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[特集]部活動の実情とこれから 事例紹介~部活動の形とは~vol.01 「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」への取り組み 東京都品川区立荏原第一中学校
2020年08月25日
部活動の形は一つではない。地域や環境によってさまざまな課題があり、それぞれに合った取り組みがある。
今回は、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に沿った形で活動しながら全国大会に出場した品川区立荏原第一中学校、JFAが作成した「中学校部活動サッカー指導の手引き」を活用している近江八幡市立八幡西中学校、合同部活動として地域の生徒を迎え入れている横須賀ブロック、学校と地域クラブの連動を実現している幕総クラブの事例を紹介する。
※取材は2m以上の距離を確保し、インタビュアーはマスクを着用して実施
※本記事はJFAnews2020年4月に掲載されたものです
効率の良いトレーニングだけでなく周囲の協力や理解が必要
2019年8月、第50回全国中学校サッカー大会に関東代表として出場した品川区立荏原第一中学校は、同年3月にスポーツ庁が策定した「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に則って活動している。全国大会では1回戦で青森山田中学校と対戦して0-2で敗れたがトレーニングの成果を大舞台で発揮し、強豪校と渡り合う姿が注目を集めた。
サッカー部顧問を務める菊地洋至氏によると、平日の練習は週4回。最近は土曜日も授業日とする中学校が多いこともあって公式戦や練習試合を日曜日に実施することが多いが、その場合は土日に練習と試合を行い、平日のオフを1日増やすなど、「週当たり2日以上の休養日を設ける」というガイドラインの基準に則して活動している。
主な練習場所は学校のグラウンドだが、他の部活動との併用でサッカー部が独占できるわけではない。ガイドラインでは平日の活動時間は「2時間程度」に設定されている。菊地氏はその中でいかに効率的なトレーニングをするかに腐心している。
「4日のうち2日はグラウンド全面を使えますが、残り2日は野球部と半分ずつ。全面でも縦70m、横45mぐらいなので、正式なピッチの半分ほどの広さで練習します。3学年で70人前後の部員がいる中、狭いスペースで効率的な練習ができるように考えています」
菊地氏は全ての部員が多くボールに触れられるよう、「Do(実行)の確保」を意識したメニューを考え、トレーニングに取り入れているという。
「全面のときは部員を4つのグループに分け、グラウンドを4分割して、このグループはポゼッション練習、このグループはシュート練習などとローテーションさせています。半面のときはグラウンドを使わなくてもできる走りのメニューも取り入れますが、走るだけにならないよう、こちらもいくつかのメニューを用意して交代で行います。僕らスタッフも毎回練習に参加できるわけではありませんが、なるべく各グループに配置し、選手たちに声をかけたり、順番待ちをしている部員には『今はどっちの選択肢のほうが良かった?』などと考えさせます。選手同士にもディスカッションさせるように促しています」
菊地氏はもともと「朝から晩まで毎日練習してもパフォーマンスが上がるわけではないし、休養も必要」という考えを持っていた。その点、適切な休養日を定めたガイドラインは「過度なプレータイムから部員を守るものにもなる」と菊地氏は語る。
一方で、保護者の中で審判員の資格を持つ人が公式戦の審判や宿泊を伴う大会の引率を買って出てくれたりと、ガイドラインの「生徒のニーズを踏まえたスポーツ環境の整備」 に記された「保護者の理解と協力」も部活動を運営する上で大きな要素になっている。「公立中学校として制約がある中、地域と連携しながら取り組んでいるモデルケースとして発信していきたい」という声も保護者の間から出ているそうで、菊地氏は「学校の理解も含め、ありがたいですね」と謝意を示している。
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