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「奪う」姿勢を攻守で再確認、なでしこジャパン候補トレーニングキャンプ6日目
2022年04月10日
福島県・Jヴィレッジでトレーニングキャンプを行うなでしこジャパン候補は4月9日(土)、午前に1回のトレーニングを行いました。
最高気温が20度を上回る春の陽気となったこの日、トレーニングキャンプスタート時は蕾だったグラウンド脇の桜も少しずつ花を開き、練習に向かう選手たちの表情も心なしか和らぎます。隅田凜選手や植木理子選手は半袖姿でピッチに現れ、福島県にも春の訪れを感じさせました。
トレーニングはステップワークを中心としたウォーミングアップで始まり、早い段階でゴールキーパーは3人でのトレーニングへ。ゴール前にダミー人形を置き、クロスボール対応に取り組みます。一方、フィールドプレーヤーは片側2つ、合計4つのミニゴールを設置したコートの中での6対6を行いました。コート内が3つのエリアに区切られ、中央エリアは4対4、両チーム残りの2選手は攻撃方向のエリアに入り、両チーム中央エリアで相手の規制をかいくぐりながら攻撃方向の味方にパスを届け、ミニゴールを目指します。守備時は4人で6人を見る数的不利な状況でも、ボール奪取を狙うことは欠かさず、背後に通されたボールに対しては素早くプレスバックする意識を高めました。トレーニング中に宮本ともみコーチからは「パスコースを消すだけでなく意図的に追い込んで奪いにいこう」と指示が飛び、味方同士で声を掛け合い、ボール奪取のスイッチを入れる連動性を求めました。
その後はゴールキーパーと合流し、ゴール前でディフェンス3人、オフェンス4人の状況でクロスボールからの攻防を行いました。攻撃はパワーを持って走り込むべきゾーンを意識しながら、こぼれ球も含めてフィニッシュに持ち込み、ゴールを奪う積極性を頭と身体に染み込ませました。ディフェンスも先日の練習試合で課題となったゴール前での粘り強さにこだわりを見せながら、攻守両者ともに強度を高く持って取り組みました。
トレーニングはオフとなった午後、池田咲紀子選手、乗松瑠華選手、成宮唯選手、植木理子選手の4名が「なでしこに聞いてみた~番外編~」(小学生とのオンライン交流会)に参加しました。これまでなでしこジャパンの選手の幼少期などを知る企画として、JFA公式YouTubeチャンネルで公開するインタビューを行なってきた「なでしこに聞いてみた」ですが、より子どもたちの知りたいことに触れるため、今回は互いに顔の見える形での実施となりました。参加した14組の子どもたちから次々と質問が挙がり、「サッカーを辞めようと思ったことはない?」という質問に成宮選手は「逃げ出したくなったことはあるけれど、サッカーが好きという気持ちが自分を動かす原動力になって前に進むことができた」と話し、また植木選手は「周囲の人が自分のゴールを喜んでくれる嬉しさを知っているので、そのために頑張ろうと思える」と応援してくれる人が自身を勇気づけてくれていると話しました。乗松選手は明るい空気で全体を盛り上げ、池田選手は自ら子どもたちに声をかけるなど、それぞれが参加者の方々と真摯にふれあいの時間を過ごしました。この模様は、後日JFA公式YouTubeチャンネルでもダイジェストで公開する予定です。
7日間にわたるトレーニングキャンプも残すところ最終日のみとなり、取り組んできたテーマを最後の練習試合で再び実践します。ピッチ内外で様々な刺激を得ながら、今回の活動の総仕上げとなる最終日に臨みます。
選手コメント
DF 松原有沙 選手(ノジマステラ神奈川相模原)
しばらく代表への招集がなく、本当に久々の活動になって、さらに池田太監督になって初めて合宿に参加させてもらいました。監督が代わったことでなでしこジャパンとしての戦い方、戦術は多少変わってくるだろうなとは思っていたので、早くそのサッカーに馴染むことを一番に意識してトレーニングを積んでいます。初めて一緒にプレーするメンバーもいますし、今までやってきたメンバーもいる中で、声の掛け合いや話し合いは大事だなと思いながら、早くなでしこジャパンとして目指しているサッカーに順応にできるように取り組んでいます。
チームコンセプトに取り組むなかで、個人としてできている部分とできていない部分があります。自分は球際の強さは長所なので、奪うというチームのコンセプトの中で強みとして出せるので意識して取り組んでいますし、男子高校生との練習試合で出せている部分もありました。逆に課題は、所属チームでもそうですが、後ろからのビルドアップはまだまだだなと思っています。
代表の中でも上の年代になってきたなというのは感じます。ただ年齢関係なく、ここに集まっているメンバーは能力があって来ている選手ばかりなので、刺激をもらっていますし、切磋琢磨していければと思っています。
池田監督体制が始まってから、怪我もありなかなかプレーできていない状態でしたが、みんながAFC女子アジアカップや合宿をしている姿を見て、やはりもう一回なでしこジャパンでプレーしたいという気持ちがありました。FIFA女子ワールドカップの出場権を取れたことは嬉しい反面、そこにいられなかったことに対する悔しさはもちろんあります。ただ過去をどうすることもできないので、ワールドカップに向けて代表にいかに食い込んでいくか、ずっと考えていました。代表活動も限られた回数なので、選ばれるためにはまず所属チームで結果を出すことが1番だと思います。まずはそれを意識して、いいプレーをし続ければまたチャンスはあると思っています。
MF 隅田凜 選手(マイナビ仙台レディース)
AFC女子アジアカップでは、個人的には試合に出たときに結果を残したいと、よりゴールに多く絡んでいくプレーは出せたと思いますが、結果的にチームとしてはああいう形で負けてしまいましたし、まだまだ自分に足りないところが多くあるなと感じた大会でした。
これまでもずっとそうですが、今回の合宿ではより一つひとつのプレーにこだわってやっていこうと思って入って、それは良くなっていると思います。ただ自分もチームもゴールを取るにあたってより大胆さが必要だと思いますし、ゴールを取るためにどういうプレーをしていくのかは課題だなと感じています。
前回の練習試合ではコーナーキックなどでチャンスを作り出すことはできましたが、自分の良さである守備の部分で、ひとりで奪い切るというプレーがあまり出せなかったので、そこは意識してまず守備では強く奪いにいくことはやっていきたいと思います。ミーティングでも何回も確認したり共有したりしていますが、より高い位置で奪えればチャンスにもつながると思うので、カウンターにつなげる前で奪う回数をどんどん増やしていきたいと思います。
(WEリーグの1年目が終わりに近づいている中)正直、プロのリーグが始まって、もっともっと注目されるのかなと思っていましたが、現実を見てみると観客数も減ってきてしまっているので、もっともっと盛り上げていくために自分たちが立ち上がって変えていく必要があると思います。プレーをただ淡々とするのではなくて、お客さんが見たい、応援したいと思ってもらえるプレーを表現していきたいと思います。
MF 成宮唯 選手(INAC神戸レオネッサ)
AFC女子アジアカップでの結果を踏まえて、個人的にもチームとしても課題が明確になりました。それをWEリーグ後半戦から自分としても忘れず日々取り組んでいる中でもう一度代表に呼んでいただきました。個人的には最後の質の部分でもそうですし、攻撃の選手なのでゴールは求められます。フィニッシュの部分でも自分自身の攻撃のクオリティ、アイデアも含めての質と、高いプレー強度での守備は課題だと思っています。
いま所属チームでは真ん中のアンカーのポジションをやっていて、代表ではサイドをやっていますが、ポジションの違いにおける頭の切り替えはスムーズにできていると思っています。ただ練習試合で男子選手相手に守備の強度が足りずボールを奪いきれなかったり、一つひとつのチャンスを決めきれなかったり、失点のところも試合開始間もないタイミングで、プレーゾーンに応じたプレーをするというゲームの入り方など、自分としてはすごく課題が残りました。代表活動は本当に日数が限られていて、その中でチームは個人個人のレベルアップがあってこそ強くなっていくと思いますし、それが完成度を高めていくと思うので、明日の練習試合では結果にこだわって、課題と収穫をはっきりさせて、所属チームに戻ってからの自分の日々に生きるような取り組みをしていきたいです。
FW 千葉玲海菜 選手(ジェフユナイテッド市原・千葉レディース)
(招集時は)チームの方から電話がかかってきて、追加招集されましたと言われてすごく驚いて、とても嬉しかったですが、ただその瞬間から緊張が止まりませんでした。次の日になって発表されて、多くの方からメッセージをいただいて、なでしこのキャンプに自分は明日から行くんだなと実感が湧いてきました。毎日高いレベルでサッカーができているのですごく刺激になりますし、自分の通用することや課題が新たに明確になったので、また頑張らなければと思っています。
自分の長所はスピードやフィジカルの強さですが、そこは通用する部分だなと思います。ただ技術のところ、ひとつのパスにこだわることやポジショニングは課題です。このチームはとても上手な人がたくさんいるので、盗んで帰りたいと思っています。(練習試合では)ボールを収めるプレーや前への推進力はアピールできたと思いますが、チャンスがいくつかあった中で決めないといけません。FIFA女子ワールドカップのメンバーに残るためにはそれがすごく大事になので、明日の練習試合も、自分の良さは消さずに課題に取り組み、アピールできるところをもっと増やしていければと思います。同年代の選手の活躍はすごく刺激になっていましたし、その度にもっと自分もできるし、やらなければと思わされていました。明日もできる限りアピールして、ワールドカップのメンバーに残れるように頑張っていきたいです。
私は福島県出身ですが、この福島、Jヴィレッジでサッカーができているというのはすごく嬉しく思いますし、震災以降Jヴィレッジが使えなくなった中で、復旧してこのような素晴らしい整った環境に戻り、その中でサッカーができることを嬉しく思います。