているところに大きな信頼と期待と寄せています。 「負けるのが大嫌い」と言って憚りませんが、日本に必要な“勝者のメンタリティ”を吹き込んでくれるのではないかと思っています。「勇将のもとに弱卒なし」という言葉がありますが、監督には強いリーダーシップでSAMURAI BLUEを強い日本代表、そして勝てる日本代表へ導いてほしいと期待しています。
2ヶ月後には早くも2018年のロシア大会出場を懸けた2次予選が始まります。先のAFCアジアカップを見て分かる通り、どの国も急速に力をつけていますので、アジア予選は相当厳しい戦いになるでしょう。監督にとっては十分な強化期間を取れずに予選を迎えるわけですが、当面は、2次予選を戦いながらチームをつくっていくということになると思います。甘く見ているわけでは決してありませんが、この2次予選を有効に使ってもらい、まずはアジアを突破する。そのあとは、世界トップレベルの強豪と渡り合える力をつけていく。監督は、日本には十分その力があると言っていますし、高い目標をもつことでレベルは上がります。
ブラジル大会でグループステージ敗退したからといって日本が弱体化しているわけではありませんので、選手には自信をもってさらなる高みを目指してほしい。とはいえ、ここから上位に食い込んでいくのはそう簡単なことではありませんから、選手全員が覚悟して取り組む必要があると思っています。
JFAの組織改革
2012年に会長に就任して以降、重点施策の一つに「JFAの組織強化」を掲げて取り組んできました。翌13年にFIFA(国際サッカー連盟)が加盟協会に対して「FIFA標準規約に準拠した規約を承認すること」を義務化したことに伴い、日本サッカー協会(JFA)は「JFAリフォーム」と題して組織改革のスピードを加速させ、ガバナンスの整備や規約の改正、組織・人事システムの再構築、さらには、47都道府県サッカー協会の基盤強化などに取り組んできました。
先週(3月29日)開催した評議員会では、FIFA標準規約に基づき、75名の評議員が新たに選任されたほか、「役員の選任及び会長等の選定に関する規程」と「会長予定者の選出に関するガイドライン」についても審議され、承認されました。来年3月の次期改選から適用され、理事会は、評議員会で選定された会長、副会長3名、専務理事1名、常務理事3名、理事15名の23人体制となります。
会長予定者は、理事による投票や評議員による推薦を経て、最終的に臨時評議員会における決議によって決まります。これは、FIFAの指摘を踏まえて会長予定者の選出手続きを、より民主的で透明性を高くすべく、選出の過程に幅広いステークホルダーを含めたことによるものです。
今回の評議員会では、平成26(2014)年度年の決算も承認されました。為替の影響が大きかったのですが、14年度の収益は約188.8億円、費用は167.7億円となり、約21億円の収入増となりました。この中から、昨年度に引き続き、JFAのフットボールセンター建設に向けて8億円、JFAハウスの修繕に備えて1億円、そして、昨年10月の理事会で新たに承認された各都道府県を中心としたJFA施設整備助成事業の支出に備えて11億円を特定資金として積み立てることを決めました。
4月1日には、既に発表しているオフィシャルパートナー(キリンビール株式会社、キリンビバレッジ株式会社、キリン株式会社)とオフィシャルサプライヤー(アディダス ジャパン株式会社)に加え、6社のサポーティングカンパニー(現行は6社だが、最大10社に)を発表しました。これら新契約によって、今後8年間の財政計画、事業計画を具体化していく段階に入りました。「JFA2005年宣言」に明記した「JFAの約束2015」を検証した上で、新たな目標設定をします。また、2005年宣言の具現に向けた中間地点として、2030年までに達成すべき新しい目標も立てることにしており、2015年の総括と合わせて、5月までには発表したいと準備を進めています。
「JFA2005年宣言」から10年、2007年度には全ての都道府県サッカー協会(FA)が法人化され、FAの組織運営などの健全化や経理の透明化が図られました。そして、プレジデンツ・ミッションに掲げる施策をはじめ、様々な事業を展開することで、サッカー界全体の基盤が整備。そういった経緯の中での今回の大規模な組織改革は、さらにサッカー界を大きく成長させ、発展させるものだと思っております。
掲げる目標や課題を単なるお題目とせず、それぞれがしっかり認識し、責任をもって遂行していくことが重要です。ステークホルダーの皆さんをはじめ、多くのファン・サポーターの皆さんには温かくも厳しく見守っていただきたいと思っています。