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チャイニーズ・タイペイより視察団が来日
2018年08月14日
台湾教育部体育署(日本のスポーツ庁に相当)の視察団が、8月1日(水)から5日(日)の間、日本サッカーに於ける学校・行政・協会間の協力体制やそれぞれの取り組みなどを学ぶため来日しました。
同時期に静岡・時之栖スポーツセンターにて開催されたFootball Future Programme(FFP)2018 中日本を中心に、常葉大学附属橘中学・高等学校やJFAアカデミー福島、全国高等学校総合体育大会(インターハイ)女子サッカー、JFAのユース育成や女子サッカーに関するレクチャー等、チャイニーズ・タイペイサッカーの更なる発展を目指して短い期間に多岐に渡る視察を重ねました。
視察団団長コメント
蔡忠益 副組長(台湾教育部体育署)
「日本のサッカーもずっと現在のような良い環境だったわけではありません」と、山口隆文副技術委員長は謙虚に、チャイニーズ・タイペイから来た私たちに日本のサッカーがこれまでに発展してきた歴史とJFAの約束2050について説明してくれました。
今井純子女子委員長のレクチャーからは、女子サッカーの発展に於いては日本もチャイニーズ・タイペイも「如何にして女子中学生にサッカーを好きになってもらえるか」という共通した課題があることが分かり、日台共に努力していかないといけないことだと感じました。もちろん、日本の女子サッカーはすでに世界のトップチームであり、なでしこは日本の誇りでもあります。台湾はどのようにして世界レベルに追いつき、チャイニーズ・タイペイらしい女子サッカーを作ることができるか、それは今後我々がチャイニーズ・タイペイの各サッカー関係者と共に努力していかないといけないことだと痛感しました。
インターハイ女子では、大野真女子チーフコーチがお忙しい中、意見交換する時間を設けてくださいました。藤枝順心高校と常盤木学園高校のハイレベルな戦いを観戦し、運営側が「Players First」の精神に則ったゲーム時間の設定をしていたことはとても印象に残りました。
大野女子チーフコーチから頂いた「チャイニーズ・タイペイはチャイニーズ・タイペイの文化を尊重し、チャイニーズ・タイペイのサッカーの育成体制を作っていける指導者を見つけるべき」というご意見は、今後チャイニーズ・タイペイサッカーを広めるに当たり必ず取り入れるべきものですし、中田チーフコーチから伺ったJFAアカデミー福島の理念も、チャイニーズ・タイペイが今後推進していかないといけない国民教育理念と一致していました。
今回の視察でJFAが普及しているのはサッカー技術のみならず、人間力をも重視し、如何にしてサッカーを通じて自立した且つ自信をもった世界に通用する人間を育てるかを最も大事にしていると強く感じました。これはチャイニーズ・タイペイも見習うべきことだと思います。
JFAの皆さまが温かく迎え入れてくれたおかげで意義のある交流ができ、今後チャイニーズ・タイペイサッカーを推進する方向性が明確に見えてきました。本当にありがとうございました。
視察団メンバーコメント
蔡守浦 学務長(呉鳳科技大学)
山口副技術委員長が「日本のサッカーの試合もかつては観客が数人しかいない時期がありました」と話された時、脳裏に浮かんだのは「チャイニーズ・タイペイの現状がまさにそうだ」ということでした。つまり、チャイニーズ・タイペイサッカー界は日本の経験を活かせば、現状を打破できる可能性があるということになります。
今回の視察では、日本サッカー協会のミュージアム訪問から始まり、JFAアカデミー福島他3校の運営システムや常葉大学付属橘中学・高等学校女子サッカーチームの運営方法についてのレクチャーなどを通じて、日本サッカーの発展についてより深く知ることができ強く印象に残りました。また、FFPの現場でもインストラクター、スタッフ、監督の一人ひとりが若いサッカー選手のために熱心に指導し努力している姿を目の当たりにし皆さんの情熱を感じました。
今回異なるテーマで数回レクチャーをして頂きましたが、全てに共通して感じたのは日本サッカーが発展する過程において「ユース育成」、「指導者養成」、「リーグ制」そして「普及」は必要不可欠な要素であったことです。チャイニーズ・タイペイは現在少しずつ前に進んでいますが、如何にして着実に実行に移し効果を上げていくのかは今後私たちが直面する一番大きな課題です。
最後になりますが、日本サッカー協会の皆さまが温かく迎え入れてくれたことに感謝いたします。今後も引き続きチャイニーズ・タイペイサッカーへのサポートをよろしくお願い申し上げます。
呂桂花 副教授(国立台湾体育運動大学)
まず今回の視察にあたり、日本サッカー協会の皆さまの真摯で心温まる対応に、心より感謝申し上げます。
視察期間中に伺った日本サッカー協会が設定したビジョン、目標、女子サッカーがここまで成長してきた歴史、JFAアカデミー福島、学校におけるサッカー教育の発展など丁寧で詳しい説明を通して、サッカーを発展させるためには全面的な努力が必要であることを痛感しました。日本サッカー協会は、国際試合で勝てない、ワールドカップに参加できない、リーグ戦に観客が来ないという50年間を経験してきました。しかし、その時から黙々と着実にサッカーの普及、指導者養成、インストラクター養成、ユース育成、リーグ戦文化などの土台作りをし、その努力の積み重ねがあったからこそチャンスが来た時にそれをものにすることができ、今日のようなアジア諸国が羨むサッカー発展に成功した国となっているのだと感じました。大野女子チーフコーチが話していたようにチャイニーズ・タイペイはチャイニーズ・タイペイのサッカーをより良くしていきたいと本気で思っている人を探し、健全な組織作りをしていけば、チャイニーズ・タイペイサッカーを成長させることは可能だと思います。
帰国後、私は自分が所属している地域から日本で学んだことを実践していき、チャイニーズ・タイペイ全土の見本となるような体制を作り、私たちの時代でチャイニーズ・タイペイサッカーを今よりも成長させることを目標に努力していきたいと思います。ありがとうございました。