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神戸、ACL4強で120分の激闘も蔚山現代に敗れる
2020年12月14日
ヴィッセル神戸は12月13日(日)、カタールで行われているAFCチャンピオンズリーグ(ACL)2020東地区の準決勝で蔚山現代(韓国)と対戦。2戦連続となる120分の激闘を繰り広げましたが、延長後半終了直前にPKを献上して1-2で敗れ、決勝進出はなりませんでした。
ACL初出場でアジアクラブの頂点を目指す神戸は、3日前の準々決勝で韓国の水原三星と延長の末にPK戦を戦って4強入りしましたが、決勝進出をかけた一発勝負の準決勝でも再び延長戦となり、最後まで均衡が崩れない激戦となりました。
神戸はラウンド16での上海上港(中国)戦で足を負傷したMFアンドレス・イニエスタ選手を今大会初のベンチ外に置き、準々決勝と同じ先発メンバーでの編成ながら、中盤の底を2枚にしてMF安井拓也選手をトップ下に置く布陣で臨みます。
一方の蔚山は、かつて神戸でも活躍した元韓国代表FWのキム・ドフン監督が指揮を執り、今季のKリーグで2位に入った勢いを維持して2012年大会以来のアジア制覇を目指しています。FC東京と同じグループを首位で突破すると、ラウンド16、準々決勝と複数得点で勝ち進んできました。この日の先発は前節から4人を入れ替え、試合中も延長での一人追加を含めて6人を替える采配で試合を進めます。
前半は蔚山が右サイドからの仕掛けを中心に神戸ゴールを脅かす場面を作りますが、神戸GK前川薫也選手の好セーブもあってゴールを許しません。神戸もFWドウグラス選手のシュートなどで相手ゴールに迫りながら得点には至りません。
しかし、0-0で前半を終えると、後半に試合が動きます。
先制したのは神戸でした。52分の右CKの場面でニアサイドに詰めたDFトーマス・フェルマーレン選手が相手DFを引き付け、その手前にできたスペースに入ったMF山口蛍選手がダイレクトで右足を振り、ゴールネットを揺らしました。
反撃を試みる蔚山でしたが、神戸は75分に中盤で安井選手が相手ボールを奪って前線へフィード。古橋選手からドウグラス選手とつなぎ、ペナルティボックスに走り込んだ安井選手がパスを受けてシュート。これは相手GKが弾きますが、こぼれ球に後半途中出場のFW佐々木大樹選手が反応。右足で合わせてゴールに押し込みました。
ところがここで、このラウンドから導入されたVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が適用され、主審が映像を確認。中盤でのボール奪取時にファウルがあったとしてゴールが取り消しとなりました。
そして、その5分後に再び試合が動きます。蔚山は左サイドからMFキム・インソン選手がペナルティエリアに持ち込んでクロスを上げると、MFユン・ビッガラム選手がシュート。これが途中出場のFWビヨルン・ヨハンセン選手に当たってコースが変わり、ゴールに吸い込まれます。そこでオフサイドの旗が上がり、一度はノーゴールとされましたが、直後にVAR判定でゴールが認められ、試合は1-1の同点となりました。
その後、勢いを得て左サイドからの攻め込む蔚山に対して、神戸は後半終了直前に交代出場のDF藤谷壮選手のクロスにドウグラス選手が頭で合わせる場面を作りましたが、相手GKに阻まれてゴールを割れません。
両チームともに均衡を破れないまま延長に入ると、2試合連続で延長を戦っている神戸には動きに疲れが見えるようになり、蔚山に押し込まれる展開に。蔚山のキム・インソン選手やFWネグラン選手、ヨハンセン選手らがシュートで神戸ゴールに迫る中、GK前川選手が再三の好セーブを見せてピンチを凌ぎます。
神戸も力を振り絞って得点機会を作り、99分にはFW古橋亨梧選手がドウグラス選手とのワン・ツーで抜け出して左足でシュートを放ちましたが、枠を捉えることができません。
さらに延長後半に入ると、107分にはドウグラス選手が抜け出して相手GKと1対1の場面を作ります。しかし、そこで並走した古橋選手へパスを出して得点機会を逃してしまいます。その2分後にはドウグラス選手が右FKにヘディングで合わせましたが、相手GKに阻止されてしまいました。
そして、1-1のままPK戦突入かと思われた119分、試合は思わぬ展開を迎えます。
これまで再三の好セーブでチームを支えてきたGK前川選手でしたが、ペナルティエリア内に上がった蔚山の左クロスを捉え損ねてネグラン選手に奪われると、もつれて相手を倒してしまいます。PKとなり、これをネグラン選手にゴール左へ決められて、1-2とされてしまいました。
この直後に神戸は古橋選手がFKから直接ゴールを狙いましたが決めることができず、1-2のままで試合終了。ACL初出場でアジアクラブの頂点を目指した神戸でしたが、決勝を目前にあと一歩及びませんでした。
神戸指揮官、「歩んでいる道は間違っていない」
120分を戦い抜いた山口選手は、「僕らよりも蔚山の方が強かったということ。ただ、今持っている力を全て出して、ここまで来れたことは誇りに思っていい。胸を張って帰りたい」と述べました。
「勝てなかったことは非常に残念」と話すDF酒井高徳選手は、VAR判定について「確かにあった事実を見ているのであれば、しようがないことだと思う」とコメント。相手に多くのチャンスを作られたことや、自分たちがチャンスに決められなかったことに言及すると、「それを全部含めて今日の結果だと思っている。この悔しさを忘れる人はいないと思う。できるだけ早くまたこの舞台に戻って、次はもっといい結果を出せるように、成長していきたい」と力強く語りました。
神戸の三浦淳寛監督は、「優勝はできなかったが、そこにチャレンジする過程は素晴らしいものがあった。一体感を持って戦うことはなかなか難しいことだが、この大会で我々は一つになれた」と振り返り、負傷したイニエスタ選手を欠いた中でのチームの戦いぶりにも触れて、「勝ちを求めて一つになって戦った。その姿勢はものすごく評価できる」とチームの健闘を称えました。
さらに、クラブOBで2018年からスポーツダイレクターを務め、今年9月から前任者退任に伴って指揮を執る三浦監督は、初出場ながらもベスト4まで勝ち進んだことについて、「我々の歩んでいる道は決して間違っていないと、正直そう思った。この経験を活かして、来シーズン、ヴィッセル神戸というクラブがしっかり成長でいるように、引き続き努力をしていきたい」と語り、大会を後にしました。
なお、勝利した蔚山は、19日(土)の決勝で西地区を勝ち進んだペルセポリス(イラン)と対戦。勝者はアジア王者として、来年2月にカタールで行われるFIFAクラブワールドカップの出場権を獲得します。