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九州初のスポーツ救命ライセンス講習会を佐賀で開催
2018年07月03日
日本サッカー協会が昨年から開催を始め、九州では初となる「スポーツ救命ライセンス講習会」を6月24日(日)、佐賀県サッカー協会スポーツ医学委員会ご協力のもとで佐賀県佐賀市の百武整形外科・スポーツクリニックで実施しました。
本講習会はJFAスポーツ救命プロジェクトが拡大を進めているもので、講義と実技の二部構成となっています。講義では、スポーツ現場で起こる可能性の高い症例である心臓突然死、脳振盪(のうしんとう)、熱中症、アナフィラキシー、窒息への予防・対応策を、実技では心停止からのCPRとAED使用、また頸椎損傷からの頭頸部固定と搬送の方法を学びました。
今回の受講生は普段からスポーツ現場で活躍されている方々とあり、現場で起こりうる具体的な処置についての質問が多くなされ、より実践的な学びのある講習会となりました。
本講習会の合格者には修了証(3年間有効のライセンス証)が発行されます。また本講習会は、公益財団法人日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーが資格更新のために保有しなければならないBLS(Basic Life Support:一次救命処置)資格取得のための講習会としても認定されています。
※講習会開催希望の団体は、公益財団法人 日本サッカー協会技術部宛にメール(jfa-igaku@jfa.or.jp)にてお問い合わせください。
コースディレクターコメント
古家信介 JFAスポーツ救命プロジェクトメンバー
今回、佐賀県サッカー協会医学委員会と共催でスポーツ救命ライセンス講習会を開催し、21名の医師と理学療法士が参加しました。47都道府県サッカー協会で開催を行うことは全国で2例目、九州では初めての開催となりました。脳振盪や熱中症等の講義、一次救命処置と傷病者搬送の実技を含めた約5時間の講習会でしたが、皆様に熱心に参加していただきました。特に、先日Jリーグの試合中に発生したゴールキーパーの頭頸部打撲のビデオでは、質問も多く、非常に問題意識が高かったように感じます。あらゆるスポーツの現場で起こりうる事象に対応する本講習会は、さらなる開催実績を積み重ねて、全国に普及を進めていくことが必要であると考えています。
講師コメント
中島秀彰 福岡県サッカー協会医学委員長
JFAが昨年スタートさせたスポーツ救命講習会が、佐賀県で開催されました。東京以外では、大阪に次いで2回目の地方開催で、九州では初でしたので、お隣の福岡から、講師の一人としてお手伝いさせていただきました。21名の受講者は医師や理学療法士等の医療関係の方が多く、熱中症や心臓突然死等の講義を熱心に受講されていました。救急救命処置の実技は、地元佐賀県の救急隊のみなさんが中心となって指導されましたが、AEDの操作法や胸骨圧迫(心臓マッサージ)等をしっかりと学べたようです。本コースの目玉でもあるバックボードを使った搬送法の実習は、我々医師でも意外と正しい使い方を知らない人が多く、とても勉強になると思います。医師やトレーナーの方を中心に受講者が増えると、サッカーファミリーがより安心して安全にサッカーを楽しめるようになります。今後は各地域や県でも本講習を開催できるようにしたいと思います。
受講者コメント
空閑雄治 さん
これまでも、BLS講習会に参加し、CPRやAEDの使用方法は学んでいましたが、今回は脳振盪や熱中症、アナフィラキシー、窒息など、よりサッカーなどのスポーツ現場に特化した内容でした。特に頭頸部の固定法やバックボードでの搬送の実技は初めて受講しましたが、インストラクターの方々が質問に丁寧に答えてくださったので、現場でも即実践できると思います。今後は、今回受講した我々が中心となって、指導者や選手などへの啓蒙活動も実践していきたいと思います。
平野敦大 さん
今回の講習ではBLSに加え、熱中症対策や脳振盪の対応、バックボードの使用方法などスポーツ現場で必要となる知識や技術を学びました。また、アナフィラキシーの予防や窒息時の対応など、普段なかなか学ぶ機会が少ない内容も講義していただき、貴重な時間となりました。この講習会が全国で認知され、緊急時に対処できる方が増えることで、安心してスポーツに取り組める環境づくりに繋がると思います。