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JFAリスペクト・フェアプレーデイズ2024を振り返って ~サッカーの活動における暴力根絶に向けてVol.123~
2024年10月29日
リスペクト・フェアプレーを考える月間
日本サッカー協会(JFA)では、毎年9月の1カ月間は「JFAリスペクト・フェアプレーデイズ」として、リスペクト・フェアプレーをあらためて考え、行動し、言葉にする月間としています。世界から認められた日本サッカーの大切な価値観であるリスペクト・フェアプレー。もちろん期間に関係なく常に存在するものですし、日常になじんだものだと思いますが、それでも年に一度、あらためて思い起こすことが非常に重要だと考えています。
2024年も、さまざまなリーグや連盟・協会、チームで、セレモニーやリスペクト宣言、研修会などを実施していただいたことに感謝を申し上げます。10月にずれ込むものもありながら、さまざまな分野で積極的に取り組んでいただき、ありがとうございました。
リスペクトシンポジウム第1部
2024年もその一環として、9月14日にリスペクトシンポジウムを開催しました。今年は2部構成で、第1部は「暴力・暴言の根絶~セーフガーディングポリシーを全国の日常へ」、第2部は今年宣言を出した「アクセス・フォー・オール」について、サッカーファミリーの皆さんに共有させていただこうとそれぞれテーマを設定しました。
第1部では、基調講演として、JFAから取り組みの趣旨と進捗について共有させていただきました。全員の役割として、全国の日常の中で多くの人がポジティブに関わる前提をつくることが重要であること、そのために各クラブに担当者を置き、隅々まで届けること、そして互いの期待が食い違うことによって起こる問題を防ぐべく、クラブとして大切にすること、共通の約束事としての行動規範を持ち、それに基づいて行動や判断をすることなどをお伝えしました。
また、2023年から開始した「U-18子どもパブリックコメント」の第2弾を実施しましたので、そのフィードバックを行いました。今回は特に「早く、軽いうちに周りに相談して解決することができるだろうか」を主なテーマとしました。その結果は、JFA公式Webサイトにも掲載しておりますので、ぜひご参照ください。
各組織には、予防・啓発を第一として、ウェルフェアオフィサージェネラルを配置しています。計画的に、できれば主体的に、自組織が目指すスタンダードを設定し、取り組んでいただきたいという旨を伝達しています。Jクラブのアカデミーでの取り組みや、北海道サッカー協会(FA)および地区サッカー協会である旭川FAの、人を巻き込んで定着させ、さらに自走していくすばらしい取り組みの事例をご紹介いただきました。
パネルディスカッションでは、「それらの取り組みを、いかに全国の日常に届けていけるか」を中心に話し合いました。課題は、決して指導者だけの問題ではありません。日々熱心に指導されている指導者の皆さんが、安心して活動できる環境にしていくことも重要です。指導者にとっては、実際にこうした情報を知る機会が少ない現状があるため、知ること、指導者同士が話し合う機会をつくることも重要だという意見がありました。また、見えている人が気付きを伝えること、それを聞く姿勢の重要性、多くの人が主体的に関わるためにも、ワークショップ形式で考えを伝え合う研修会などの機会の有用性も意見に挙がりました。
U-18子どもパブリックコメント2024においては、サッカーを楽しいと思う子どもは9割を占めるけれど、嫌な思いをすることはある。懲罰につながるような重大な案件は論外だが、そこに至る前に、早く、軽いうちに相談することで、解決できることが多くあるのではないだろうかといった投げ掛けに対し、予想以上に多くの子どもたちが、相談をして解決することに対するポジティブな姿勢を示してくれました。一方で、相談することには不安やプレッシャーが伴い、「相談したいけれど難しい」と感じてしまう状況があります。相談をする、声を掛ける勇気に応えられるように、ぜひともしていきたいとあらためて感じました。
子どもたちの声を聞くこと、子どもにも知らせて誰からも見えるものにしていくこと、子どもたちがサッカーを楽しむことができる環境を守っていくことを第一義に、相談への対応の精度も高めていけるように、研修会や制度を整えつつ、サッカー界の文化にしていきたいと考えています。パブリックコメントからのフィードバックを、今後の研修会や施策、発信に確実に生かしていきます。
ディスカッションのまとめとして、ブラッシュアップをしてさらに良いものにしながら、根気強くやり続けていくこと、そして全国の日常の現場まで、毛細血管を通わせて拡大していくことを確認し、第1部は終了しました。
最後に、コロンビアで開催されたFIFA U-20女子ワールドカップにて、U-20日本女子代表は惜しくも準優勝という結果でしたが、代表チームの伝統を守り、今大会もフェアプレートロフィーを受賞したことをご報告します。
【報告者】今井純子(JFAリスペクト・フェアプレー委員長)
※このコラムは、公益財団法人日本サッカー協会『テクニカルニュース』2024年9月号より転載しています。
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