チーム紹介
サンフレッチェ広島F.Cユース
高円宮杯プレミアリーグが誕生してから3年間、サンフレッチェ広島ユースは高校年代最高峰のリーグで常に先頭を走ってきたが、4年目となる今季は例年のような結果を残せておらず、夏に行われた日本クラブユース選手権ではユース創設以来初となる中国地区予選での敗退となった。しかし、敗北から学ぶことでチームはさらに成長できる。望月一頼監督は「これから何をするかが大事」と選手たちに語り掛け、主将の荒木隼人選手は「どこかに甘い部分があった。もっと自分たちを見つめていかないといけない」と話すなど、秋以降での巻き返しを誓っている。
広島ユースの選手たちは、広島市内から車で約1時間の距離にある安芸高田市に活動拠点を置き、大自然に囲まれた中で寮生活を送っている。掃除や洗濯はもちろん自分でやり、仲間と寝食を共にしながら規律ある毎日を過ごす。1年生の立花響選手は「最初はきつかったです」と振り返るも、4カ月が経って「気付いたら自分から動くことができるようになってきました」と自身の成長を実感していた。現在はプロとなってトップチームで活躍する多くの先輩たちもこの三矢寮で、「まず人間として成長することが大事」(望月監督)という一貫した指針のもと大きく成長していった。また、「上下関係も厳しいのかなと思っていたんですけど、先輩は優しすぎるくらいです」と2年生の加藤陸次樹選手は笑顔で話す。規律の取れた生活の中に、こうした和気あいあいとした雰囲気がのぞくのも広島ユースのカラーの一つだ。
広島はクラブとして早くから選手育成に力を入れ、ノウハウも積み上げてきた。プロを志す若者にとって、ここは夢を現実に近づけることができるまたとない場所だ。「ここにやってくる選手たちはそれぞれ決意を持って来ている」と話す望月監督の言葉にも力がこもっていた。ユースの選手たちのすぐ傍らでは、トップチームが練習をしている。その存在に刺激を受けながら、研鑽を積む日々が続く。
しかし、全員が夢を叶えられる保証はない。だからこそ、チームの結束はより重要だ。団結力の強さ、チームワークの良さは、広島ユースのチームカラーになっているが、今年のチームはより一層、団結力が強い。「今年のチームはすごく目立つ選手がいないぶん、一人ひとりがチームのために戦える。チームワークの良さが一番いいところです」と加藤陸次樹選手は言う。一昨年は野津田岳人、昨年は川辺駿、宮原和也、大谷尚輝らトップチームへ昇格した先輩がチームをグイグイと引っ張ってきた。彼らが卒業した今年は、厳しい結果にも全員で向き合うことでチームの団結力が日増しに高まっている。「広島ユースは伝統があって誇りのあるチーム。今年も最後にはやっぱり広島ユースは強いなとみんなに思わせたいです」と荒木隼人選手は力強く話していた。
颯爽とママチャリにまたがり練習場へ移動する選手たち。安芸高田市での移動手段はもっぱら自転車だ
吉田サッカー公園。広大な自然に囲まれた静かな環境で練習に取り組んでいる
昨年から指揮を執る望月一頼監督が、選手たちに熱く語りかける
一昨年に引退した『広島の鉄人』服部公太が、昨年からユースチームのコーチを務めている
練習中に笑顔が絶えないのも、広島ユースの文化。広島の団結力は、こうしたなかで日々培われていく
山の天気は変わりやすい。突然の大雨も、真夏の蒸し暑い中で練習する選手たちには救いの雨となっていたようだ
選手たちが寝食を共にする三矢寮。数々の選手たちがここから巣立っていった。番犬を務めるマルが温かく迎えてくれる
三矢寮のロビーには、歴代のトロフィーがところ狭しと飾られている。その様は圧巻の一言
食堂はいつも和やかな雰囲気。選手たちにも自然と笑顔がこぼれる
監督・選手コメント
望月一頼 監督
今年のチームにはずば抜けた選手はいないけど、それぞれに特徴のある選手たちがいて、いろいろなことに意欲的に取り組もうという雰囲気があります。結束してチームとして戦うんだということを意識してやってきました。クラブユース選手権の予選で負けたことはずっと忘れてはいけないけど、敗戦から学んでこれから何をするかということと向き合っていこうと話しています。
DF 3 荒木隼人 選手
今年のチームはみんなでひたむきに練習に取り組めていて、しっかりとハードワークできるチームです。クラブユース選手権を予選で負けたことは悔しくてたまりませんし、忘れられません。どこかに自分たちが甘い部分があったと思うので、もっと自分たちを見つめていかないといけないと思っています。広島ユースは伝統あるチームですし、今年も最後にはやっぱり広島ユースは強いなとみんなに思わせたいです。
FW 15 加藤陸次樹 選手
広島ユースなら良い環境でサッカーに集中できると思い、(双子の兄・威吹樹と)二人で一緒にトップに上がるという目標を持って埼玉から来ました。寮に入ったばかりのころは先輩や寮長に言われてからしか行動できませんでしたけど、今は言われる前に行動できるようになってきたと思いますし、サンフレッチェ広島ユースは地域の人にもすごく応援してもらっていると感じます。
MF 35 立花響 選手
先輩たちも優しくて、すごく楽しい寮生活を送っています。朝の点呼や、掃除や洗濯も自分でやるので最初はきつかったのですけど、今は習慣になってきました。プロを目指すために、ジュニアユースの時からユースを目指してきて、一歩近づけたと思っていますけど、ユースには身体能力の高い選手も多くて、すごく刺激を受けながら毎日練習しています。
チームWebサイト
http://www.sanfrecce.co.jp/under/youth.html