ニュース
「第13回フットボールカンファレンス」2日目、議論を深めて閉会
2023年01月16日
「第13回フットボールカンファレンス」は1月15日(日)に2日目を実施しました。この日は「未来へのみちしるべ」をテーマとし、前日に引き続き神奈川県・パシフィコ横浜での集合研修とオンライン研修のハイブリッド形式で開催されました。
まずは「2023年の女子ワールドカップに向けて」というテーマで、なでしこジャパン(日本女子代表)の池田太監督が登壇。自身がU-20女子日本代表を率い、準優勝という結果に終わったFIFA U-20女子ワールドカップ コスタリカ2022について「U-20年代の大会でしたが実践しているサッカーそのものはシニアに近いもので、ボールを奪ってゴールに向かう強度も高くなっている印象を受けました。そのなかで日本の強さであるコンビネーションプレーはまだまだ武器にできると感じました」と総括。この大会の出場メンバーからなでしこジャパンに入る選手が出てきたことにも触れ、「世界を経験し、優勝できなかった悔しさが残っているタイミングで招集できて、彼女たちがチームに新しい力を加えてくれました」と収穫を挙げました。
そして、今年7月に開催されるFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023に向けての意気込みを聞かれた池田監督は、次のように語りました。
「海外に所属する選手も増えてきましたが、もっともっと国際経験を積めるよう、強豪国とのマッチメイクをお願いしています。そのなかで多くのものを吸収して成長させていきたいと思っていますし、自分たちのやれることを増やすためにいろいろなことにトライしています。エラーもありますが、選手たちが迷いなくプレーできるよう情報を伝えていますし、成功体験も増えてきているので、7月の本大会に向けて高めていきたいです」
その後はUEFA(ヨーロッパサッカー連盟)テクニカルデペロップメントヘッドのフランク・ルドルフ氏が「UEFA TSGの活用と効果」と題し、大きな盛り上がりを見せたUEFA女子ユーロ2022の総括や、同大会出場国の代表監督が一同に会する代表チームカンファレンスについて、またUEFA女性指導者養成プログラムの実態などについては、その先進的な事例を交え解説しました。
また、ウェールズサッカー協会でテクニカルダイレクターを務めるデイビッド・アダムス氏は、世界中の指導者から注目を集めるウェールズサッカー協会のナショナルシラバス「Welsh way」についてレクチャーしました。
続いては影山雅永JFAユース育成ダイレクターが、2022年7月に策定した「Japan's Way」を紹介。「Welsh way」をはじめ、サッカー先進国のモデルをプロファイルし、議論を重ねて策定した「Japan's Way」は、日本サッカーの“ありたき姿”から逆算してそこに至る道筋を示したもので、実際のPDFを表示しながら説明していきました。そのなかで「プレービジョン」を解説する際には、SAMURAI BLUE(日本代表)の森保一監督が前日に続いて急きょ登壇し、影山ダイレクターと議論を交わしました。
森保監督は「日本の良さ」「日本らしさ」といったものについて「これまでイメージしていたものは日本国内だけで考えられていたもの。これからはグローバルスタンダードを身に着けたうえでそれらを発揮しなければいけない」と提言。実際に選手たちと交わした会話を踏まえつつ、「日本の良さは技術力や連係・連動して組織的に戦うところだと思いますが、ヨーロッパで活躍している代表の選手たちは、必ず『個の強さを身に付けなければいけない』と言います。世界と戦える個の力を付けたうえで日本の良さを発揮することが、世界で勝つことにつながると感じています」と語りました。
最後のセッションはアンディ・ロクスブルグAFCテクニカルダイレクターによる「未来のフットボールを語る」。元日本代表監督のアルベルト・ザッケローニ氏とともに日本サッカーと世界との比較や、今後の発展のために何が必要かを語り合いました。
ロクスブルグ氏は終盤、日本サッカーの未来を楽観視できる根拠として「明確なビジョン」や「強いリーダーシップの存在」、「コンスタントな改善」など10項目を挙げます。するとザッケローニ氏は「私に1つ加えさせてください」と語り、「サッカーへの情熱があること」を挙げて対談を締めくくりました。
2日間にわたって行われたフットボールカンファレンスではさまざまな議論がなされ、参加者たちは学びを深めました。次回は2年後の2025年に開催される予定です。