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[特集]部活動の実情とこれから 事例紹介~部活動の形とは~vol.02 「中学校部活動サッカー指導の手引き」の活用例 滋賀県近江八幡市立八幡西中学校
2020年08月27日
部活動の形は一つではない。地域や環境によってさまざまな課題があり、それぞれに合った取り組みがある。
今回は、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に沿った形で活動しながら全国大会に出場した品川区立荏原第一中学校、JFAが作成した「中学校部活動サッカー指導の手引き」を活用している近江八幡市立八幡西中学校、合同部活動として地域の生徒を迎え入れている横須賀ブロック、学校と地域クラブの連動を実現している幕総クラブの事例を紹介する。
※取材は2m以上の距離を確保し、インタビュアーはマスクを着用して実施
※本記事はJFAnews2020年4月に掲載されたものです
系統立てた練習で選手の考える力が養われた
日本サッカー協会(JFA)が2018年7月に作成した『中学校部活動サッカー指導の手引き』は中学校のサッカー部の顧問や指導者を対象にした手引書で、選手が安全に無理なく、効果的かつ効率的な活動ができるようまとめたものだ。練習計画の立て方や練習の頻度・強度に関する考え方、指導の留意点、実際のトレーニングの流れや内容について細かく解説されている。
公立中学校などの場合、サッカー部の顧問にサッカー経験者が就いているとは限らない。また、プレー経験があっても効果的な練習計画やトレーニングメニューを組み立てられるとも限らない。『中学校部活動サッカー指導の手引き』は、そんなサッカー部の顧問や指導者、あるいは選手にとって有益なテキストとなるように作られたものだ。
滋賀県の近江八幡市立八幡西中学校でサッカー部の顧問を務める福原孝洋氏は、作成された当初から「手引き」を指導に取り入れている。
福原氏は教員となった後に公認C級コーチライセンスを取得。指導者養成講習会で学んだことを生徒の指導に生かしているが、働き方改革の導入によって活動日数、活動時間が制限されるようになり、限られた時間内で行える効果的なトレーニングを探っているときにこの「手引き」の存在を知った。「部には経験者もいれば初心者もいて、女子もいます。その子たちが一緒にできる基本的なメニューやドリル練習を、生徒たちがやりやすい形で行うにはどうすればいいのかを参考にしたかった」というのが取り入れた理由だ。
「以前は3時間半から4時間、けっこうダラダラと練習していて、系統立てたメニューも組めていなかった」そうだが、現在は「ウオーミングアップから個人技術、グループ技術、そしてゲームと、流れを意識しながらメニューを組み立てられるようになった」という。
また、1週間のスケジューリングにも「手引き」を取り入れた効果が表れている。
「基礎練習に重点的に取り組む日をつくったり、試合前日はゲーム中心にしたり、といったことを意識しています。八幡西中はもともと水曜日の部活動が休みで、週末も基本的には土日どちらかの活動だけになるので、オフ前日は強度の高いメニューを取り入れ、逆にオフ明けは強度を上げないとか、そういったことも考えるようになりました」
福原氏自身は、「手引き」を参考にするようになったことで「ドリル練習や基本的な技術がどうして必要なのかを以前よりも考えるようになり、限られた時間の中で多くのことを吸収できるメニューを考えたいと思うようになった」という。そうやって考案したメニューに取り組む部員たちも「楽しそうに練習するようになったし、基本練習で取り組んだことをグループ練習の際に発揮し、こちらの意図に気づいてくれる部員が増えた」と手応えを語る。
「(部員たちには)基本技術や判断力をしっかり養い、高校に進学してもサッカーを続けていってほしい」と語る福原氏。「手引き」の導入は、部員たちとサッカーの結びつきにも少なからず影響を与えていきそうだ。
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