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JFA創立100周年を迎えて~【コラム】 田嶋幸三の「フットボールがつなぐもの」vol.14~
2021年01月01日
“THE YEAR”のはじまり
新年、明けましておめでとうございます。
東京オリンピック・パラリンピックが行われる今年、日本サッカー協会(JFA)は創立100周年を迎えます。
本日、国立競技場で開催される天皇杯JFA第100回全日本サッカー選手権大会決勝から来年の天皇杯決勝までの1年間を「THE YEAR」とし、「過去への感謝、未来への決意」をコンセプトに、この一年間、さまざまな記念イベントを行います。
1月9日から3日間の日程で行われるフットボールカンファレンスも「日本サッカーの歩み・現在そして未来へ」と題し、アジアサッカー連盟(AFC)テクニカルダイレクターのアンディ・ロクスブルグさん、国際サッカー連盟(FIFA)のハイパフォーマンスエキスパートを務めていらっしゃるホルガー・オジェックさん、同じくFIFAのグローバルフットボールディベロップメントの責任者であるアーセン・ベンゲルさん、イングランド代表監督のガレス・サウスゲートさんらを講師にお迎えして開催します。今年は、新型コロナウイルスの集団感染を防ぐためにオンライン開催となったのですが、それによって例年の倍を超える2000人もの指導者の皆さんが参加して行われます。
また2021年は東日本大震災から10年という節目の年でもあることから、3月には「東日本大震災10年~サッカーが地域社会にもたらしたもの」と題したオンライン形式のシンポジウムを開催します。それを皮切りに4月から7月の期間、日本代表や地域スポーツとしてのサッカー、リスペクト、女性活躍など連続した11のシンポジウムを行う予定で、「サッカーが持つ多面的な価値」についてサッカーファミリーの皆さんと語り合い、その価値を再認識して次の100年につなげたいと考えています。
創立記念日の9月10日は「THE DAY」とし、千葉県浦安市の舞浜アンフィシアターでJFA100周年記念式典を執り行います。式典ではサッカーの発展に貢献していただいた方々を表彰させていただくほか、創立75周年時に制定した「JFAサッカー行動規範」を改訂し、「未来への決意」とします。
シンポジウムのレポートや表彰者のお名前などは100周年特設サイトに掲載するほか、同サイトでは日本サッカーの歩みや歴史的名場面をコラムや映像で振り返る企画も計画しています。また、2022年3月には100周年記念誌(タイトル未定)も発行する予定で、現在、急ピッチで制作を進めているところです。
「JFA2005年宣言」の実現に向けて
昨年から続くコロナ禍は幾多の試練を私たちに与えました。多くの人々がスポーツをしたくてもできないという経験をしたことで生活の中にスポーツがあることの素晴らしさ、スポーツの楽しさ、大切さというものを再認識したと思います。プロの選手たちも、自粛期間が明けて久しぶりにボールを蹴ったときの高揚感を実感したでしょう。
私自身も、スポーツは人々に、そして社会に活気を与えてくれるものだとあらためて思いました。そういう意味で、昨年は“スポーツの原点”というものを再認識、再発見した一年だったと思います。
JFA創設100周年を迎え2021年は、コロナ禍に打ち勝つためにも、もう一度JFAの理念に立ち返り、「JFA2005年宣言」に掲げた目標達成に向けて全力を注ぎます。
新型コロナウイルスの影響を受けて働き方改革が急速に進展したように、JFAもこの苦境を次の100年に向けて改革を進める好機にしたいと考えています。特に2021年から2024年の4年間で、登録制度の改革や新たなメンバーシップ制度の導入、デジタル化、女子サッカーの環境整備などを推進すると共に、コンプライアンス、ガバナンスを強化させ、盤石の組織基盤を実現します。
また、昨年、完成したJFA夢フィールドを有効に活用していくことも重要だと考えています。
コロナ禍でまだ多くの皆さんに来ていただくことはできませんが、JFA夢フィールドは、日本代表のトレーニングや指導者/審判養成の拠点であると同時に、テクニカルやスカウティング、コンディショニングなどの知見、サッカー先進国の取り組みやノウハウなど、サッカーに関わるさまざまな情報を収集し、分析し、それを47都道府県サッカー協会(47FA)やJクラブ、ひいては日本のスポーツ界、そして、アジア、世界へと発信していく拠点となります。
3月にはJヴィレッジにあるJFAメディカルセンターも開院しますので、同センターとJFA夢フィールドが連携し、育成年代の発育やけが予防、女性アスリートのヘルスケア、シニア世代の健康づくりといった医科学的な研究なども行いながら、日本サッカーの水準向上と人々の心身の健全な発達、社会の発展のために取り組んでいきます。
東京オリンピックで男女ともにメダルを目指す
今年はまた、なでしこジャパンがFIFA女子ワールドカップドイツで劇的な優勝を収めてから10年という節目の年でもあります。
ひたむきに、そして決して諦めることなく挑み続けるなでしこたちの姿が、東日本大震災に打ちひしがれた日本に明るいニュースをもたらし、多くの人々を勇気づけました。日本サッカーが目指す「Japan’s Way」――「技術力」「俊敏性」「組織力」「勤勉性」「真摯さ」「フェアネス」といった日本のストロングポイントを、国際舞台で最初に体現してくれたのもなでしこジャパンです。
いまも世界は、新型コロナウイルスの脅威にさらされています。日本も第3波ともいわれる感染拡大が続いており、多くの人々が困難の中にいます。
そんなときだからこそ、スポーツで日本中を明るくしたい。2011年のときのように、なでしこジャパンとU-24日本代表が多くの人々に勇気と希望を届けられるよう、森保一監督、高倉麻子監督も強い覚悟で世界最高峰の舞台に臨んでくれるはずです。秋にはWEリーグも開幕しますので、この新しいプロリーグに弾みをつけるためにもメダル獲得を目指します。
SAMURAI BLUE(日本代表)も2022年のFIFAワールドカップカタール大会に向け、3月から再びアジア予選を戦います。昨年10月、11月のヨーロッパ遠征では多様な戦い方にトライしてチャンスもつくっていました。若い世代も台頭してきて、良い循環が生まれています。アジアの戦いはヨーロッパの強豪国との試合とはまた異なり、難しい面もありますが、何としてもカタール大会への出場権を手にし、「JFA2005年宣言」に掲げる“ワールドカップ優勝”の布石としたいと思います。
創立100周年を迎える今年は、JFAにとって、次の100年に向けてさまざまな改革に着手し、新たなチャレンジをする年となります。
9地域サッカー協会、47都道府県サッカー協会、Jリーグをはじめとする各種連盟、各自治体、ご支援いただいている企業、団体の皆さま、そして全国のサッカーファミリーの皆さんと手を携え、さらなるサッカーの発展に向けて取り組んでいきたいと考えています。
サッカーファミリーが一丸となって新しいサッカー界をつくっていきましょう。
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