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第60回サッカードクターセミナーを時之栖で開催

2017年03月17日

第60回サッカードクターセミナーを時之栖で開催

全国の医師・歯科医師を対象に、サッカーに関する医科学的な事象に関しての勉強会として年2回行われているサッカードクターセミナーが3月11日(土)と12日(日)の2日間、静岡県御殿場市で開催されました。

今回のセミナーでは、1日目は時間生物学が専門の山仲勇二郎准教授より、「時差対策のアップトゥデイト」をテーマとした講演をしていただきました。また、齊藤俊秀氏に「ドクターと選手の絆~サッカー人生を振り返って~」、福岡重雄先生には「サッカードクターの日々を振り返って」をテーマとした選手とドクターの関係についての講演と続き、約80名の参加者との積極的な意見交換が行われました。

2日目は長崎文彦氏による「サッカー一試合90分走りきる体力とオーバートレーニングについて」というテーマでの講演後、JFA医学委員でもある土肥美智子先生による、参加者も交えたサッカーにおけるサプリメントのあり方のディスカッションが行われました。

講演終了後には、グラウンドにて実技を行い2日間のセミナーを終了しました。

講師コメント

山仲勇二郎 准教授 北海道大学大学院教育学研究院
第60回サッカードクターセミナーにおいて、講演の機会をいただき大変ありがとうございました。今回の講演は「時差対策のアップトゥデイト」というタイトルで私自身が今まで取り組んできた時間生物学研究の立場から時差ボケが生じるメカニズム、現在推奨可能な時差ボケ対策案、現場での時差対策の実践方法について紹介させていただきました。アスリートが国際大会に参加する際に、アスリートが最高のパフォーマンスを発揮するには時差対策が重要になります。特に、最近では多くの日本人選手が海外で活躍しており、日本国内で開催される国際大会へ参加する時だけでなく、帰国時にも時差対策が必要となります。また、中東で行われる大会時には、いわゆる「国内組」と「海外組」では異なる時差対策が必要となります。

今回のセミナーでは、時間生物学領域における基礎研究で得られた研究成果を現場で活躍するドクターの先生方にわかりやすく伝えることを心掛けました。講演後には、ユース年代のアスリートへの時差対策、選手個人が時差対策を実践できるためのより簡便な評価法の必要性など、受講者から貴重なご意見をいただきました。また、FIFA U-20女子ワールドカップの帯同報告やAFC研修報告を拝聴し、現場で活躍されるドクターの生の声を聞くことができ、大変感銘を受けました。私自身は直接現場で選手に接する機会はありませんが、今後も基礎研究で得られた成果を現場で活躍するドクターの皆さん、代表やクラブのチームスタッフ、そして選手に還元すべく、これからも真摯に研究に励みたいと思います。このたびは、このような貴重な機会をいただき、日本サッカー協会の関係者の皆さまに深く御礼申し上げます。また、サッカードクターの皆さまの益々のご健勝とご活躍を祈念致します。

受講者コメント

古家信介 先生 市立豊中病院小児科
サッカードクターセミナーの参加は今回で4回目になりますが、今回の会場である御殿場高原ホテル時之栖は富士山の裾野にあり、グラウンドや朝食会場から富士山が見えるという、素晴らしい会場でした。ここでの講義や実技に参加することができて、非常に有意義でした。

座学は4つの講義、3つの報告、特別講演とあり、知識の確認や報告を聞いて色々考えさせられました。

私自身小児科でもあり、山仲先生の講義「時差対策のアップトゥデイト」では小児の方がいわゆる時差ボケが出やすい、等の話題や対策に非常に興味を持てました。

山口先生のパプアニューギニアでの帯同報告でも、日本とは全く異なる熱帯の国での大会の様子、治安や衛生面について、マラリアやデング熱等感染症の対策の実際について知ることができ、事前に情報を入手しておくことの重要性や、対策の必要性をあらためて感じました。

長尾先生、福島先生のAFC研修報告では、日本のみならず他のアジアの国々からのスタッフとディスカッションを含めた研修を行い、海外の施設を見ることで非常に勉強になるな、と感じました。日本からも今後国際的に活躍するスタッフがどんどん増えていけばいいなと思いました。

元清水エスパルスや藤枝MYFCで活躍された齊藤俊秀氏の講義では、選手としての目線から怪我とサッカー、医師との関わり、そして指導者としての今後も含め、選手として引退してもその後も走り続ける齊藤氏の熱い気持ちを感じるとともに、自分ももっと熱くサッカーに取り組みたいと感じるようになりました。齊藤氏とは夜の懇親会でもジュニア、ジュニアユース選手への声掛けの方法や、上手な褒め方について熱く話し合いました。

2日目は講義前に朝練をするところから始まり、齊藤氏も参加していただき、語りだけでなくサッカーの熱さも肌で感じました。

午前は長崎先生から90分間走り切る体力、オーバートレーニングについての講義があり、LSD(Long slow distance)でのトレーニングを行うことで赤筋が鍛えられ、持久力、ローパワーが強化されることで結果的にミドル、ハイパワーも発揮できるという内容に非常に興味がありました。確かに私自身も以前ジュニアの指導者でもありましたが、LSDはあまり行っておらず、スピードトレーニングをよくやっていた記憶があり、反省もしました。

土肥先生のサプリメント、アンチ・ドーピングに関する講義では、去年のドーピングが疑われた事案を基に受講者とのディスカッションを中心にして行われました。様々な意見が交わされましたが、まずは普段の食事、栄養、休息、睡眠をしっかり摂ることが必要で、安易にサプリメントに手を出すという態度は避けるべきかと感じました。非常に有意義なセミナー参加となりました。

参加者コメント

山中佳代 先生 新潟医療センター 整形外科
今回新潟県サッカー協会医科学委員会を通じてこのセミナーがあることを伺い、初めて参加させていただきました。

講師の先生方の講義は、それぞれが明日から使える実用的な内容でしたし、特に福岡先生の専属ドクターとしてのご活躍やご苦労について伺えたことは非常に光栄でした。

また懇親会や実技の場では、実際に全国でサッカードクターとして活躍されている先生方と交流することができ、活動のきっかけからチームへの関わり方、帯同中のハプニングなど、生の声を伺うことができて有意義な時間を過ごすことができました。

そして、皆さんがサッカーを愛していらっしゃる、ということをあらためて実感いたしました。

今回のセミナーで得たことを現場で生かしていけるよう、一層精進したいと思います。
そして是非またセミナーに参加させていただきたいと思います。

最後に、貴重な機会を設けていただきました日本サッカー協会・静岡県サッカー協会の皆様に深く感謝いたします。

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