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これまでの活動

被災地に力を~令和6年能登半島地震におけるJFA復興支援活動

被災地の実情に合った支援を

 2024年1月1日、石川県能登地方を震源地とするマグニチュード7.6(最大震度7)の地震が襲った。気象庁によると石川県で震度7を観測するのは観測史上初めてのこと。この地震によって尊い命が奪われ、多くの被災者を出した。少しずつ復興に動き出しているが、建物の倒壊や地盤の隆起、液状化などによる被害が生活再建の障壁となっている。能登半島の5市町ではいまだ断水が続いている状況だ(4月時点)。一刻も早い復旧・復興が望まれる。

 日本サッカー協会(JFA)は、大地震や集中豪雨、台風などによる災害が起こった際に「がんばろうニッポン!サッカーファミリーのチカラをひとつに!」をスローガンに、サッカー界を挙げて復興に取り組んできた。能登半島地震発生後は、北信越地域の各県サッカー協会( FA)を通じて被害の状況把握に努めた。1月の理事会で義援金として500万円を寄付することを決め、2月に入ってからはJFA防災・復興支援委員会の巻誠一郎委員長(当時)らが被災地に赴き、サッカー施設などの被害状況を確認、支援内容について話し合い、被災地の実情に合った支援活動に取り組むこととした。また、現地の子どもたちとボールを蹴って汗を流すなどのサッカー交流もスタートさせた。2月15日の理事会では、被災地の登録者に対する登録料免除や資格更新に関する特別措置を決め、石川県FA常務理事でJFA小学校体育サポートインストラクターなどを務める北野孝一氏(小学校教員)を復興支援特任リーダーに任命。また、復興支援プロジェクトチームを設置することも決まり、本格的な取り組みをスタートさせることになった。

求められる心のケア、つながるスポーツ界の思い

 被災地では、学校の体育館が避難所に使用され、スポーツ施設には仮設住宅が建設されるなど、体を動かす場所や機会が失われている。また、子どもたちにとっても長く続く避難生活はストレスをため込みがちになる。重要になるのが、心のケアだ。

 JFAは現在、特に甚大な被害を受けた被災6市町(珠洲市、輪島市、七尾市、能登町、穴水町、志賀町)の小・中学校、高校を訪問し、体育の授業などを利用してボール遊びなどで体を動かし、心のケアにつなげようという取り組みを行っている。それと併せてサッカーボールなどの用具も贈呈。近隣の放課後児童クラブや老人ホーム、幼稚園・保育園、こども園などにも足を運び、交流を図っている。3月からは、JFAキッズアンバサダーの「エースバーン」も活動に参加しており(協力:株式会社ポケモン)、家庭でもサッカーやスポーツを楽しめるようにと、6市町の園児全員にスターターキットが配布された。

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被災地の子どもたちがストレスをためないよう、サッカーやスポーツを楽しむ機会をつくっていくことが重要だ

 これらの活動は、日本代表OB・OG会や日本財団HEROs、日本トップリーグ連携機構と共に行っている。サッカー界からだけでなく、さまざまなスポーツの元アスリートや現役アスリートらが少しでも被災地をサポートしたいと活動に参加。JFAは 派遣調整の役割を担っている。

 現在はほぼ毎日のようにアスリートらが学校などを訪問しており、「地震後、子どもたちのこんな笑顔を見たのは初めて」「大きな声を出して楽しそうにしている子どもたちの姿を見られてよかった」という声が寄せられている。子どもたちの笑顔が被災地の人々の心をほぐしているようだ。

 復興支援金募集を目的に開設されたクラウドファンディングとサッカーファミリー復興支援金口にも多くの支援が寄せられている。4月24日にはパートナー企業と共に「JFA Partnership Project for NOTO」をスタートさせること、7月 13日には「MS&ADカップ2024~能登半島地震復興支援マッチ がんばろう能登~」を石川県で開催することも決まった。

 スポーツを通じて笑顔になってもらい、被災地の人々に少しでも多くの元気や勇気を届けられるよう、JFAは今後もサッカー界やスポーツ界の力を結集させて復興支援に取り組んでいく。

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子どもたちだけでなく大人たちとの交流も。笑顔になれる機会づくりが求められている

※公益財団法人日本サッカー協会機関誌『JFAnews』2024年5月号より転載しています。

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