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[特集]サッカーとの出合い ~大人の楽しさが子どもたちに伝わる 良い出合いの場を全国へ広げたい 中山雅雄JFA普及ダイレクターインタビュー 前編
2023年01月25日
日本サッカー協会(JFA)がJFAキッズプロジェクトを立ち上げて約20年、「巡回指導」「フェスティバル」「キッズリーダー養成講習会」を三本柱に、キッズ年代(10歳以下)におけるサッカーの普及活動に取り組んできた。今年は新たに女子サッカー応援プロジェクト「JFA Magical Field Inspired by Disney」を立ち上げたほか、巡回指導先にボールとゴールを配付する施策にも着手した。
キッズプロジェクトの現状や課題について、プロジェクトメンバーの中山雅雄JFA普及ダイレクターに話を聞いた。
○インタビュー日:2022年10月24日
※本記事はJFAnews2022年11月に掲載されたものです
新たな可能性への挑戦 連携とアイデアで活性化を
――JFAキッズプロジェクトは今年から体制が変わりました。プロジェクトの位置づけと意図を教えてください。
中山 キッズプロジェクトは、技術委員会の普及部会の中に位置しています。今年は、普及ダイレクターの私と、長年リーダーとしてこの取り組みをけん引してきた皆川新一さん、JFAコーチ(北海道担当)の鈴木貴浩さん、フットサルテクニカルダイレクターの小西鉄平さんの4人のメンバーでスタートしました。鈴木さんはスポーツクラブの代表も務められた経験があり、キッズへの理解もあります。小西さんについては、新たにフットサルの知識や経験を取り入れたいという方針からメンバーに入ってもらいました。プロジェクトは発足から約20年たっていますので、可能性をさらに広げていくためにも体制を見直し、まずは少ない人数で方向性を決めて徐々に新しい仲間を増やしていけたらと考えています。
中山雅雄(JFA普及ダイレクター)
皆川新一(JFA技術委員会普及部会)
鈴木貴浩(JFAコーチ)
小西鉄平(JFAフットサルテクニカルダイレクター)
※2022年10月時点
――昨年までは9地域に担当者を置く形でプロジェクトが編成されていました。都道府県サッカー協会(FA)との連携も変わっていくのでしょうか。
中山 もちろん各都道府県との連携は今後も継続していきます。これまでは、9地域のキッズ担当者が都道府県FAとJFAをつなぐ役割を果たしていましたが、FAコーチの配置がかなり進んできましたので、それを有効に活用したいと考えました。というのも、例えばキッズ委員会だけで動いても、その活動がなかなかFA内に広がっていかないということがあったんです。課題であるキッズと4種の連携も強化していきたい。そのためには、各都道府県のFAコーチにキッズを含めたサッカー全体の発展を考えてもらうことが重要です。4月のFAコーチ研修会では、皆さんにキッズリーダーインストラクターの資格も取得してもらいました。
JFAが率先してキッズプロジェクトの体制を変えることで、JFAも新しいことに挑戦しようとしているんだということが伝わり、それが47都道府県FAの刺激になればと思っています。最近は各FAの技術委員会のメンバーにキッズの担当者が入るケースも増えてきていますが、新たな展開が生まれることを期待しています。
4月4日と5日に実施したFAコーチ研修会では参加したFAコーチにキッズ年代の取り組みも伝達。
キッズリーダーについても学んでもらった
――巡回指導、キッズリーダー養成講習会、フェスティバルというキッズプログラムの三本柱は変わりませんか。
中山 原則、その三つが柱となります。各FAの取り組みも充実してきていますから、継続してもらいたいと思っています。一方、キッズエリート活動に関しては、改善すべき点があります。キッズエリート活動は、巡回指導やフェスティバルに参加し、「もっとサッカーがしたい」と思った子どもたちに、その年代に最適なより質の高い指導を提供する場です。そこでわれわれが伝えているのは「キッズ年代では選手を選ばないでほしい」ということなんです。しかし、実態としてそこですでに選手を選んでしまっているケースが見られます。子どもたちは大きな可能性を持っています。ただでさえ、キッズ年代でのタレント発掘は難しいのに早い段階からセレクトしてしまうのは活動の趣旨とは異なります。
――そのほかにも改善点などはありますか。
中山 巡回指導はまだ実施できていない地区や市町村がたくさんあるので、空白の地域をなくしていきたいですね。そのためにもJリーグやJFL(日本フットボールリーグ)、WEリーグの各クラブ、地元のサッカークラブなどと連携して、クラブの活動と巡回指導をうまく融合させ、実施してもらいたい。すでに連携して取り組んでいるFAも多くあります。指導の質も重要ですので、巡回指導を担当するコーチには最低限、キッズリーダー講習会を受講してもらうといった条件設定なども必要です。
フェスティバルに関しては、大規模なイベントも魅力ですが、それ以外にも気楽に参加できる形で数多く開催していけたらと思っています。事前登録がなくても、たまたまそこに来た子どもたちにも加わってもらおう、誰でもウェルカムな状態で迎えよう、というのがフェスティバルの本来の考え方です。参加するハードルをもっと低くして、これまでサッカーに接したことがない子どもたちも気軽に参加できるよう、自由な発想でやってもらえたらと考えています。大規模なイベントだとスタッフの人数も必要になりますが、子ども20人ほどの小規模なものであれば3~4人の大人で実施できますからね。
――まだサッカーに出合えていない子どもたちがどうしたら出合えるのか、という視点で、各FAの実情に沿った形で工夫してもらいたいということですね。
中山 キッズ年代のターゲットは幼児から小学4年生です。JFAではフットサルとの連携も進めていますから、フットサルをメインでやっている指導者にもフェスティバルに加わってもらい、フットサルを体験できるエリアを設けることも一つのアイデアです。フットサルでは、ローバウンドのフットサルボールを使いますので、それを体験できる場をつくれたら面白いですし、難しいとは思いますが、ビーチサッカーもそこで体験できたらまた面白い。高円宮記念JFA夢フィールドであれば、それが可能なんですけどね。そうやってさまざまなフットボールを体験してもらうことも、キッズ年代の子どもたちにとって有効ですので、各FAでもフットサル委員会と協力して実践してもらえたらと思っています。ほかにも、ブラインドサッカーで使用する音が鳴るボールを使うなど、各FAのキッズ担当者の皆さんにはいろいろなアイデアを出し合って楽しくフェスティバルをつくってもらいたいんです。
4種との連携においても、キッズ関係者だけでフェスティバルを企画するのではなく、4種の関係者にも入ってもらって一緒に子どもたちに種をまいていく。キッズの指導者は子どもとの接し方やサッカーの楽しませ方がとても上手ですので、4種の指導者にとっても参考になることは多いはずです。
今年9月からは巡回指導先にJFAキッズアンバサダーのポケモン「エースバーン」仕様のボールと
ミニゴールを無料で提供する事業も開始(写真左は子どもたちとボール遊びを楽しむエースバーン)
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