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CSRリレーコラム第2回「サッカーとSDGs<誰一人取り残されない未来を目指そう>」~社会貢献委員会 黒田委員~
2019年08月15日
JFAは、サッカー競技を統括する唯一の団体としての社会的責任を踏まえ、「サッカーを通じて豊かなスポーツ文化を創造し、人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献する」という理念を掲げています。社会貢献委員会はこの理念にある、「社会の発展への貢献」について考えているJFAの専門委員会の一つで、組織の社会的責任(CSR)の分野等に詳しい5人の有識者によって構成されています。
この社会貢献委員会の活動についてサッカーファミリーの皆さんにお知らせする取り組みの一つとして、委員によるリレーコラムを始めます。第2回は一般財団法人CSOネットワーク 事務局長の黒田かをり委員から、「サッカーとSDGs」についてご紹介します。
第2回 社会貢献委員会 黒田かをり委員コメント
スポーツを通じたSDGs達成への貢献
「スポーツを通じて持続可能な未来づくりに貢献する」という機運が世界中で高まっています。開催まで1年を切った東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、「大会を通じて、世界共通の課題である国連の『持続可能な開発目標(SDGs)』に貢献する」ことを明言しています。
17の目標と169のターゲットから成るSDGsは、貧困のない、持続可能な世界を次世代に受け継いでいくことを目指す世界規模の共通目標です。SDGsは、「誰一人取り残さない」という理念を掲げており、社会的包摂やジェンダー平等を含む人権尊重がベースになっています。
SDGsの国連文書の第37節には、「スポーツが持続可能な発展における鍵となる」と書かれています。スポーツは、平和への貢献とともに、健康、教育、社会的包摂の目標の達成や、女性、若者、個人やコミュニティの能力強化に寄与することができるからです。
(国連広報センターのホームページより)
サッカーとSDGs
サッカーは、スポーツの中でも、持続可能性(サステナビリティ)や人権尊重への取り組みにいち早く取り組んできました。国際サッカー連盟(FIFA)のサムラ事務総長は、SDGs達成に向けたサッカーの貢献や同連盟のコミットメントを明言しています。
FIFAは、これまでも競技中の差別的な行為の撤廃や人権侵害の防止などに取り組んできました。2018年のFIFAワールドカップ・ロシア大会と2022年のカタール大会に向けた建設労働者の人権侵害などが大きく報道されると、FIFAは人権方針を策定し、大会会場の建設労働者の権利保護や、競技中の選手への人権侵害や差別の予防などを盛り込みました。さらに2017年11月には、初の人権報告書を発表しました。
今年の6月初旬、パリで開催された同連盟の理事会において、人種差別に対する「ゼロ・トレランス(非寛容)」を懲戒規程に反映させることが決まりました。JFAも今年の5月に、「JFAサッカーファミリー安全保護宣言」を発表。サッカーにおける暴力・暴言を根絶する「ゼロ・トレランスの実現」や「子どもたちをハラスメントから守る」といった取り組みを推進しています。
サッカーのクラブチームも、それぞれ「誰一人取り残さない」SDGsの達成にさまざまな貢献をしています。FCバルセロナ財団は学校へのいじめ問題をなくす取り組みを行っていますし、レアル・マドリード財団は教育と文化の活動や社会福祉事業を実施しています。チェルシー・フットボール・クラブは、英国の学校で、平等と差別の気づきと、友情とチームワークの価値を考える教育プログラムを実施しています。
日本の動き
日本でも、日本サッカー協会(JFA)やJリーグのクラブチームがSDGsへの貢献を表明しています。
日本障がい者サッカー連盟(JIFF)は、日本サッカー協会と協働して、日本ブラインド・サッカー協会など7つの加盟団体をサポートしています。理念は、「広くサッカーを通じて、障がいの有無に関わらず、誰もがスポーツの価値を享受し、一人ひとりの個性が尊重される活力ある共生社会の創造に貢献する」です。これは、「誰一人取り残さない」というSDGsの理念と軌を一にするものだと思います。
浦和レッズは今年7月にSDGsへの参加を表明しました。Jリーグは、全国で展開する社会連携事業をSDGsで整理し直しています。また、2014年から差別をなくすためのアクションプログラム「ゼロ・トレランス」を実施してきました。こういう活動が、東京2020大会をはじめ、他のスポーツ競技に広がっていくことを願っています。
最後に:誰一人取り残されない未来を作るために
世界中の多くの人たちを魅了するサッカーには、計り知れない力があります。国境や人種を超えて、ともにサッカーを楽しみながら、社会課題を考え、解決に向けて行動する人たちの輪が広がることで、差別のない、誰もが包摂される、持続可能な未来が実現していくことを強く期待しています。
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