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【JFA STATEMENT】第9回 日本サッカー協会会長に再任
2014年04月03日
3月29日に開催した評議員会、理事会で役員改選について審議され、私、大仁邦彌が引き続き、会長を拝任し、田嶋副会長と原専務理事が再任、そして、新たに、Jリーグの村井満チェアマンと国立西洋美術館の馬渕明子館長が副会長に就きました。今後も全力で日本サッカー、日本のスポーツの発展に尽くしていきますので、よろしくお願いいたします。
JFAは、『JFA2005年宣言』の中で「JFAの約束2015」として「世界トップ10の組織になる」ことを約束しています(詳細はこちら)が、その実現に向けて、今年は実質、最後の1年になります。日本サッカーを取り巻くファミリーの皆さんに示した公約ですから、この1年で目標達成に全力を尽くしたいと思っております。一方で、現在、進めている2015年以降のマーケティング契約の更改に並行して、2015年から2022年までの事業計画を策定しなければなりませんし、また、「JFAの約束2050」までには間が空いていますので、2030年を目処に新たな目標を設定し、より具体的に、積極的に理念の具現化を図る必要があります。このような状況の中、日本サッカーの発展に向けて取り組むべき五つの重点方針を策定しました。
重点方針 |
1. JFAの組織強化 |
2. 代表チームの強化 |
3. グラスルーツの推進 |
4. 国際力の強化 |
5. Jリーグとの協働 |
まずは、「JFAの組織の強化」です。
現在、「JFAリフォーム」と称して様々な検討を進めております。FIFAの標準規約(「FIFA Standard Statutes」)に準拠したJFA規約の変更については、この1年で改正すべく作業に入っています。これによって、より透明性を高め、より多くのステークホルダーが参加できる組織にしたいと思っています。
JFAの司法機関である規律委員会、裁定委員会、不服申立委員会はこの4月から完全に独立したものになりますが、指導現場における暴力問題や八百長問題、さらに、人種差別など深刻な問題も発生しておりますので、ガバナンス、コンプライアンスの徹底は急務であり、これについては、高い危機意識を持って取り組んでいきたいと考えております。
また、安倍内閣が成長戦略の一環に「女性の活躍」を掲げていますが、JFAも女性の登用を積極的に推し進めていきます。今回、馬渕さんにJFAの副会長をお引き受けいただいたのもそういった意図があってのこと。女子サッカーをはじめ、女性職員が働きやすい職場環境の整備など、社外取締役のようのような立場で手腕を発揮していただきたいと思っています。
組織の強化・発展のためには、より盤石な財政基盤を構築する必要があります。
JFAは『JFA2005年宣言』の実現に向けて2012年に公益財団法人化。今回、公益財団法人として2年目の決算となりましたが、(2013年4月から12月の9ヶ月の変則的な数字ではあるものの)総収入が128億6,222万4,490億円、総支出が111億9,058万7,027円、総収入から総支出を差し引いた正味財産増加額は16億7,163万7,463円に上りました。
この16億7千万円の中から、来るべき100周年の記念事業の一環となる普及事業を展開する備えとして1.4億円、JFAフットボールセンターを建設するために8億円を積み立てました。
JFAフットボールセンターは、各カテゴリー代表の強化の拠点としてはもちろん、指導者養成、審判養成、あるいは、メディカル対応やテクニカルの情報センタ-、研修設備、また、来日した外国チームの練習場といった機能を有する充実したものにしたいと思っており、できればこの2年以内に候補地を決められればと考えています。
次が「代表チームの強化」です。
日本代表は、日本サッカーのみならず、日本のスポーツの発展に欠くことのできない存在になっています。今年は6月に、前回大会以上の躍進を懸けたFIFAワールドカップブラジル大会がありますが、来月にはなでしこジャパンのAFCアジアカップ、来年6月には、連覇が懸かるFIFA女子ワールドカップカナダ大会が控えています。男子、女子、フットサル、ビーチサッカーのレベルアップ、オリンピックやFIFAワールドカップ出場に向けての強化は、常に我々の重要な仕事に位置づけられています。
三つ目は「グラスルーツの推進」です。
キッズからシニア、女子サッカー、フットサル、ビーチサッカーの普及はもちろん、障がいを持つ人や高齢者のスポーツ推進にも力を注いでいく必要があります。JFAならびにJリーグの理念にもあります通り、日本サッカー界は「スポーツ文化の確立」や「地域のスポーツ振興」を標榜しており、グラスルーツはこれからの少子高齢化社会に向けても非常に重要な部分であると認識しています。各都道府県協会、Jリーグ、各種連盟とうまく連携しながら進めていく考えです。
四つ目は、「国際力の強化」です。
アジアのサッカー発展のためには、AFC(アジアサッカー連盟)がより透明性のある、公正・公平な組織になっていかなければなりません。そのためにも、アジアの中で日本がリーダーシップを発揮していくことが必要だと思っています。これまで通り、指導者の派遣や審判員、選手の交流などアジア貢献を積極的に進めていくことはもちろん、小倉純二名誉会長に続くFIFA理事を、何としても日本から送り出したい。また、各カテゴリーの世界大会やイベントを招致して国際力や組織力をつけること、スポーツを通じて国際平和や国際親善に寄与していくこともスポーツ団体として大切な使命です。これらにつきましては、スポーツ界全体の動きを見極めながら、しっかり開催計画を立てていきます。
そしてもう一つが、「Jリーグとの協働」です。
現在も取り組んではいますが、AFC、FIFAのカレンダーとJFAやJリーグのカレンダーを調整して、日本にとって最も良いカレンダー・スケジュールは何かということを検討していきます。AFCチャンピオンズリーグの継続的なサポートなどを含め、Jリーグの価値を向上させることにも力を注いでいきます。
また、都道府県サッカー協会とJクラブが連携して、地域のスポーツ振興や育成を進めていけるようサポートしていきます。特に育成の部分では、JFAアカデミーとトレセン、Jリーグアカデミーなど、日本サッカー全体の育成システムを整理し、どう連携を取って効率的に良い選手を輩出していくかというところを議論したいと考えています。
これら五つの重点施策を遂行しながら、東日本大震災の復興支援やJFAこころのプロジェクト、JFAグリーンプロジェクトなどにも力を注ぎ、社会に貢献していくことが公益財団法人としての責務だと思っています。
復興支援につきましては、震災から3年が経過して被災地の状況も変わってきておりますので、各々のニーズに応じた支援を継続。また、Jヴィレッジにつきましては、2020年の東京オリンピックの日本の男女代表の強化の本拠地にし、福島の復興のお役に立てればと考えています。
「JFAこころのプロジェクト」はスタート以来、順調に運営されており、この6年間で5,475回の「夢の教室」を実施しました。授業を受けた児童・生徒は延べ166,187人に上ります。本プロジェクトが拡大している背景には、夢先生の存在はもちろん、各地の自治体との相互協定と企業の支援体制があります。今後も各地の自治体、教育委員会、学校、支援企業と手を携えながら、子どもたちの心身の健全な育成に貢献していきます。
ワールドカップイヤーの今年は、サッカーへの注目度が一段と高まります。サッカー界が一丸となってこれらの課題に取り組み、日本、そしてアジアのスポーツをリードする存在として社会に貢献できればと考えています。
6月に行われる本大会では、サッカー王国・ブラジルで素晴らしい戦いを見せ、日本中を感動と興奮の渦に巻き込みたいと思っております。厳しい戦いですが、今後の日本サッカーの発展のために何とか良い結果を残したいと思っております。
これからもご支援いただきますよう、よろしくお願いします。
公益財団法人 日本サッカー協会
会長 大仁邦彌
3月29日に就任した新三役のコメントは下記の通りです。
副会長 田嶋幸三(再任)
大仁会長をサポートし、日本サッカーの発展に貢献したいと思っております。特に四つ目の課題に挙げられている「国際力の強化」というところでは、FIFAの理事選に勝つということに焦点を当て、全力を尽くします。女子は世界チャンピオン、男子はアジアチャンピオンであるという利点を生かしてアジアサッカーの発展に貢献していきます。そういうことを地道にやっていくことで日本を支持してくれる人を増やすことになりますし、何としてもFIFA理事を勝ち取り、国際的にも発言力を増していきたいと考えています。また東アジア各国がしっかりと連携するということにも取り組んでいきます。アジアは広域で宗教や文化など多様で、まとまるのに難しい部分はありますが、サッカーにおいてはアジアを引っ張っていく国が東に集中していますし、マーケットも東アジアが強い。そういう意味でも東アジアが一致団結して、アジアのリーダーにっていきたいと思っています。
副会長 村井満(新任)
JFAとJリーグsの理念は、サッカーやスポーツを通じて、人々の心身の健全な発達に寄与し、社会の発展と国際親善に貢献することです。サッカーの強化、普及、年代別代表、女子、各カテゴリー代表など、日本が国際大会で躍進するため、またサッカーファミリーの拡大という部分でもJリーグがサポートできることはたくさんあると思っています。Jリーグのチェアマンに就任した際に、「新規のファンを増やす」ということを申し上げましたが、ワールドカップイヤーということで今一度サッカーの原点に立ち返り、日本サッカーを盛り上げていきたいと思っております。
副会長 馬渕明子(新任)
サッカーの経験はなく、これまでJFAとの関係も全くありませんでしたが、Jリーグが開幕して以来、サッカーファンになり、いまやサッカーが生活の一部になっています。大仁会長からは、女性プレーヤー、女性職員などJFAにおける女性のサポート、また、外部の目から見た様々な意見を聞かせて欲しいということを仰せつかりました。海外と比較したとき、日本は女性のサポーターが非常に多い。そういった点を日本の強みにできるのではないでしょうか。たくさん女性がスタジアムに来て、楽しんで、さらにサッカーの素晴らしさを広めていく――これが日本の取り柄だと思いますので、大仁会長、副会長の皆さんをはじめ、多くの人々の意見を取り入れ、何らかの形で反映することができればと思っております。
専務理事 原博実(再任)
まず今はFIFAワールドカップブラジル大会に向けて良い準備し、日本サッカーの良さを最大限に発揮して良い結果残したいと思っています。その先については、日本サッカーが世界にもっと近づくため、カレンダーの問題について、男子だけでなく女子についても見直していく必要があります。また、FIFAから要請されている通り、JFAをもっと透明性のある組織にしていかなければなりません。各種連盟、47都道府県協会と協力し、より盤石な組織をつくっていきたいと考えています。