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【JFA STATEMENT】第10回 「JFAの約束2015」の評価、JFAの新たな目標策定の年
2015年01月01日
新年によせて
明けましておめでとうございます。
2015年、日本サッカーはAFCアジアカップで幕を明けます。SAMURAI BLUE(日本代表)は正月を返上して厳しいトレーニングに励み、いよいよ臨戦態勢に入りました。アジア各国もレベルを上げていますから楽な試合は一つもありませんが、何としてもアジアチャンピオンに輝き、2018年のFIFAワールドカップロシアへの布石にしたいと考えています。
日常のサッカーの質を高め、世界トップを目指す
昨年のFIFAワールドカップブラジル大会は、FIFA(国際サッカー連盟)のテクニカルスタディグループ(TSG)が「過去最高のプレーの質」と評価した通り、技術、フィジカル、戦術ともに優れ、スピード感のある激しいゲームが繰り広げられました。20代前半の若い選手が躍動した大会でもあり、代表チームの若年化が進んでいることを強く感じます。
SAMURAI BLUEは残念ながらグループステージで敗退してしまい、皆さんのご期待に添えませんでした。また、U-17、U-20の代表チームが世界大会への切符を逃してしまったことについても危機感を募らせています。これまでに積み上げてきたものをさらに進化させるべく、サッカー界が連携を蜜にして取り組んでいく必要があると思っています。
具体的な策としては、ピッチ上で何が足りないのか、課題を明確にし、トップから育成世代に至るまで、日常の試合とトレーニングの質、インテンシティー(プレーの強度)を上げていくこと、トレセン活動を充実させるとともに、Jクラブのアカデミーと連動して有能な選手を育てていくサイクルをつくること、さらに、ユース年代が国際レベルの試合を多く経験できる体制を構築することも必須です。今年は6月に日本サッカー協会(JFA)主催のU-16年代の国際大会を開催しますが、代表チームだけでなく、クラブチームが国際経験を積む機会も増やしていくよう、都道府県協会、Jリーグとともに進めていきます。これらユース育成等のJリーグとの協働事業においては、JFAが5億円を投じ、より強固な体制を構築して進めていきます。
育成と平行して取り組むのが、指導者の質の向上。特に、育成年代の選手指導は日本サッカーの発展と選手の未来を握る重要な存在として、その道のスペシャリストを養成していく考えです。1月10日から3日間の日程でフットボールカンファレンス(詳しくはこちら)を開催しますので、そこでも全国の指導者の皆さんと十分確認し、共有したいと思います。
なお、長年、課題に挙がっている日程問題に関しましては、Jリーグ、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)、天皇杯等、それぞれの大会の意義や性質を考慮した日程の改革に取り組んでおり、2017年から日本サッカー界にとって適切なスケジュールを策定できる見込みです。
女子サッカーは若い選手も育っており、大いに期待しています。今年6月にはFIFA女子ワールドカップが開催され、なでしこジャパン(日本女子代表)は連覇を懸けて挑みます。大会までの6ヶ月間、気を抜かずに完成度を高め、再び日本にあの感動となでしこ旋風を吹かせてほしいと願っています。
JFA組織の強化
日本サッカーが世界トップレベルの実力を備えるためには、JFAの組織基盤が盤石であることが大前提となります。2015年度は、JFAの新しいマーケティングサイクルがスタートする年で、企業の皆様のご理解とご賛同を得て新たな契約の締結を進めています。
12月の理事会、評議員会で2015年度の予算案が承認され、前年度を上回る予算を組むことができたわけですが、今年は、『JFA2005年宣言』に記す「JFAの約束2015」を評価し、新たに「JFAの目標2030」を策定する大事な年ですので、有効な投資を行いながら、JFAの理念の具現化を推し進めていきます。
JFAは昨年、「組織の強化」を重点施策の一つに掲げ、FIFA(国際サッカー連盟)の標準規約に則した組織改革に取り組んできました。立法(評議員会)、行政(理事会)、司法(裁定委員会等)の三権を分立させ、それぞれの活動を推進。また、内部統制システムの構築や倫理規程の整備を進める傍ら、試合会場にウェルフェアオフィサーを配置するなど、大会におけるガバナンス、コンプライアンスの徹底も図ってきました。今年度はまず、3月の評議員会で新たな評議員75名を選出して三権分立をさらに推進する一方で、評議員/理事/会長の選挙制度を見直して来年の会長・理事改選に備えながら、委員会の再編成や各連盟との連携を進めていきます。さらには、地域協会の法人化や都道府県協会の基盤強化にも力を入れたいと考えています。
JFAの事務局に関しましては、新規事業も増え、新しいスタッフも増えていることから、理念やビジョンへの理解を組織全体に浸透させると同時に、JFAの価値観(バリュー)や行動指針(ウェイ)を明確にして職員研修を行いながら、さらなる理解を深めていきます。そのほか、女性が積極的に働ける環境の整備、障がい者や外国人の受け入れなどのダイバーシティ・マネジメントの取り組みも検討し、公平で公正な職場づくりを目指します。
JFAの「国際力の強化」にもつながることですが、JFAが盤石の組織力を備えるためには、国際力をつけることが不可欠です。世界のサッカーの動きをいち早く知ること、国際社会で起こっている問題に迅速に対応すること、国際会議で発言力を持つことなど、世界トップ10の組織になるために欠かせない要素です。それには、小倉純二名誉会長に次ぐFIFA理事を日本から輩出することにほかなりません。長年にわたって東アジアやASEANなどのサッカーファミリーと交流を深めて来ましたが、その支援を後ろ盾にFIFA理事の座を獲得したいと思っています。もちろん、アジアではこれまで同様に、日本の組織力や大会運営力の高さ、公正さ、透明性を示し、リーダーシップを発揮しながらサッカーの発展に力を注いでいく考えです。
公益財団法人としての務め
昨年度から始まったフットサルのチーム登録、エンジョイ登録も順調に進んでいます。また、昨年はJリーグとともに「グラスルーツ宣言」を行い、年齢、性差、障がい、人種等に関わりなく、誰もが、いつでも、どこでも、サッカーを気軽に楽しめる環境づくりに努めてきました。
ご存知の方も多いと思いますが、昨年は、日本でブラインドサッカーの世界選手権が行われ、JFAもそのPRに一役買いました。この大会に合わせて、イングランドサッカー協会(The FA)から講師を招き、JFA公認指導者を対象に、イングランドにおける「障がい者サッカー」の基本的な考えや指導法などを学びました。また、日本の障がい者サッカーの実態を調査したり、大会を視察するなどしてその全体像を把握。関連する7団体との意見交換会をスタートさせ、サポートする内容を検証してきました。今後は、各団体と協議会を立ち上げ、各団体の法人化と統括団体の法人化を進めると同時に、指導者養成・審判派遣・施設提供等の連携やプロモーションのサポート体制を広げていくことにしています。
わずか二十数年前、マイナースポーツだったサッカーは、今ではFIFAワールドカップ、オリンピックに5大会連続出場を果たすまでになりました。海外のトップリーグやアジア各国でプレーする日本人選手に加え、日本人指導者もアジア各国で活躍しています。日本サッカーが注目を集める中で、その影響力も責任も大きくなっています。スポーツ現場での暴力、日本では無縁と思っていた人種差別行為も昨年、Jリーグの試合で発生しました。世界ではインターネットを使った八百長も深刻な問題になっており、いつ日本がその脅威にさらされるかわかりません。我々サッカーの仕事に携わる者をはじめ、選手、指導者、審判員全員がしっかり襟を正し、責任感を持って仕事に邁進していかなければと思っています。
前述のグラスルーツをはじめ、JFAこころのプロジェクトや東日本大震災の復興支援、リスペクト・フェアプレープロジェクト、グリーンプロジェクトといった社会貢献にも真摯に取り組み、公益財団法人としての役割を果たしていきます。
現在、2015-2016年のFIFAクラブワールドカップを日本に招致すべく動いていますが、FIFAから提出された国際大会/国際イベントの招致・開催計画を精査して必要な招致活動に着手するとともに、2020東京オリンピックもあと5年後に迫りましたので、キャンプ地の募集やベニュー(開催地)のマッチスケジュールの確定など具体的な準備を進めていきます。
昨年は、ソチ冬季オリンピックフィギュアスケート男子で羽生結弦選手が金メダルを獲得し、4月にはU-17日本女子代表がFIFA U-17女子ワールドカップ制覇、テニスでは錦織圭選手がアジア人として初となるグランドスラムで準優勝するなど、世界舞台で日本人選手が大活躍しました。
今年もスポーツ界が躍動し、多くの人々に勇気と希望を持ってもらえるような一年にしたいと思っています。
サッカーファミリーの皆さん、皆で手を携え、世界トップレベルの日本サッカーをつくっていきましょう。