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JFAファミリーフットサルフェスティバル2010 with KIRIN スペシャルステージ in 神奈川 6月12日に日産スタジアムで開催
2010年06月17日
「JFAファミリーフットサルフェスティバル2010 with KIRIN スペシャルステージ in 神奈川」が6月12日、日産スタジアムで行われた。02年W杯決勝戦が行われた会場が、家族のふれあいの場として、またサッカーの経験のない人もボールを蹴る楽しみを味わえる機会として解放され、32チームが参加。ゲームやフットサル教室などが行われ、楽しい一日を過ごした。
ファミリー賞
チーム101は、ギリギリの5人で出場した。神奈川県茅ケ崎市の少年サッカーチーム所属で、3組に分かれて出場した中の一つ。加藤浩代表(35)は「昨年も出場しましたが、とても楽しかった。それでもう一度ということで今年も参加しました」と話した。
チームのモットーは「とにかく楽しくやろう。ボールを持ったら自分で判断すること。取られたら、取りかえす」。試合では3人の子どもたちが大活躍、大人たちはもっぱらサポート役に回った。エースの難波八尋君(9)は6本のシュートを次々と決めた。「サッカーは2年生から。将来はサッカー選手になりたい」という。
同じ4年生で、5歳からボールを蹴っているという加藤百夏さん(9)も豊富な運動量で1本。「あいつはとにかくうまいよ」と仲間の男の子たちにも一目置かれている存在で、将来が楽しみな女の子だ。最後の試合では八尋君の妹、百合菜さん(7)にボールを集めて、なんとか子どもたちの全員得点を狙ったが、これはならなかった。それでも百合菜さんは「楽しかった」と笑顔を浮かべた。
加藤代表は「3試合とも同じ年齢構成のチームが相手だったので、楽しくやれた。日産スタジアムのピッチに立つということはなかなかできないこと。みんなはまたフットサルの楽しさを感じてくれたのではないでしょうか。最後の試合は本当に楽しくできました。またいい思い出ができて大満足です」と話した。
フットサル賞
川崎ジュニアフットボールクラブの野田一宏監督(46)は、フットサル賞獲得にも複雑な表情だった。実は3戦全勝をもくろんでいたのだが、結果は2勝1敗に終わったからだ。「予想外の結果だったのできっちり反省会をやろうと思っていましたが、予想外の賞をいただいてしまって」と頭をかいた。
メンバー構成は、神奈川県の川崎小を本拠地とする少年サッカーチームの中の5家族。同チームは20年の伝統があり、現在は子どもたちだけだが、保護者チームを作る動きもあるとか。この日は大串凌太君と池田篤生君(いずれも6年)が4本(8点)を決めた。大串君は「最近は保護者と一緒にやることが多くて楽しい」と話す。あとの4人の子どもたちも得点、目標を達成した。6人は来年、そろって同じ中学に進むことにしている。目標も同じで「プロになること」。
フェスティバル賞
スモールアイランドは、神奈川県三浦市のサッカークラブに所属する小学3年生の4家族12人で、4月にチームを結成した。3軒が農家で大根、キャベツ、スイカ、カボチャなどを作っている。代表の小島友和さん(34)だけが、農業機械を設計するサラリーマン。
子どもたちはしょっちゅう一緒に練習しているが、全員そろっての合同練習は2回だけだった。チームのモットーは「明るく、楽しく、元気よく」。試合中は集中しているが、試合が終わると女性はネコ耳や天使のはねなどの飾りを身につけたり、男性陣は三つ編みのヘアバンドをしたりとユニークで注目の的だった。
試合結果は1分け2敗。1ゴールを上げた藤平義仁君(8)は「GKからのロングパスからドリブルで持ち込み、真っ正面に決めました。うれしかった。サッカー選手になりたい」と興奮していた。
キリンフットサル教室
昼休みを利用して「キリンフットサル教室」が開催された。講師は元フットサル日本代表で、スペシャル・インストラクターの相根澄氏(37)が務め、約100人が参加した。
まず足の裏で確実にボールを止めることからはじめた。確実に止めることで次の行動にすぐ移れて、相手にボールを奪われることも少ない。次は足の裏を使ってのドリブル練習。狭いスペースで相手を抜くには、ボールを足の裏でコントロールすると自在に動ける。最初はぎこちなかった子どもたちも、覚えが早くすぐに身につけていく。
講師陣とのミニゲームでは、子どもたちに自分の好きな選手の名前を挙げさせ「自分がその選手になったと思ってプレーしよう」。メッシ、ルーニー、Cロナウド、中村俊輔などの名前が次々に飛び出した。参加者はあこがれの選手のイメージを頭に描きながら、熱戦を繰り広げた。
一流選手になるためには「練習するのはもちろんだが、好きな選手のマネをするのも上達の道。さらに自分の特徴をプラスさせればさらに上へ行ける」とアドバイスした。相根氏は「きょうはレベルが高かった。対応力に優れていた」と感心していた。
キリンビール横浜支社長 大木忠彦 さん
キリンビールの大木忠彦横浜支社長(48)は、懐かしそうにグラウンドを眺めた。自身は体育会の山クラブに属していたが、トレーニングの一環としてサッカーをやっていた。さらに息子さんが香川県の屋島サッカー少年団のメンバーとして全国大会に出場している。
「当時は毎週のように応援に行っていました。サッカーを通じて、親子のきずなが深まったような気がします」と話す。一緒にリフティングを練習したこともあり、大木さんは150回、息子さんは2000回続けたそうだ。そんな大木さんがサッカー日本代表を応援し続けるキリンビールに籍を置き、02年W杯の決勝戦が開催された横浜の支社長というのも何かの因縁か。
「横浜はキリン発祥の地であるだけに、キリンに対する皆様の気持ちがとてもあたたかい。また、キリンが32年間サッカー日本代表を応援し続けているので、サッカーといえばキリンというイメージも根付いています。ありがたいことです」と感謝する。
プロモーションはサッカーが中心。「キャンペーンでもスーパーの方々がすんなり乗ってくださる。商売に関して、サッカーというものを上手に役立てていただいてます」と話した。
神奈川県サッカー協会 専務理事 青木伸之さんとフットサル委員長 浅場智 さん
「今年から協会への個人登録がなくてもだれでも出られるようにしたところ応募が殺到して、お断りするのに大変でした」と振り返った。ルール変更と02年W杯の決勝会場を舞台に家族で楽しめるということで新顔チームが目立った。
県のフットサル人口は年々増加傾向にあり、特に女性の進出が目立つとか。1・2部リーグの充実に加えて、U-18、O-28などカテゴリーも増えている。「神奈川県はフットサル施設が多い。さらにライセンスを持った指導者も増えているので、ますます盛んになるでしょう」と浅場氏。青木氏は「サッカーとフットサルの両方をやっている人が増えています。フットサルの小さなスペースでのボールの扱いなどが上達すれば、サッカーの上達にもつながることでしょう」と話している。
文・写真提供:日刊スポーツ