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ブルーノ・ガルシアのフットサル道場 vol.14「コントロールできなくても準備はできる」
2020年01月08日
必見「フットサル道場」!
機関誌『JFAnews』で連載中のブルーノ・ガルシアフットサル日本代表監督のコラムをJFA.jpでもお届けします。フットサルの魅力や指導法など、フットサルだけでなく、サッカーにも通じるポイント満載です。
※本コラムはJFAnews2019年6月に掲載されたものです
判定はそのまま受け入れればいい
今回のコラムでは、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)をはじめとする映像テクノロジーの進化によって何かと逆風にさらされがちな審判員と、われわれチームができることについて触れたい。
選手の身体能力が高まり、プレーや判断のスピードも上がる中、一つ一つの判定を瞬時に下す。審判員の仕事は極めて難しい。私も彼らにはリスペクトしかない。
監督である自分も試合中、数分間にいくつもの判断・決断をしながら勝利の糸口を探しているわけだが、これらが全て正しいということはまずありえない。
そこは、審判員も少し重なると思う。例えば、試合後、4人の審判団で際どいファウルについて振り返るとする。全員で同じリプレーを見た後、それぞれの解釈が食い違ってもおかしくはない。フットボールというスポーツは、それくらい複雑だからだ。
確実に言えることもある。
ときに自分たちに不利だと感じる判定があるように、相手にとっても不利な判定があるという点だ。総じて、そのバランスは全くもってイーブンだと思う。そう考えると、判定はそのまま受け入れられる。
極端な話、どの国のリーグでも、シーズン終了後に全てのチームの監督に「判定に泣いた試合はあるか」と尋ねれば、全員が「ある」と答えるような気がする。そして、彼ら全員に同じ勝点を割り振ったところで順位は変わらない(笑)。
つまり、そういうことなのだ。
自分はもともとポジティブな人間なので、そう捉えている。前向きでいれば、審判員に過剰につっかかったりせず、本当に大切なこと、チームを勝利に導くことに集中できると思う。
毎試合、両チームの選手たちを先導する審判団。
試合をコントロールする役割を担う彼らに、ブルーノ監督も「非常に難しい仕事を全うしてくれて助かる」と語る
(写真は第24回全日本フットサル選手権より)
あらゆる場面で自発性を育める
試合には選手たちではコントロールできないことがいくつかある。その試合での審判員のレフェリングもその一つ。頻繁に笛を吹く審判員と遭遇することもあるが、そこで戸惑わないためにも、入念に準備することが不可欠になる。
フットサル日本代表の場合、合宿などで紅白戦を行うときは、小森隆弘STD(サブテクニカルダイレクター)が審判員役を担ってくれる。そこでは軽いコンタクトでもファウルをとる審判員と、全くとらない審判員のどちらかに意図的に判定基準を寄せてもらう。
小森STDが「取らない版」を演じたゲームの後など、選手たちは「今日はファウルを取らなかったね」などと不満を漏らすが、私は小森STDに「それで問題ない」とOKサインを出す。特定のプレーに対して笛を吹くときは吹く、吹かないときは吹かない。基準さえ維持してくれればそれでいい。重要なのは今後の大会で審判員の判定に順応すること。それを練習から意識するのも立派な準備だ。
今年の4月にカザフスタンで「UEFAフットサルチャンピオンシップ」を視察したとき、一つ一つのプレーの激しさに驚かされるのと同時に、審判員がフィジカルなコンタクトを許していたことも印象的だった。
アジアレベルの大会では、選手の接触についての判定はシビアで、ファウルとされる傾向が強いと感じる。それを踏まえてみても、(文化や国の違いも影響するが)どの審判員が試合を担当するかによって試合展開が変わるという事実が、少なからずある。そうしたことを目の当たりにしているからこそ、ジャッジの傾向の「違い」に対応するための準備は重要だと思っている。
よく指導者は選手に自発性を求めるが、それはボールを持ったときだけではない。試合中、審判員の特徴を把握し、適応するところも含めて自発性を育む必要があるように感じる。
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