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「スポーツ救命ライセンス」講習会をJFAハウスで開催
2020年02月19日
日本サッカー協会は2月8日(土)、JFAハウスで「スポーツ救命ライセンス講習会」を開催しました。ピッチ上の選手の安全を守ることを目的に、「スポーツ救命ライセンス講習会」と「JFA+PUSHコース」(簡易救命講習会)を2017年から実施しています。「スポーツ救命ライセンス講習会」は、(公財)日本スポーツ協会(JSPO)公認アスレティックトレーナーが資格更新のために保有しなければならないBLS(Basic Life Support:一次救命処置)資格取得のための講習会として認定されています。
今回は、新規と更新を対象として実施しましたが、更新の講習会(午前実技)にはトレーナーを中心に5名が実技を受講し、新規の講習会(午後実技)には新規8名と更新1名が参加しました。講義ではサッカーをはじめグラウンドや体育館など、スポーツの現場で起こりうる熱中症、脳振盪等の現象に対する対応を学び、実技では心肺蘇生の中でも最も重要な胸骨圧迫とAED(自動体外式除細動器)の使い方、バックボードによる全身固定・搬送法についても学びました。受講者はAEDの重要性を認識し、日常における突発事案に対して設置場所を意識するなどAEDへの関心も高めました。
※AEDのご購入・リースは、「AEDのご紹介」をご覧ください。
※講習会開催希望の団体は、「講習会を開催するには」の[問い合わせフォームはこちら]からお問い合わせください。
コースディレクター コメント
福嶋一剛 武蔵野赤十字病院 救命救急科 医師
JFAハウスで今年2回目の「スポーツ救命ライセンス」講習会を行いました。受講生は普段から現場で活動しているトレーナーや医療従事者中心で、参加人数も新規8名、更新6名と少数のため、講義・実技ともに細かい部分まで指導できました。講義は「心臓突然死・CPR」「脳振盪」「熱中症」「アナフィラキシー」「窒息」について実施しました。心肺蘇生に加え、よりスポーツ現場で問題となる脳振盪・熱中症についての講義では活発な意見や質問もあり、受講生の関心の高さが伺えました。実技は一次救命処置であるBLS(Basic Life Support)と頸髄損傷が疑われる選手の「搬送」を行いました。様々な状況を想定し、状況によって対応を柔軟に変化させることも確認できました。また実際に体を動かすことで講義内容を実施することの重要性や難しさを感じていただけたと思います。最後の試験ですべての受講生が十分に講義内容を理解できていることが確認できました。しかし、せっかく得た知識や技術は時間とともに失われてしまいます。定期的に講習会を受講しブラッシュアップを図っていただきたいと思います。この講習会をたくさんの方に受講いただくことで安全なスポーツ環境を作れればと思いました。
受講者コメント
三宅明子 U-19日本女子代表 トレーナー
3年前に「スポーツ救命ライセンス」を受講し、今回は更新のための受講でしたが、忘れていることも多く、改めて勉強し直したいという気持ちから実技だけでなく講義も受講しました。講義では、心臓突然死、脳振盪、熱中症、アナフィラキシー、窒息といった現場で起こりうる状況について再認識することができ、またその救命対応について学ぶことができました。実技では、AEDを用いた心肺蘇生法を繰り返し練習することで、徐々に方法や手順が身についていったように感じます。またバックボードを使った搬送の実技では、頭頚部の保持の仕方やバックボードに乗せる方法、そして様々な場面に応じた対応の仕方を学ぶことができました。搬送する側だけでなく、搬送される側も経験できたことで、選手が不安にならないような搬送の仕方が大切だと改めて感じました。実際に目の前で何かが起きた時に、焦らず冷静に対応するためにも、定期的にブラッシュアップしていくことが重要であるとともに、一人の力では限界があり、選手やコーチにもこれらの知識や技術を啓蒙していくことが重要であると感じました。
松本小葉 JFAアカデミー今治 トレーナー
ピッチ上の選手の安全を守るために必要な知識、救急救命の重要性を改めて学ぶことができました。講習会は胸骨圧迫やAEDの使い方、バックボードを用いた搬送など実技を中心に行われ、手順や注意点を確認しながら実践練習を繰り返しました。インストラクターの方からは実際の救命現場での事例も交えて様々なシチュエーションでの対応を指導いただき、特にバックボードへの乗せ方は傷病者の状況や救助者の人数によっても方法が異なり、いつどのような状況でも安全に、速やかに搬送出来るような訓練が繰り返し必要であると強く感じました。救命処置が必要な場面でも落ち着いて正確な判断ができるよう、また先頭に立って救助者の要請や傷病者への対応が行えるよう、日頃から万が一のことを想定した準備を心がけていきたいです。少しでも多くの人がこうした救命の知識を持つことで、より安全なスポーツ活動が行えるはずです。関わる大人はもちろん、選手たちとも熱中症や脳振盪の知識、練習場のAED設置場所やバックボードの使い方など緊急時の対応を共有していきたいと思います。