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高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグWEST 松田浩 関西ユースサブダイレクター(2015 プレミアリーグ テクニカルスタディグループ WEST担当)が1節~6節を振り返る
2015年06月09日
4月12日に開幕した高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグWESTも、5月10日の試合を最後に6月27日に再開するまで約一か月半の中断期間を迎えました。ここまでの6試合、すなわちリーグ全体の3分の1を戦った中から、松田浩(関西ユースサブダイレクター)がプレミアリーグWESTに関していくつかの観点から振り返ります。
大量得点が意味すること
リーグの3分の1を経過したところで昨年の同じ時期に比べ、少々大味な試合が多かった印象を受けています。どちらか一方のチームが5点以上の得点を挙げた試合数は、6節までの全30試合中、5試合(17%)を数えました。最多得点試合となったヴィッセル神戸U-18vs名古屋グランパスU18の8−4をはじめ、6−1の試合が2試合、その他5−3、5−0などです。昨年は、5節終了時点(25試合)ではありましたが、唯一、5−0の試合が1試合(4%)あったのみで、片方のチームが6点以上挙げた試合は1試合もありませんでした。その要因はどこにあるのか、6節を終えた時点で明確な結論は出ないかもしれませんが、ゴールシーンの分析や試合後の監督談話などをもとにいくつかの要因を探ります。
得点が入ること自体は悪いことではありません。希望的に考えれば、日本の課題である決定力不足が解消しているのかもしれませんが、そう考えるのは時期尚早です。しかし少なくとも攻撃的な姿勢で戦っていること、ゴールへ向かう姿勢や攻めきる姿勢の現れと捉えることはできます。2014FIFAワールドカップブラジルのトレンドの一つになった、奪ってから縦への速い攻撃の影響も少なからずあるのかもしれません。隙あらば貪欲にゴールへ向かう姿勢はポジティブに捉えることができます。また、試合後の監督談話にもあるように、いくつかの失点は、引いて守るのではなく積極的にボールを奪いに行った代償だったのかもしれません。新チームになって間もない時期での守備組織の連携不足、守備戦術の不徹底なども要因のひとつであると考えられます。そのトライ&エラーは中断期間を経て、ボールを奪い切れる積極的守備の整備に繋がることを期待したいと思います。
しかし、改めて失点を分析してみると、明らかにチームというよりは個人の(ケアレス)ミスがその原因である場合が多くみられます。特に、攻撃面で述べた縦へ速い攻撃(ダイレクトプレー)に対するGKを含む最終ラインの守備の拙さが原因で失点している場面が目につきます。例えば、最終ラインの背後を一気に突くロングボールへの対応の不安定さなどは、これまで特にJクラブ同士の対戦ではあまり見られなかった攻撃パターンであることが原因かもしれません。カウンター攻撃に対する守備にしても、人数は足りているのに、攻撃中の最終ラインの準備が疎かで、問題が起きた時にはパニックとなり最も危険なスペースの管理ができず、冷静な判断、対応ができていないように見受けられます。このあたりの問題は先の2014FIFAワールドカップブラジルを戦ったSAMURAI BLUE(日本代表)においても散見された課題であるだけに、この年代までにできるだけ改善しておきたい部分です。
勝利を追求するタフなメンタリティーが必要
大味な試合、大量失点になってしまう要因として、連続失点を喫してしまうことが挙げられます。拮抗した戦いを続けていたにもかかわらず一つの失点で一気に崩れてしまい、連続失点を喫し、試合が決着してしまうということが多くみられました。これらはメンタル面がその要因の中核となりますが、やはりこの年代はもう大人の入り口の年代であり、世界ではすでに大人として、またプロとして多くの選手が活躍している年代だとしたら何としてでも試合が終わるまで戦う姿勢を維持し、勝利を追求するタフなメンタリティーを培ってもらいたいと思います。一つの失点に過剰に落胆し、今できることへの思考を停止してしまうと、挽回のチャンスは決して訪れません。いかなる状況でもその瞬間にどうプレーすれば、試合終了時に最も良い結果を得ることに繋がるのかということに思考を巡らせながら試合を進めることが不可欠です。
次に繋がる負け方を
これまで今季の高円宮杯U-18サッカーリーグ2015 プレミアリーグWEST序盤戦で少し特徴的だった大味な試合の要因を探ってきましたが、リーグ戦はトーナメントと違い、同じ負けでも次に繋がる負け方というものがあります。そして得失点差は大きく順位に影響するだけに、やはり大量失点は避けたいものです。各チームにはこの中断期間を有効に活用し、自チームを様々な視点から分析し、課題を抽出することが必要です。そして改善のためのプランニング、トレーニングの実施・検証を進め、パワーアップした姿を6月末のリーグ再開以降の戦いで披露してもらいたいと思います。そしてこれまで以上に白熱した、そして拮抗した戦いを期待します。
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