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横浜FMとJ2甲府がACL16強進出、川崎は全勝ならず、前回王者の浦和は敗退
2023年12月14日
AFCチャンピオンズリーグ(ACL)2023/24東地区グループステージが12月13日(水)に終了し、昨季J1リーグ王者の横浜F・マリノスはホームで山東泰山(中国)に3-0で勝利して2大会連続でノックアウトステージへ進出。J2ヴァンフォーレ甲府も1位で16強に進み、すでに突破を決めていた川崎フロンターレは引き分けて全勝を逃しましたが、前回王者の浦和レッズは3敗目を喫してグループステージ敗退となりました。
来年2月に行われるラウンド16の対戦相手は12月28日に行われる組み合わせ抽選会で決まります。
横浜FM、山東に3-0勝利で1位突破
前節、アウェイで仁川ユナイテッド(韓国)に敗れてグループG1位から3位へ後退した横浜FMは、首位に立っていた山東とホームで対戦。ブラジル人トリオの得点で3-0で勝利を収め、得失点差で上回って1位での突破を決めました。
山東から3位の仁川まで16強進出の可能性がある混戦となり、少なくとも2点差以上での勝利が求められた横浜FMは積極的に攻めを仕掛けますが、引き分けでも突破が決まる山東に5バックで守備を固められ、打開に手を焼きます。しかし、ボールを保持して辛抱強く攻め、前半アディショナルタイムに試合を動かします。
FWヤン・マテウス選手が相手DF裏のスペースへパスを送るとFWエウベル選手が抜け出して相手DF2枚が寄せる中、ペナルティエリアへ持ち込むとゴール右下へ決めて先制します。
勢いを得た横浜FMは後半も攻勢を強め、57分にはMF喜田拓也選手のパスをマテウス選手がFWアンデルソン・ロペス選手へ渡すと、ロペス選手はペナルティエリア右から切り込み、2位以内での突破に必要な2点目を挙げます。
そして7分後、エウベル選手のパスを中央で受けたマテウス選手が左に流れると、前に出ていた相手GKの動きを見極めて、その頭上を越す技ありのループで3点目。チームを1位突破に導く貴重な得点を決めました。
山東は後半半ばから交代選手を投入して得点機を探り、終盤にはミドルシュートで横浜ゴールに迫る場面も作りましたが、最後までゴールを割ることはできませんでした。
これで4勝2敗とした横浜FMは山東と、アウェイでカヤFC・イロイロ(フィリピン)に3-1で勝利した仁川と勝ち点12で並びましたが、3チーム間の得失点差で上回って1位となり、今季限りでチームを去ることが決まっているケヴィン・マスカット監督の最後の試合を最高の結果で締めくくりました。
山東は敗れたものの東地区2位内で上位3チームに入って突破を決め、仁川は3位で敗退となりました。4位カヤFCは6戦で勝ち点なしで終了しました。
全得点に絡んだマテウス選手は、「1点を決めたら次のゴールを求めるのがマリノスの哲学。今日もそれを示すことができた」と胸を張りました。
甲府がアウェイ勝利でJ2勢初の16強入り
全チームに突破の可能性があった混戦のグループHでは甲府が12日(火)、アウェイでのブリーラム・ユナイテッド(タイ)戦で後半の相手の反撃を3-2で逃げ切り、3勝2分け1敗として1位で突破。J2勢として初の16強入りを決めました。
甲府は前半24分にMF長谷川元希選手が先制すると、FWピーター・ウタカ選手が38分に左クロスを受けて、43分にはCKの流れから2連続得点で前半を3-0で折り返します。
しかし、ブリーラムは後半開始3分、後半から投入したFWアーティット・ブージンダー選手がロングボールに抜け出して1点を返すと勢いを得て反撃。押し込まれた甲府はペナルティエリアでハンドがあったとしてPKを献上。ゴラン・チャウシッチ選手が決めて1点差に詰め寄ります。
甲府はその後も続くブリーラムの攻撃に、暑さの中で苦戦しながらも追加点は許さず、リードを守り切って勝利しグループステージ突破を勝ち取りました。
2点を決めたウタカ選手は、「難しい試合になることは分かっていたので、質を見せなければと思っていた。2点が勝利につながってうれしい」と述べました。
勝点で甲府に並び、総得点差で2位に付けていたメルボルン・シティ(オーストラリア)はホームで終了間際に浙江FC(中国)に得点を許し、1-1でドロー。2勝3分け1敗の勝点9となり、2位での突破はなりませんでした。3位は浙江(2勝1分け3敗、勝ち点7)、ブリーラムは2勝4敗の勝点6で4位となり今シーズンのACLに幕を閉じました。
川崎、後半追いつかれて全勝ならず
グループIですでに1位突破を確定させていた川崎は12日(火)、アウェイで蔚山現代(韓国)と対戦。後半追いつかれて2-2で引き分けて、6戦全勝はなりませんでした。しかし、5勝1分けで勝点16は浦項スティーラーズ(韓国)とともに東地区最多勝ち点です。
優勝した天皇杯決勝から移動を含めて中2日で迎えたグループステージ最終戦に、川崎は天皇杯から先発を10人変更。これまで出場機会の少なかった若手選手を多く起用して韓国Kリーグ連覇の蔚山に挑み、MF瀬川祐輔選手を中心に攻撃を仕掛けて前半17分にMF遠野大弥選手がFW山田新選手のシュートリバウンドを押し込んで先制。さらに31分にはゴール前での混戦からMF瀬古樹選手が決めて、2-0としました。
しかし前半終了目前に、突破のために負けられない蔚山が追い上げを開始。44分に右サイドでのFKにFWマルティン・アーダーム選手が合わせて1点差として前半を折り返すと、後半も開始から蔚山が押し込みます。すると、53分、川崎DFがペナルティエリアで相手を倒してPKを与え、アーダーム選手が決めて追いつかれました。
蔚山はその後もアーダーム選手や江坂任選手らが川崎ゴールに迫りましたが、川崎はGK上福元直人選手のセーブなどでそれ以上の得点は許さず、ドローで最終節を終えました。
川崎の鬼木達監督は「勝ちたいゲームだったが、相手は勝たなければいけない状況のなか、最後の最後まで崩れることなく戦って勝ち点1を拾ってくれた。(今季)ラストゲームにふさわしく、すべての選手が力を出し切ってくれた」と選手の奮闘を労いました。
蔚山は勝点1を手にして、2位の中の上位3チームに入って16強に進出。3位はBGパトゥム・ユナイテッド(タイ)に4-1で勝利して3勝3敗としたジョホール・ダルル・タクジム(マレーシア)で、パトゥムは6戦全敗となりました。
浦和、ハノイに黒星で2位突破ならず
グループJで前回王者の浦和は13日開幕のFIFAクラブワールドカップサウジアラビア2023出場のため6日(水)にハノイFC(ベトナム)とのアウェイ戦に臨み、2位突破には勝利が必要でしたが、1-2で敗れて2勝1分け3敗で敗退となりました。
マチェイ・スコルジャ監督が前々節に受けたレッドカードでベンチ入りできない中、浦和は試合開始10分で獲得したPKを相手GKに阻まれ、5-4-1で守備を固める相手を前半は崩すことができずに苦戦。後半からMF大久保智明選手とMF伊藤敦樹選手を投入し、DF大畑歩夢選手とDF荻原拓也選手の両サイドバックの左右を入れ替えると攻撃が活性化し、65分にFWブライアン・リンセン選手が荻原選手のパスに抜け出して同点ゴールを決めました。
しかし、87分、カウンター攻撃で追加点を狙うハノイのFWグエン・ハイ・ロン選手を浦和DFがペナルティエリアで倒してPKを献上。これを途中出場のFWファム・トゥアン・ハイ選手に決められて再び1点ビハインドに。浦和はFWホセ・カンテ選手やFW興梠慎三選手を送り出して反撃を試みていましたが、追加点を取ることはできませんでした。
GK西川周作選手は「受け入れ難い結果。前半からイージーなミスが多く、精度を欠いた」と話し、肩を落としました。
2勝目を挙げたハノイは勝点6で3位。すでに突破を決めていた首位の浦項スティーラーズ(韓国)はアウェイで武漢三鎮(中国)と1-1で引き分け、5勝1分けの勝点16で終了し、武漢は1勝2分け3敗の勝点5で4位でした。
なお、日本勢のいないグループFでは、2度の大会優勝経験のある全北現代モータース(韓国)がホームでの最終戦で首位のバンコク・ユナイテッド(タイ)に3-2で勝利。勝ち点を12として、2位で16強に進出しました。
すでに4位敗退が決まっていた傑志SC(ホンコン・チャイナ)は、アウェイで3位のライオン・シティ・セーラーズ(シンガポール)に2-0で勝って今大会初勝利を挙げました。
この結果、東地区の16強進出チームは、日本から川崎、甲府、横浜FMの3チーム、韓国から3チーム(全北、蔚山、浦項)、タイ(バンコク)と中国(山東)から1チームずつとなりました。
西地区、セパハンなどが16強進出
西地区では6日(水)に最終節が終了し、サウジアラビア勢は出場4チームすべてが16強へ進出。優勝経験のあるアルイテハド(グループC)とアルヒラル(グループD)をはじめ、アルナスル(グループE)の3チームはそれぞれ1位で突破し、アルフェイハがグループA2位で進出です。
ウズベキスタンからはナサフ・カルシ(グループB1位)とナフバホール(グループD2位)の2チームが突破し、イランとUAEからは、グループCを2位で抜けたセパハン(イラン)と優勝経験のあるアルアイン(UAE)がグループA1位で抜けて、次へ駒を進めました。
ノックアウトステージは西地区が2月12日、東地区は13日に始まり、決勝は来年5月に東地区と西地区でホーム&アウェイ方式で行われます。
監督・選手コメント
ケヴィン・マスカット監督(横浜F・マリノス)
今日の最終戦でチームが見せてくれたパフォーマンスも試合の終わらせ方も素晴らしく、非常に誇らしく思っています。このクラブを代表した表現を見せてくれて、ここは特別なクラブだと感じました。前半はなかなかリズムが掴めず、前へ出ようとして相手のファウルにあう場面もあって難しかったですが、後半もっと動きをつけてチャンスを作ろうとして、相手を上回るプレーで多くのチャンスを作り出すことができました。得点を決めるのは簡単ではありませんが、今日に限らず、毎試合2点以上を決めることはやってきたことです。3点目は今季最後のゴールでもあり、2年半このクラブで見てきた中でも美しい特別なものでした。
FW エウベル 選手(横浜F・マリノス)
難しい試合になることは分かっていたが、勝ってケヴィン(・マスカット)監督を送り出したいという思いが全員にあったと思います。勝って次のラウンドに進めて良かったです。前半相手の守備が堅くて打開に手こずりましたが、我々には個で打開できる選手が何人かいます。前半で先制点を決めることができたのが大きかったと思います。ヤン(・マテウス)選手が素晴らしいパスをくれて決めることができてよかった。ラウンド16の試合は来年になりますが、準備は簡単ではないですが、どこが相手でもしっかり準備して臨みたいと思います。
MF 喜田拓也 選手(横浜F・マリノス)
今季ラストの試合でケヴィン(・マスカット)監督もラストゲームで、しっかりみんなで作り上げてきたものを示そうと僕からも選手に投げかけて意思統一をして試合に入りました。突破の条件もありましたが、やってきたことをしっかり出せれば望むものは間違いなく手に入ると思っていました。(2点目の起点は)うまくマテウス選手と連係を取れて相手のブロックを崩すことができたので、タイミング的にも点数でも大きな一発になったと思います。自分たちがやってきたことを形として出せたことはポジティブだったと思います。
DF 角田涼太朗 選手(横浜F・マリノス)
突破の条件はありましたが、それ以前に自分たちのサッカーを出すことが大事ということはみんな分かっていました。まず失点しないこととゲームを安定させることは意識して入りました。ACLは特にカウンターに注意しないといけないので、リスク管理も徹底できたと思います。前半なかなか得点を奪えないなかで自分のパスから先制できたのはポジティブでしたし、チームとしても前半のうちに1点を取れたのは良かったと思います。
チェ・ガンヒ 監督(山東泰山)
選手たちはハードワークしてくれましたが望んだ結果を出せず、前半最後のゴールが後半へ影響しました。この結果を受け入れて、来季よりよいシーズンを送れるように改善していきたいと思います。ラウンド16の試合は中国リーグのシーズンとは異なるので準備は難しいと思いますが、来季もこの日程なので慣れていかなければならないと思っています。