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VOL.005 EURO2012TSGからの報告
2012年08月09日
UEFAのリスペクトキャンペーン
UEFAはサッカーというスポーツの影響力と社会的責任から、これまでもNPOなどの団体と協力しながら人種差別の撤廃など様々な社会活動を行ってきています。欧州だけでなく世界中の関心が集まるユーロ2012でも大会期間中にも「リスペクトキャンペーン」を行っていました。
このリスペクトキャンペーンは、主に次のRespect Diversity、 Respect Fan Culture、 Respect Inclusion と Respect your Healthの4つのプロジェクトから構成されていました。
UEFAはこのリスペクトキャンペーンでの様々なアクションや取り組みのプロジェクトのために総額で300万ユーロ(約3億円)をサポートしました。
Respect Diversityプログラムは人々に人種差別撤廃のメッセージを伝える取り組みです。欧州での人種差別は社会問題となっており、キャンペーンでは多くの公共施設や広場などには、民族や国籍、性別、障害などで人々が差別を受けることがないよう訴えかける看板や広告などが設置されていました。
開催都市のひとつウクライナのLVIV(リビブ)では街中を走る路線バスの車両にもUEFAのリスペクトの広告が載っていました(写真参照)。また、街中の大きな公共施設にも大きな広告が描かれているのを見かけました。
ジャージ・エクスチェンジ・イニシアチブと呼ばれたアクションでは、相手とユニホーム交換を行うことで相手へのリスペクトの気持ちを表現するといったことも行われていました。このキャンペーンに賛同しているイタリア人審判のコリーナ氏やフランス代表のベンゼマ選手など多くの有名選手やレフリーがアンバサダーとなって、お互いにユニホームを交換するコマーシャル映像を作り上げました。この映像はユーロ2012のスタジアム内やファンゾーンの大スクリーンやテレビなどで何度も映し出されていました。選手と審判が互いにリスペクトする、相手へのリスペクト、選手とファン、サポーター同士などさまざまな人々に対するリスペクトのメッセージを伝えていました。またこのプログラムの一環としてドネツクとワルシャワで行われた準決勝では両チームのキャプテンがそれぞれ人種差別撤廃を呼びかけるメッセージを読み上げました。
このようなUEFAのリスペクトキャンペーンの取り組みの一方で、人種差別的な応援歌を歌ったり、ピッチに乱入したり、発煙筒をたくなどの残念なサポーターの行為もありました。UEFAはそのような行為、事件に対して、各FAへ罰金などの厳格な処分を行いました。特にロシアサポーターの乱闘事件に対しては、次回の欧州選手権の予選において、ロシア代表は勝ち点マイナス6からスタートするといった処分を下しました。
Respect Fan Culture
ファンカルチャーのリスペクトでは、ウクライナとポーランドに観戦に訪れた各国のサポーターやサッカーファンをサポートする取り組みです。開催会場の8都市ではファン大使と呼ばれる人たちが、各国のサッカーファンのニーズを把握してさまざまなサポートやサービスが提供されていました。空港や街の中心地、サポーターが集まるファンゾーンでは、多くの市民ボランティアの人たちが市内地図や観光案内を配布して、各国のサポーターに困ったことがないか親切に笑顔で語りかけている姿を見かけました。私たちも市内地図をもらい、地下鉄の切符の買い方や路線を教えてもらうなど助けられました。
またオランダが一次リーグの3試合を戦ったウクライナのハルキウでは、街の中心部に設けられたファンゾーンからスタジアムまでの約5kmの道路の片側が試合当日にオランダサポーターのために車両通行止めにされていました。オレンジのユニホームを着たオランダサポーターは試合前にファンゾーンに集合し、踊ったりして大いに盛り上がったあとファンゾーンからスタジアムまでを、まるでカーニバルか優勝パレードのように進んでいきました。これはオランダのファンとその文化をサポートするために開催自治体のハルキウ市が協力して車両を通行止めにして可能となったものです。地元の人々もまたその行進を道路わきから見物して楽しんでいました。
Respect Inclusion
リスペクト・インクルージョンでは、障害などハンディキャップをもった人たちへのリスペクトの気持ちとバリアフリーの社会を作り上げること、ハンディキャップのある人のスポーツにも関心を持ってもらうなどが目的です。決勝トーナメントの試合前にハンディキャップのある選手のサッカーゲームを行い、多くのサポーターに観てもらう機会を作ったりもしていました。また、スタジアムには多くの車いすのサポーターや視覚障害のある方の観戦席も設けられていました。
Respect your Healthのプロジェクトでは開催都市の主に学校やスポーツクラブなどにハンドブックを配布するなどして子供たちや若者が喫煙やアルコールの影響、食事などについての正しい知識を持って健康的な生活を送れるような啓蒙活動がなされていました。
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