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育成年代のメディカルについて3
2011年09月22日
『育成年代のメディカルについて3』 ~JFAアカデミーの取り組み~
目 次
第一回『早期発見・早期安静の重要性』
第二回『セルフチェック』
第三回『セルフコンディショニングの実際』
第四回『オスグットについて』
第五回『腰椎分離症について』
第六回『その他の傷害について』
第三回『セルフコンディショニングの実際』
今回はアカデミーで行っているコンディショニングの実際の方法について紹介します。
コンディショニングとは『ピークパフォーマンスの発揮に必要な全ての要因をある目的に向かって望ましい状態に
整えること』と定義されます。
コンディショニングには、身体的・環境的・心的因子に分けて考えることができ、暑熱・寒冷環境あるいは高所に
順化したり、試合前に心の準備したりすることなども含まれます。また状況に応じて、どんなコンディショニングが
必要か考えて実行する能力が必要です。
アカデミーで活動する中学3年間は、自分の力で、このコンディショニングを行えるようになるための教育を行って
います。
今回は特に全体で時間を割いて行っている、『練習後のストレッチ』と、『体幹トレーニング』をメインに紹介します。
練習前にウォームアップの一環としてストレッチが行われる場面は多くありますが、練習後のクールダウンとして
のストレッチは省略されがちです。
アカデミーでは、毎日練習後10分~15分の時間を設けて、ストレッチを入念に行います。
ストレッチは、サッカーで多用される股関節周囲の筋肉を中心に行います。
アカデミーのストレッチの例
▼
ストレッチの例.pdf (ダウンロードしてご覧ください)
練習後のストレッチは、疲労感も強くあり、手短で、形だけになりがちです。
ただなんとなくポーズを取るのではなく、伸ばしている場所をしっかり感じ取り、終わった後に、『あぁ。よく伸びた。
軽くなった』と感じることのできるストレッチを行うことが重要です。
同じ部位を伸ばすのにも、さまざまな方法があり、これをしなければならない!という決まったものではありません。
大切なのはどんな方法で行うかではなく、与えられたメニューの中で最も良いストレッチをしようという心がけを
持つことです。そして、さまざまな経験を積みながら、自分に合った方法を見つけることが本物のセルフコンディ
ショニングに繋がります。
続いて体幹トレーニングを紹介します。
体幹とは、でんでん太鼓の、太鼓の部分のようなイメージで、この部分が安定しなければ、手足を安定して動か
すことができず、パフォーマンスは向上しにくく、ケガにもつながります。
アカデミーでは、週に2~3回、体幹トレーニングを取り入れています。
体幹トレーニングも様々な方法がありますが、
簡単なものができてから難しいものへ
止まりながらできてから動きながら…と発展させ、正しいフォームでトレーンングを行うことが重要です。
体幹トレーニングの例↓
1種目あたり20秒~50秒(うまく正確にできる秒数)体幹の強化する部分にあわせて、うつ伏せ・横向き・仰向け・
立位など数種目を組み合わせて、1回10分~15分程度トレーニングしています。
目新しいトレーニングには、選手も興味を持ちやすいのですが、特別なトレーニングをしたから、急激にパフォーマ
ンスが上がるということはありません。今の自分に必要なトレーニングを地道に継続していくことが、レベルアップ
のためには重要だということを、”練習後のストレッチを大事にする“ことを例として、中学生年代で学んでほしいと
思います。
自分にあったコンディショニングを身につけるには、正しい知識を学び、毎日実践する習慣をつけることが必要
です。
アカデミーでは、グラウンドにおけるコンディショニングだけでなく、寮生活における、睡眠・食事の取り方、暑熱
環境での、水分補給の仕方、クーラーの使い方、などについてもスタッフが指導します。
(写真は管理栄養士:袴田さんによる食育の授業の様子です)
また、学年に応じてスタッフが教え込むものと自分で判断させるものの割合を変え、1年生にはコンディショニング
の方法を教えることと、なぜそうするのか理由を理解させることを重点的に指導します。
2・3年生と経験を積み重ねるにつれて、徐々に個人の判断に任せる部分を増やして、コンディショニングを行いま
す。そして失敗を成功につなげること、うまくいっている成果をきちんと確認させることにより、本物のセルフコン
ディショニングを身につけるための手助けをしています。
育成年代では、例えうまくいかないことがあったとしても、指導者が全てを解決するのではなく、自分の力で自分の
コンディションを整えるという能力を身につけることが非常に重要です。
また、前回紹介した、セルフチェックにより得た情報をもとに、全体で行うコンディショニング以外にも、各個人それ
ぞれに対して必要なセルフコンディショニングを指導します。我々スタッフは、この個別対応こそが、選手にコン
ディショニングの実際を理解させる重要なポイントであると考えています。
現代サッカーにおいて、日本と世界のレベルは狭まりつつあります。同等レベルのチームが戦う試合では、コン
ディションが試合の行方を左右する場合が多くなります。
育成年代から、コンディショニングの意識を学び、彼らの夢をぜひ実現してほしいと思います。
次回は、育成年代において頻出するスポーツ傷害『オスグット』について紹介します。
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