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[特集]GKへの理解 守護神の姿~林 彰洋選手に聞く GKの奥深さを理解してその魅力を伝えていく 前編

2020年06月17日

[特集]GKへの理解 守護神の姿~林 彰洋選手に聞く GKの奥深さを理解してその魅力を伝えていく 前編

2019明治安田生命J1リーグでベストイレブンを受賞した林彰洋。
流通経済大学在学中に海外へ活躍の場を求め、プロとしてのキャリアをスタートさせた。
日本屈指の守護神に、GKになったきっかけやその魅力、海外での経験を通して感じた世界と日本の差について聞いた。

インタビュー日:2020年1月17日
※本記事はJFAnews2020年2月に
掲載されたものです

GKの本質的な面白さは失点を減らせる奥深さ

――GKになったきっかけを教えてください。

 サッカーは幼稚園の頃からやっていました。小学校のとき、引っ越した先で入ったチームがかなり力を入れているチームでした。ですが、同学年のチームメートがたった3人しかいなくて、試合に出るには一つ上のチームに入らないといけなかった。GKなら出場機会があるかもと思ったことがきっかけです。それにトレーニングも面白そうだったのではじめは、"お試し"みたいな形で小学3年生ごろからGKを始めました。

――GKの楽しさややりがいはどういった部分でしょうか。

 GKは、チームを負けさせないことができるし、勝利に導けるポジションです。そういう意味では唯一無二と言っていい。そういうところが魅力だと思うし、GKの良さだと思います。
僕はFC東京でジョアン・ミレッコーチ(現奈良クラブGKコーチ)と出会い、衝撃を受けました。彼のトレーニングを受け、いかにゴールを守り、どうやって自分の最大限のプレーを出し、そして効率よくゴールを守れるかを考えさせられました。そして、それを実践して成功体験を得ることで自信を得ることができました。
ゴールを守る上で周囲との連係は不可欠です。ですが連係が崩れたときに、自分とボールとの関係のみでいかに失点の可能性を減らせるか。そのような場面を数多く経験していく中で、僕自身はGKの本質的な面白さを感じることができました。
GKとしてのトレーニングをして、シュートを止める喜びを知ることができるかも、とても大切です。GKに限ったことではありませんが、サッカーを始めたころはできないことがほとんどです。それが、こんなこともあんなこともできるようになったと、成長を感じられることが最大の面白さだと思います。トレーニングによる積み上げが多ければ多いほど喜びややりがいを感じます。僕はミレッコーチと過ごした2年間で、試合中に「あのトレーニングをやっていてこれができるようになった」という実感を得られたし、GKの奥深さを感じられたと思います。今はそこで培ったものを応用したり、突き詰めたりすることもできるので、さらにGKというポジションが面白くなってきました。

2017年から2シーズン、FC東京のGKコーチを
務めたジョアン・ミレッ氏

――海外の指導者からの指導はどういったところに生きていますか。

 エルメス・フルゴーニコーチにも個人的に教わったことがあります。彼の教えで「ボールにアタックする」というのがあります。この言葉も広く知られるようになったと思いますが、その根底にある"なぜ"を理解していなければなりません。
たとえば、セーブしてから立ち上がるときのセカンドアクションは、身体の大きな僕にとって永遠の課題だと思っていました。でも、ミレッコーチは、正確な踏み込み位置で立ち上がることができれば、大きな選手でも早い動作で動けることを教えてくれました。「身体の向きを変えてここに手を置くとすぐ起き上がれるだろ」と、人体の構造から細かく説明してくれました。実際に、それができるようになると、本当に速く動けるようになりました。ヨーロッパの主要リーグの試合を見ると、彼から教わった立ち上がりの動作は世界のトップレベルのGKのほとんどが実践していました。
彼は、こちらが疑問に思ったことのアンサーを全て持っていました。365日の練習カリキュラムを持ち歩いていて、束になったファイルを見たときは驚きましたよ。「何でも言ってこい」と言ってくれたので、初めは反論することも多かったです。でも、彼とのトレーニングを重ねることで一つ一つの練習が基本動作やセービング技術の進歩や成長につながることに気づかされました。

195センチの長身を生かしたハイボールの
処理に絶対的な自身を持つ

後編はこちら

林 彰洋(はやし あきひろ)選手の紹介

1987年5月7日、東京都生まれ

【経歴】
1995年~1999年 東大和サッカー少年団
2000年~2002年 柏レイソル青梅ジュニアユース
2003年~2005年 流通経済大学付属柏高校
2006年~2009年 流通経済大学サッカー部
2009年~2010年 プリマス・アーガイル(イングランド2部)
2010年~2012年 オリンピック・シャルルロワ(ベルギー3部)
2012年~2013年 清水エスパルス
2013年~2016年 サガン鳥栖
2017年~ FC東京

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