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ゴールキーパーA級/レベル3コーチ養成講習会 集合研修を開催
2022年04月21日
ゴールキーパーレベル3コーチ養成講習会の第1回集合研修ならびにゴールキーパーA級コーチ養成講習会の第2回集合研修を、それぞれ4月5日(火)から7日(木)、4月11日(月)から12日(火)にかけて福島県・Jヴィレッジで実施しました。
ゴールキーパーレベル3コーチ養成講習会は、大学・シニアチームなどのゴールキーパーの指導ができる人材を養成すると同時に、日本のゴールキーパー指導者のリーダーとなる人材を育成することを目的としています。内容としてはUEFA GK-B級と同等のものであり、JFA GKプロジェクトアドバイザーでGK界のレジェンドであるフランス・フック氏をはじめに、ゴールキーパープロジェクトリーダーの川俣則幸氏、同プロジェクトメンバーの加藤好男氏、大橋昭好氏、佐々木理氏を講師に迎え、3日間にわたり講義および実技を実施しました。昨年の同コースは新型コロナウイルスの影響により中止となったため、本年度は昨年の参加確定者を含めた2コース同時開催としました。
ゴールキーパーA級コーチ養成講習会は、第1回がオンラインであったため、今回は初の実地での集合研修となりました。直接顔を合わせてのグループワークやディスカッション、そして指導実践を行い、参加者は活発にコミュニケーションを取り、2日間という短い時間を有意義に活用していました。
両コースとも顔を合わせての初めての研修会であったこともあり、受講生同士でも活発な議論が交わされました。また、オンラインでは行うことが出来ない指導実践を通して、講義の内容をより深く理解するきっかけとなりました。
講師コメント
フランス・フック 氏
◆ゴールキーパーレベル3コーチ養成講習会
第1回JFA GKレベル3講習会(=UEFA GK-B)は2グループ、4チューターでスタートしました。
3日間の開催で、第1回(第2回、第3回は後日開催予定)が行われました。
受講生の各グループもこの新しいカリキュラムにもすぐに適応しました。試合に関連した、現実に基づいたグループミーティングでは、参加者は議論し、グループ内で技術スタッフとして働き、論拠を持って意見を説明しなければなりませんでした。また、理論だけでなく、ピッチ上で何時間も目的と選択について明確な説明と共に指導実践を行いました。多くの新しい情報を得た参加者たちは、今、それぞれの立場で自分の責任を果たしています。参加者、チューター、そして運営側にとって素晴らしいスタートとなりました。次回のモジュールが楽しみです。
◆ゴールキーパーA級コーチ養成講習会
第2回JFA GK-A級講習会(専門家のための絶対的トップレベルコース)は、初めての対面での集合研修を開催しました。参加者の課題は、グループワーク、理論と現場での実践の2つの課題です。彼らは本当に一生懸命に、そして賢く働いてくれました。GOALPLAYINGにアプローチするこの全く新しい方法で、彼らがより良いGKコーチになるためのスタートです。彼らはとてもよく適応し、また実りある時間を一緒に過ごすことができました。今、彼らは多くの課題を満たし、また次のセントラルミーティングの前にマイクログループミーティングを行わなければなりません。私たちチューターも今からとても楽しみです。
川俣則幸 氏
◆ゴールキーパーレベル3コーチ養成講習会
2022年度からGKレベル3は、UEFA GK-Bライセンスのカリキュラムを導入し、大きく内容を変更しました。コースの編成もこれまでの前期、後期の2期制から、3期制へと変更し、間の学習では、ただ単に指導実践を行うのではなく、指導対象のGKのプロファイルを作成し、ゲーム分析、トレーニング計画立案、その上で指導実践を行い、実際の指導現場で求められる能力の向上を図れるようにデザインされています。
また、今年だけの限定的な措置ではありますが、2コースを同時開催するという新しい試みにもチャレンジしています。コース内では、時に、2コース合同の講義を行うなど、通常よりも多くの体験や経験の共有も行っています。また、フランス・フック氏による的確なアドバイスは参加者だけでなく、我々チューターにとっても貴重なものでした。今回、共有したことは多岐にわたりますが、個人課題、間の学習を経て、さらにレベルアップした姿で第2回集合研修に集まれるように、参加者の学習をサポートしていきます。
◆ゴールキーパーA級コーチ養成講習会
第1回集合研修(オンライン)からの個人課題、マイクログループミーティング①での活動報告や、ゲーム分析課題をもとにグループでさらに意見交換を行いました。またゲーム分析結果をもとに、監督、アシスタントコーチ、GKコーチという役割分担で、指導実践案を作成し、それをグラウンドで実践するというプロセスに挑戦しました。GK-A級では、GK個人の課題改善に取り組むことはもちろん、チーム、ユニットとしての課題を解決し、次の試合に向けて準備するというプロセスが重要になります。ゲームで課題のあったシーンをゲームから切り出してフィールドプレイヤーと一緒に再現し、それを改善することは難しい反面、GKだけで取り組むトレーニングでは改善できないコミュニケーション(状況把握と味方との連係)、ディシジョン(決断)の改善に取り組める機会でもあります。現実ベースのこうした取り組みと、間の学習であるクラブレベルでの実地研修、マイクログループミーティング、今回出された新たな個人課題に取り組むことにより、さらにレベルアップして第3回集合研修を迎えられるように、我々チューターは、受講者の学習をサポートしていきます。そして、ここでもフランス・フック氏から我々の成長を促すサポートをいただいたことに感謝しています。
加藤好男 氏
◆ゴールキーパーレベル3コーチ養成講習会
2年越しのJFA GKレベル3コーチコースが2コース同時に開催出来ました。昨年より延期させていただいていた受講者の方々と今年度新規で受講される方々とJヴィレッジにて同時期に開催出来ましたことは大変喜ばしいことです。また、今年度よりUEFA GKカリキュラムを導入して今までのレベル3からバージョンアップさせました。第1回集合研修では、ゴールキーパーからゴールプレイヤーへ進化していくモダンフットボールのプレースタイルやポジションの役割などについてフランス・フック氏より講義をしていただきました。指導実践では、監督、アシスタントコーチ、GKコーチと担当を決めて実施しました。第2回集合研修へ向けた「間の学習」が指導者のスキル向上にとって重要な取り組みとなります。我々チューターも含めてさらなる指導スキル向上へ向けて前進していきたいです。
◆ゴールキーパーA級コーチ養成講習会
今回は第2回集合研修を初の集合形態でJヴィレッジにて開催出来ました。第1回から第2回へ向けた「間の学習」において出されたゲーム分析の課題に対してセッションプランを各自が作成しました。その内容をグループで議論し、一通りの結論を出してグループで指導実践の準備をし、二日目にはそれぞれのグループでプレゼンをしたのち、ピッチでの指導実践を行いました。オーガナイズ面、監督、コーチ、GKコーチの連携面、GKコーチのコーチング面の項目について各自で視察し、質問や意見を用意していただきました。実践終了後はチューターを中心に全体で議論しました。コース内ではフランス・フック氏からの講義や、受講者のプレゼンに対するフィードバックもしていただきました。コロナ禍ではありますが、集合研修で直接顔を合わせて議論することの有意義さを改めて再認識出来たコース開催となりました。
◆総括
今回の開催は、受講者やそのチームの関係者、受け入れていただいたJヴィレッジなどのご理解とご協力あってのことです。また、指導実践に参加いただいた尚志高校、ふたば未来学園高校サッカー部の皆様のご協力にも感謝します。この時期に対面式の講義や実技が出来たことで、参加者のディスカッションや交流にも熱が感じられました。もちろん感染対策を講じながらのコースであり、参加者の協力のもと成り立っています。フランス・フック氏が、直接の講義や振り返り、質疑応答に関わってくれたことも大変ありがたかったです。レベル3は第2回に向けて、GK-A級は第3回に向けて共に「間の学習」が入りますが、さらなる指導のレベルアップに向けて日常の業務を遂行する中で生かしていただきたいと思います。我々チューターもさらなる良いコース開催に向けて準備を進めていきます。
より多くの方にGKプロジェクトをご理解いただくため、下記にQ&Aコーナーを設けております。ご質問のある方は以下フォームよりご入力ください。
https://forms.gle/JUgs6n9NyErTpjTB7
受講者コメント
西井竜一 さん(GKレベル3)
コロナ禍の中、様々な感染対策をして開催をしてくれたことに感謝します。GK指導について学びたい、より良いGKコーチとなるために知見を広げたいという思いで受講しました。ただ、最初に『ゴールキーパー』ではなく『ゴールプレイヤー』に変わっていくという話があり、納得できるところと違和感があるところがあります。これからまだまだ進化していくサッカーの中で『ゴールプレイヤー』という名称に変わり、役割やチームに対する重要度が増してくると思うとワクワクする気持ちとGKコーチの責任の重大さに身が引き締まる思いです。モジュール1での内容はボリュームがありまだまだ消化しきれていませんが、間の学習の時間を有効に使い、良い準備をしてモジュール2に臨みたいと思います。
谷口翼 さん(GKレベル3)
今回は今までのやり方を大幅に変更しての講習で、受講生はもちろんですがチューターの方も模索しながら行っている様子が伺えました。日本の教育上トップダウンが当たり前でそのやり方しか知らない日本人にとってはこれで出来ているのかどうかと常に考えさせられる場となりました。あまり評価というものを気にせずに自分の持っている考え方ややり方をオープンにして、考え方を見直し成長できればと思います。
佐野智之 さん(GK-A級)
このコースに関わる全ての皆様の入念な準備のおかげで、コロナ禍ではありますが2回目のセントラルミーティングを集合研修で安全に開催できたことに感謝申し上げます。オンライン研修の良さもありますが、やはり集合研修を通じて生の意見を情報交換し、議論を交わす事がどれだけ意義深いものかをあらためて認識することができました。2日間と短い時間ではありましたが、3名のチューターの方々からは多くの学び、気づき、示唆をいただくことができました。分析においては構造とプロセスが重要で、客観的事実を基に結論を出すこと。そして結論に基づくリファレンスを多面的な観点から分析し、導き出した結論を分かりやすく選手に情報提供することの重要性と難しさをあらためて痛感しました。まだまだ自分自身の頭の中のパズルは整理されていませんが、これらのスキルを向上させ、日常の現場に還元していければと思います。