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[特集]部活動の実情とこれから 事例紹介~部活動の形とは~vol.04 「クラブ+学校」で最高の環境を NPO法人幕総クラブ 前編
2020年09月16日
部活動の形は一つではない。地域や環境によってさまざまな課題があり、それぞれに合った取り組みがある。
今回は、「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン」に沿った形で活動しながら全国大会に出場した品川区立荏原第一中学校、JFAが作成した「中学校部活動サッカー指導の手引き」を活用している近江八幡市立八幡西中学校、合同部活動として地域の生徒を迎え入れている横須賀ブロック、学校と地域クラブの連動を実現している幕総クラブの事例を紹介する。
※取材は2m以上の距離を確保し、インタビュアーはマスクを着用して実施
※本記事はJFAnews2020年4月に掲載されたものです
実戦で得られる経験値は練習より圧倒的に大きい
海外から日本を訪れる指導者の多くが日本に総合型スポーツクラブがないことに驚く。子どもたちがどのようにスポーツに取り組むのか疑問を抱くそうだ。しかし、部活動の存在を知ると、日本にも子どもたちがスポーツのできる場所があることを理解する。元日本代表監督のイビチャ・オシム氏も、日本の部活動のすばらしさを称えた一人だった。
とはいえ、部活動にも課題はある。例えば、1学年に数十人の部員が集まる強豪校では、プレーの機会が平等に与えられないことがこれまでも問題視されてきた。サッカーは、11人からなる二つのチームがプレーする競技であり、試合に登録されなかった選手たちは、スタンドから仲間を応援することになる。ヨーロッパで長きにわたって活躍している長友佑都選手が明治大学時代にスタンドで太鼓を叩いていた話はつとに有名だが、ポテンシャルを秘めている選手にプレーする場所、成長する機会を与えられていない実情は他にもあるかもしれない。
千葉県の幕張総合高校も、多くのサッカー部員を抱えており、以前はなかなか全員にプレーする機会を与えることができなかった。その打開策として島田洋氏(現、千葉県サッカー協会ユースダイレクター)は、幕張総合高校サッカー部の顧問を務めていた2012年に「FC MAKUHARI」を創設した。
「幕張総合高校サッカー部の部員数が1学年で60人まで増えて、合計180人ほどになったんです。県リーグに複数のチームが出場することはできなかったのですが、全員を公式戦に出場させてあげたかった。そのためには別チームをつくることが必要でした。クラブチームの活動に参加しながら、試合を数多くできる経験をさせてあげたかったんです」
島田氏が公式戦にこだわったのは、選手が実戦で得られる経験値が練習と比べて圧倒的に大きいと感じていたからだ。勝利という目標に向かうことで、日々の取り組みも真剣さが増す。また、試合で自信を得られたり、新たな課題を見つけたりすることができ、その後の成長曲線は全く異なるものになる。
クラブチームを立ち上げる前の段階で、島田氏は総合型スポーツクラブ「幕総クラブ」というNPO法人を立ち上げていた。幕総クラブでは、幕張総合高校サッカー部のOBを中心とする社会人選手が活動しており、地域の子どもたちにサッカー教室も開いていた。そのチームを母体に高校生年代のチームをつくることにしたのだ。日本クラブユースサッカー連盟の規定には、「複数の学校の選手が所属していなければならない」という項目があったが、幕総クラブには当時から早稲田高校の選手が参加していたこと、さらにNPOとして地域の貢献活動をしていた実績があったため、「FC MAKUHARI」を無事にスタートさせることができた。
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