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【ホットピ!~HotTopic~】女性指導者を2倍にしたい~女性指導者が広げる女子サッカーの未来~
2026年08月04日

日本サッカー協会(JFA)は現在、女性指導者の拡大に向けて、ユース年代からの指導者ライセンス取得も促進している。女性の指導者ライセンス取得状況やその意義、またユース年代における取り組みについて、女子委員会の今泉守正委員長に聞いた。
※このインタビューは2026年7月2日に実施しました。
女性指導者を含め、女子サッカー関連人口を倍増していく
――女性指導者の日本サッカー協会(JFA)登録者数を教えてください。
今泉 現状、全体で約10万人いる公認指導者のうち女性指導者はわずか4%程度(約0.4万人)です。この数字を見て分かる通り、まだまだ少ないですよね。「JFA成長戦略2026-2031」の柱の一つである「女子全体戦略」においても、女性指導者の拡大は、日本女子サッカーがさらに発展していくための重要なターゲットになっています。
――JFA成長戦略では「サッカーで未来をつくる」を基本コンセプトに、3つのBIG GOALを設定していて、そのうちの一つが「女子サッカーの拡大」です。女性指導者をこれだけ増やしたい、という数値目標もありますか。
今泉 2031年までに今の2倍にしたいと思っています。ただし、これは女性指導者に限った数字ではありません。女子サッカーの継続的な発展を考えたとき、「する」「かかわる」「みる」の全てにおける関連人口が増えていくことが、とても重要です。具体的には、プレー「する」女子選手、「かかわる」女性指導者や女性審判員、なでしこジャパン(日本女子代表)の国内試合やWEリーグ、なでしこリーグなどを会場で観戦する「みる」人たち。これら女子サッカー関連人口をまずは“全体で2倍”にすることを目指していきます。この関連人口が増えていけば、女子サッカーの好循環をつくり出すことができると考えています。

2025/26シーズン、WEリーグ初の女性優勝監督となったINAC神戸レオネッサの宮本ともみ監督(写真中央)。
女性指導者は徐々に増えているが、指導者としての選択肢や活動機会を増やしていくことも重要だ
――その中で女性指導者の拡大はどのような意味を持つのでしょう。
今泉 まず男子と女子のサッカーで何が違うのかと考えると、サッカー自体は何も変わらないですよね。もちろん、男子と女子それぞれで指導する際に配慮すべきことはありますが、サッカーの楽しさや技術、戦術、フィジカルなどといったサッカーのベースは何も変わりません。私自身、男子を指導していたところ、2002年から各年代の日本女子代表チームやJFAアカデミー福島女子で女子の指導に携わるようになりました。「男子と女子のサッカーは違うだろう」と言う人もいましたが、何も変わらないんです。
そして日本女子サッカーの環境を考えたとき、指導者も男性だから女性だからということではなく、女性にとっても指導者という選択肢がもっと当たり前にある環境をつくっていかなければならないよね、と。私は15年ほどアメリカにいましたが(※)、そうした環境の大切さをあらためて感じているところです。
※フロリダ州立大学女子サッカーチーム、アメリカ女子サッカープロリーグ(NWSL)のシカゴ・レッドスターズ、ワシントン・スピリッツなどで指導に携わる
――アメリカと日本では、女子サッカーの環境も違いますか。
今泉 社会における男性と女性のイコール(権利や責任が平等にあること)を見ていくと、アメリカは性別や人種などにかかわらず、良いものは良いとちゃんと評価されることが一つ。もう一つ大きいのはTitle IX(タイトルナイン)という法律によって公的高等教育機関における男女の機会均等が定められ、男性と女性が公平に学ぶ機会などがしっかりと設定されていること。フロリダ州立大学に12年いましたが、大学でもそれは徹底されています。スポーツでも、アメリカの女子サッカーが強いのは、バスケットボールやバレーボールなどの競技と同様に、サッカーが女性のスポーツ機会創出の重要なポジションにあるから。そして、それが文化になっているんですよね。アメリカ女子代表や女子プロリーグの試合も多くの少女が観戦に来ていて、みんな選手たちに憧れを抱いています。

女子サッカーに関わる人が増え、関わる人たちの交流が生まれることで
「日本女子サッカーの景色はもっと変わっていくはず」と今泉委員長は話す
指導者養成講習会は選手にとっても学びが多い、サッカー観や選択肢を広げる機会に
――女性指導者を増やすアプローチとして、現役選手のライセンス取得を促すことも一つの方法ですね。
今泉 そうですね。指導者養成講習会に参加すると、ものすごくロジカルにサッカーを言語化できるようになります。ですから、現役選手にとっても、サッカーの原理原則や指導者の視点などが客観的に整理されて、自分のサッカー観を育むことにつながるはずです。それまでは主観的な考え方でサッカーを見て、プレーしていたものが、論理的な根拠を持って考えて実践できるようになるので、選手としてもワンランク、ツーランク、成長できるチャンスになると思うんですね。
――それまでになかった議論が指導者と選手で生まれそうですね。
今泉 講習会も現在は、一方通行に教えるのではなく、参加者との対話を大切にして個々のアイデアや経験を引き出しながら、互いの学びの質を高めています。選手がサッカーの原理原則を理解し、「この攻撃で大切なのはこういうことですよね」とか、「守備では〇〇したほうが良いですよね。なぜなら…」といった対話ができるようになると、トレーニングの質も格段に上がっていくと思います。自分の考えを言語化して伝えるという点では、コミュニケーション能力を伸ばすことにもなりますよね。

Dライセンスコーチ養成講習会に参加したC大阪U-18の選手たち。「今後は練習メニューの意図を理解して取り組んでいきたい」
「サッカーを楽しく続けるためには言葉遣いも大切だと分かった」といった感想も
――今は15歳からC・Dライセンスを取得することができるので、ユース年代にも可能性は広がっています。
今泉 若い年代で指導者ライセンスを取得することは、サッカーを学ぶという点でも良いと思いますし、将来を考えたときには指導者としての道もあるのだと視野を広げるチャンスにもなります。
――ユース年代の指導者の皆さんには、選手の可能性を広げるための手段として、指導者ライセンスの取得を促してもらえるといいかもしれませんね。
今泉 学校やサッカーの活動もある中でタイミングは難しいとは思うのですが、オフシーズンや休み期間に機会をつくってもらえるとうれしいですね。選手としての成長だけでなく、セカンドキャリアのステージをつくること、将来の選択肢を増やすことにもつながりますから。
――実際に高校生の取得が増えていると聞いています。
今泉 今年は、5月にセレッソ大阪ヤンマーガールズU-18の選手たちがDライセンスを取得し、6月7日にJ-GREEN堺で開催された「JFA マジカルフィールド Inspired by Disney ファミリーサッカーフェスティバル “ファーストタッチ”」にサポートコーチとして加わりました。桜宮高校女子サッカー部の高校生たちも一緒に参加して、子どもたちと触れ合いながらイベントをサポートしていましたね(当日の様子はこちら)。
私も当日視察しましたが、指導者ライセンスを取得後、子どもたちにどう関わるかを現場で学ぶ機会があることは、とても重要だと感じました。参加した選手からは「子どもたちが笑顔になると自分もうれしくなった」「指導者の役割についても学ぶことができた」などの感想もあり、個々に気づきや学びを得られたようでとても良かったなと。

C大阪U-18の選手たちはJFA マジカルフィールド ファーストタッチに参加し、
子どもたちをサポートしながら一緒にサッカーを楽しんだ
――ライセンスを取得して終わるのではなく、指導者として経験する場をどうつくっていくかも必要なんですね。
今泉 そうですね。選手とはまた違ったサッカーに関わる楽しさを知る機会にもなるので、都道府県サッカー協会とも連携しながら、今回のような機会をもっとつくっていきたいですね。
WEリーグやなでしこリーグなどのクラブチーム、大学の女子サッカーチームでも、選手たちが指導者ライセンスを取得し、地元の保育園や幼稚園の巡回指導、サッカー教室といったイベントに参加することで、より充実した地域活動を展開していけると思います。特にプロクラブは地域の皆さんとのつながりが大切ですから、地域に愛されるチームになっていくためにも前向きにトライしてもらいたいですね。そうした地道な活動が、女子サッカー関連人口を増やし、日本の女子サッカーが成長していく大切な大きな一歩になっていくと思います。
――最後にサッカーファミリーに向けてメッセージをお願いします。
今泉 FIFAワールドカップ2026のスウェーデン戦を現地で見ることができました。ずっとワールドカップを見てきたという方と話したとき、「今大会の日本戦は、とても多くの日本サポーターがスタジアムに足を運んでくれている」と。日本のサッカーファミリーが増えている証拠だと思いました。
来年はFIFA女子ワールドカップがブラジルで開催されます。なでしこジャパンにも多くの声援を送ってもらいたいですし、そうなるようにサッカーファミリーを熱くするゲームを届けていきたいと思っています。また、日本女子サッカー全体として、世界で最もプレーヤーが成長できる環境を、世界で最も人を育てることができるサッカー環境を創出していきます。女子サッカーも、皆さんと一緒に盛り上げていけたらと思いますので、応援よろしくお願いします!

指導者としてサッカーに関わる面白さや楽しさを体感できる機会をつくることも大切になってくる
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