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奪ったらまずはゴールを狙う U-22日本代表 大岩剛監督インタビュー 国際親善試合 U-22日本代表 対 U-22アルゼンチン代表
2023年11月10日
2024年のパリオリンピックを目指すU-22日本代表。その出場権が懸かるAFC U23アジアカップカタール2024を4月に控える中、11月18日に静岡のIAIスタジアム日本平でU-22アルゼンチン代表と国際親善試合で対戦する。2021年12月に指揮官に就任した大岩剛監督に、ここまでのチーム強化や進化についてと共に、現在のU-22日本代表にとって初となる日本での国際親善試合に向けての意気込みを聞いた。
※本インタビューは10月24日に実施しました。
考え、工夫しながら戦い抜いてほしい
――今回は日本での活動となり、U-22アルゼンチン代表と対戦します。
大岩 私が監督に就任してから、初の国内での国際親善試合なので、まずは我々のチームにどういう選手がいるのか、どんな戦い方をするのかを皆さんに見ていただきたいです。どんな形であれ、興味を持っていただきたい。その上でチームとしては、攻守においてこれまで取り組んできたスタイルをさらにブラッシュアップし、上積みしていけるような活動にできればと思っています。
――これまで取り組んできたスタイルについて、具体的に教えてください。
大岩 ボールを奪ったらまずはゴールを狙う。それが難しければ、ボールを意図的に動かしながら、狙うべきポジションに入っていく。ボールを奪われてもすぐさまボールを奪い返せるように、自分たちがスペースをしっかり認識し、ミドルゾーンでアグレッシブに相手を陥れていく。相手が攻撃をビルドアップする際には、ハイプレッシャーも仕掛けていきます。こういうコンセプト、こういうスタイルでやっている、ということを感じてもらえたらうれしいですね。
――U-22アルゼンチン代表にはどんな印象をお持ちですか?
大岩 現役時代はアルゼンチン代表やFCバルセロナ(スペイン)などで活躍したハビエル・マスチェラーノが監督をしています。試合映像を見ましたが、まだまだ探りながらやっているという第一印象です。ただ、その中でも、個人のスキルや局面での駆け引きにはうまさがあるし、独特のリズム感もある。変則的なシステムでやっていたりもします。これまで我々が対戦してきたヨーロッパのチームやアメリカ、メキシコとも違い、南米特有のテクニカルなところが見受けられるので、良い対戦相手だと思っています。
――南米のチームとは初対戦になりますが、選手たちにはどんなことを体感して、どう成長につなげてほしいですか?
大岩 まず、相手がどうこうではなく、我々がやるべきことをしっかりやることを求めたいです。その上で、この試合では選手一人ひとりが戦うところ、サッカーの本質の部分がより現れると思います。1対1においては、デュエルという言葉で片付けてしまうことは、僕は好きではなく、かといって駆け引きという言葉も軽いですね。せめぎ合い、削り合い…。90分の中で目の前の相手をどう攻略していくか、どう主導権を握るのか。柔道のように押したり、引いたりしながら、90分間いろいろなことを考え、工夫しながら戦い抜いてほしいです。
通用する部分と足りない部分
――ここまでの歩みを振り返ると、2022年3月のDubai Cup U-23からスタートし、6月にはAFC U23アジアカップ ウズベキスタン2022、昨年9月から今年6月まではヨーロッパ遠征を行ってヨーロッパの8チームと対戦。9月にはAFC U23アジアカップカタール2024予選、第19回アジア競技大会、10月にアメリカ遠征をしました。ヨーロッパ遠征ではスイス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ドイツ、ベルギー、イングランド、オランダと対戦し、2勝3分3敗でしたが、どんな経験になりましたか?
大岩 ヨーロッパの強豪国と対戦するからと言って、いわゆるゴール前にバスを置くような戦いをしてきたわけではありません。日本が世界と戦う上でやるべきことは何なのか。そこから逆算したスタイルに継続して取り組んできました。先ほど話したような、攻守において戦術を整理し、組織的に戦っていくことです。それが世界で勝っていくための近道なのではないかということで、チームづくりを進めてきました。そういう意味では、通用するものがある一方で、まだまだ足りない部分、少しずつ積み上がってきた部分が感じられる遠征になりました。
――ヨーロッパのチームとの8連戦では、前半は難しい展開を強いられながら後半に修正し、渡り合っていくような傾向が見られました。チームの修正力について、どう感じていますか?
大岩 前半からやってほしい、というのが率直な気持ちです(笑)。ただ、選手たちは日常的にあのレベルの相手と対戦しているわけではないので、どうしても構えてしまったのかもしれません。自信がなさそうに試合に入って、戦っているうちにようやく「自信を持ってここに立ち、ボールをこう動かせば、相手は嫌がる」「ミドルゾーンでこういう守備をしたら、相手からボールを奪える」と気付く。そして後半、渡り合えるようになる。そこはもどかしさでもあります。例えば、SAMURAI BLUE(日本代表)の選手たちは、日頃からそのレベルの相手と対戦しているから、気後れすることなく、相手を上回っていく。日常の差が表れていると思いますが、選手たちはあの8試合で「やれるんだ」と感じてくれたと思います。
スタンダードをもっと上げていくことが大事
――今年9月にバーレーンで行われたAFC U23アジアカップカタール2024予選では、酷暑や守りを固める相手に苦戦しました。来年4月に控えるAFC U23アジアカップカタール2024はパリオリンピックの出場権も懸かります。ヨーロッパ勢などとの対戦とアジア勢との対戦で戦い方やスタイルを変えるべきだとお考えですか?
大岩 いわゆる「ダブルスタンダード」は考えていません。SAMURAI BLUEも、相手がドイツでも、チュニジアでも、戦略においての変化はあっても、チームとしてやるべきことは変わっていません。相手がどこであろうと、ピッチが悪かろうが、アウェイだろうが、時差があろうが、我々がやろうとしているスタイルをハイスピードの中、ハイインテンシティの中で突き詰めていくこと。スタンダードをもっと上げていくことが大事だと思っています。
――メンバー構成についても聞かせてください。大岩監督はコアメンバーをある程度固定し、スタイルやコンセプトの浸透に力を注ぎながらチームづくりを進めてこられました。メンバー選考やメンバー構成において大事にしていることはありますか?
大岩 我々のチームには、立ち上げ当初から選ばれているコアの選手たちがいます。彼らにはチームの基準をしっかり示してもらいたい。コアの選手がスタンダードを示すことで、新しく招集した選手が新風を吹かせられると思います。コアとなるメンバーがいて、刺激となる新メンバーがいて、下の世代からの突き上げもある。それが競争力だと思います。そのバランスは毎回意識しています。ただ、毎回痛感させられるのは、希望通りの選手を全員は招集できないということです。コンディションもありますし、SAMURAI BLUEに選出される選手がいたり、さまざまな事情で招集できない選手がいることもあります。選手選考にはいつも難しさを感じています。
――U-22アルゼンチン代表戦は静岡県のIAIスタジアム日本平で行われます。大岩監督にとっては出身地での試合となります。
大岩 知り合いも駆けつけてくれるそうです(笑)。サッカー熱の高い地域で、子どもからお年寄りまで、サッカーが好きな人たちばかりですから、たくさんの人にスタジアムまで足を運んでほしいです。そんなサッカー好きのファン・サポーターの皆さんに満足してもらえるように、アグレッシブで攻撃的なサッカーをお見せしたいと思っています。いつもゴールに向かっていくサッカーを見せたいですし、その自信もあるので、ぜひ期待してください。
国際親善試合
2023年11月18日(土) vs U-22アルゼンチン代表
会場:静岡/IAIスタジアム日本平
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