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Jヴィレッジが全面再開、復興のシンボルとして期待
2019年04月22日
4月20日(土)、福島県のJヴィレッジが全面再開の日を迎え、「Jヴィレッジグランドオープンフェス!~To the future~」が華々しく開催されました。
グランドオープン記念式典は、高円宮妃久子殿下ご臨席のもと執り行われ、主催者として株式会社Jヴィレッジ代表取締役社長の内堀雅雄福島県知事、松本幸英楢葉町長、遠藤智広野町長が、来賓を代表して渡辺博道復興大臣、吉田栄光福島県議会議長、日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長が登壇しました。
Jヴィレッジは、1997年に日本初のナショナルフットボールセンターとして福島県に誕生しました。2011年の東日本大震災後には、原発事故の対応拠点となり、フットボールセンターとしての機能は果たせずにいました。しかし、昨年7月、新生Jヴィレッジとして一部営業を再開してからは、なでしこジャパンやU-17やU-15をはじめとするサッカー日本代表チームの合宿や各種大会を受け入れるなど、フットボールセンターとしての本来の姿を取り戻しています。Jヴィレッジの内堀社長は「未来を担う子どもたちの声がピッチ上に響き、なでしこジャパンなど国内外のアスリートが合宿を行い、再びサッカーの聖地としての歩みを進めております」と述べ、全面再開への感謝を伝えました。また、Jヴィレッジが2020東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーのスタート地に決定したことを受け、「どんな困難も克服できるという希望の光を国内外に発信していきたい」と話します。JFAの田嶋会長は、Jヴィレッジが日本サッカーの発展に欠かせないことに触れ、「Jヴィレッジにハード面だけでなくソフト面をしっかりと入れていくのが私たちの役割。私たちも、多くの皆さんのサポートによって世界中にアピールしていきます」と力を込めました。
この日はグランドオープンフェスとして、福島のグルメ38店舗が大集結した「ふくしま食とお酒のマリアージュ」やU-7・U-9・U-11を対象としたMS&ADサカママカップのほか、バブルサッカーやスクール体験、ゲームコーナーなど数多くのイベントが催され、特設ステージでは、豪華なゲストを招いて、お笑いライブやトークショー、スペシャルライブが行われました。
また、Jヴィレッジのグランドオープンに合わせてJR常磐線のJヴィレッジ駅(臨時駅)も開業。新駅を利用して多くの人が訪れ、Jヴィレッジは終日にぎわいを見せていました。
イベントに参加した地元の人々は「これだけ多くの人が集まっていて感動した」「今回のイベントは素晴らしい。新生Jヴィレッジに期待したい」「これを機にいろんな人に福島をアピールしてもらいたい」と話し、“復興のシンボル”としてJヴィレッジに大きな期待を寄せていました。
コメント
内堀雅雄 株式会社Jヴィレッジ代表取締役社長・福島県知事
Jヴィレッジは平成9年に誕生し、東日本大震災が発生するまで年間50万人もの方々にご来場いただいていました。震災後は長らく原発事故対応の拠点となっていましたが昨年7月、ホテル棟などの新たな魅力を加えた新生Jヴィレッジとして一部再開し、9月には全天候型練習場をオープンしました。このほど7番ピッチと8番ピッチの復旧が完了し、グラウンドオープンを迎えることができました。関係の皆さん、Jヴィレッジを応援してくださる多くのサポーターの皆さんに心から感謝を申し上げます。2020年東京オリンピックの聖火リレーでは、ここJヴィレッジがグランドスタートの地に決定し、本県復興のシンボルであるJヴィレッジから復興五輪の聖火リレーがスタートします。どんな困難も克服できる、という希望の光をJヴィレッジから国内外に発信できることを本当に嬉しく思います。まもなく新しい時代「令和」が幕を開けます。新時代においてもJヴィレッジがこの地域の中核的な施設として、スポーツの振興はもとより、双葉地方をはじめとする浜通り、ひいては福島県全体の復興創生に寄与できるよう取り組んでまいります。
田嶋幸三 日本サッカー協会会長
この20年間の日本サッカーは、世界の中でも歴史上ないほどのスピードで発展しています。まさにここJヴィレッジで代表選手が技を磨き、若い選手たちが鍛えられ、指導者、審判員が養成されてきたこと、これが間違いなく発展の要因だと思います。過去も未来も、Jヴィレッジは日本サッカーの発展に欠くことのできない存在です。今日グランドオープンを迎えることができ、本当にありがたいと思っています。しかし、まだまだ皆さんのサポートが必要です。サッカーをする人、スポーツを愛する人が毎日ここに集まるかどうか。そしてJヴィレッジ駅を通じて、多くの方々にここに来ていただけるかどうか。課題は山積みです。2021年にはJFAアカデミー福島の男子が戻り、2024年には女子が戻ってきます。今後、ここを多くの人で埋め、そして多くの子どもたちの笑顔で常に埋まっている状態をつくること、それが本当の成功だと考えます。Jヴィレッジの素晴らしさは世界中に誇れるものです。どんどん広め、多くの方が集まれる施設にしたいと思っています。
西間木将 さん(エストレージャス/福島県郡山市)
今日は4年生以下の子どもたちを連れてジュニアサッカー大会(MS&AD soccer MAMA CUP)に参加しました。U-9とU-11に2チームずつ参加しましたが、U-9の子たちは普段は練習がほとんどなので、今日は試合ができて子どもたちも親御さんも喜んでいて、優勝した時はすごく嬉しそうでした。こうしたお祭りのようなイベントだと小さい子も飽きなくて本当に楽しかったみたいです。Jヴィレッジは天然芝も人工芝もピッチの質がとても良いですね。震災に遭った子どもたちはいま中学2年生くらい。あの頃はなかなか外でプレーできなくて運動不足の子が多かったです。チームから離れて関東などに移った子も半分以上いました。今は新しい子たちが入ってきています。福島で良い選手を育てていけるように。昨年はU-12年代で福島県チャンピオンになれたので今年も頑張りたいです。
坂本裕 さん(楢葉町復興推進課)
「ふくしま食とお酒のマリアージュ」の企画趣旨は、Jヴィレッジという立派な施設をいろんな使い方をしてスポーツをしない人も子どもから大人まで、まず1回は来てほしいということが一つです。そして、Jヴィレッジ単独で盛り上がるのではなく、地元のいろんな企業の皆さんと一緒にやることで、町全体でJヴィレッジに関わるという流れをつくりたいということも狙いの一つです。せっかくの機会ですからこの地域だけじゃなく、福島県を丸ごと楽しんでもらいたいという思いもありました。Jヴィレッジは、福島県や浜通り、楢葉町にとって、もともとシンボル的な場所ではありましたが、震災後に原発事故の対応拠点になったことでより復興のシンボルという意味合いが強まったと思います。人口がなかなか回復してこない状況の中で、交流人口の増加や経済効果への期待は大きいです。