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みんなPlay! うまい下手は関係ない、みんなが試合に出られる環境を (JFAnews2016年8月情報号より転載)
2016年09月08日
日本サッカー協会機関誌『JFAnews』2016年8月情報号(No.388)から「JFAグラスルーツ推進・賛同パートナー」連載がスタートしました。その第1回目に「補欠ゼロ(みんなPlay!)」賛同パートナーである上鷺宮少年サッカークラブ(東京都中野区)の活動が紹介されました。
■JFAnews 2016年8月情報号(No.388)より転載 ■情報提供:サカイク、大塚一樹
※『サカイク』はJFAグラスルーツ推進・賛同パートナー制度のメディアパートナーです
東京都中野区にある上鷺宮少年サッカークラブ(KFC)は、上鷺宮小学校と武蔵台小学校を主な拠点として活動している。今年で創設37年目を迎えるクラブは、当時、サッカーを練習する場がなく公園でサッカーをしていた地域の子どもたちのためにつくられた。以降、長く地域に密着しながら活動している。
監督を務める西村英次郎さんは、クラブで活動する子どもたちに対し、「サッカー選手になることが目標ではなく、KFCでの活動を通して何かを得てほしい」と願う。他のスポーツでも全く異なる分野でもいい、何かに一生懸命取り組める人に育ってくれたら、「二重丸」なのだと。
子どもたちにサッカーを教える中で、「うまい下手とはどういうことなのか」という思いを抱くようになる。リーグ戦化が進む中でも、なかなか試合に出られない選手がいる。「試合に出ることは特に大事。練習も大切ですが、試合に出ることで選手が大きく変わるのを何度も見てきた」と西村さん。もどかしさが募っていた。そんなとき、地域の若い指導者と意見交換をする機会があり、指導者それぞれがいろいろな思いを抱えていることを知った。そこで西村さんは、そうしたジレンマを払拭するために声を上げる。
「みんながプレーできるリーグ戦をやるぞ。だから協力してくれ」
そして今年4月、近隣の10クラブに声を掛け、普段なかなか試合に出られない選手同士で行うリーグ戦「あすなろリーグ」をスタートさせた。しかし、公式戦と並行して開催するとなると、クラブの指導者は2チームを同時に引率しなければならなくなる。
「参加したいのだが、連れていく指導者がいない」「会場やスケジュール調整が難しい」と言われることもあった。
西村さんは「安全面にさえ気をつければ、保護者の方に引率のお願いをしてもいいのではないだろうか。子どもたちが来てプレーできればうちで面倒を見るよ」と説得した。
あすなろリーグの存在は、子どもたちに大きな変化をもたらした。試合に出るようになって、責任を持ってプレーするようになった選手、本当は嫌いだったサッカーが好きになったと言う選手など、あすなろリーグという目標に向かって生き生きと前向きに取り組む選手たちの姿が見られるようになった。
子どもたちが試合に出てサッカーの楽しさを覚え自信をつけると、チームの練習も活気づく。公式戦に出る選手とあすなろリーグに出る選
手とで相乗効果が生まれているという。
「大人ができることはたかが知れている。『環境づくりと責任を負うこと』。これが大人にできる最大のことだと思う。それしかないのではないか」と、西村さんは言う。例年、小学6年生になると塾通いや進学のために早めに引退する選手が出てくるが、今年は「あすなろがあるから続けたい」と、やめてしまう選手はほとんどいなかった。子どもたちが楽しそうにプレーする姿を見るのは、保護者にとっても嬉しいこと。共に喜びの声が寄せられている。
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