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vol.002「子どもの心に刺さる言葉をどう掛けてあげられるかが大事」 北澤 豪氏
2012年05月15日
先日のサッカー協会の理事会で、「リスペクトアワード」を行うことが決まりました。これは皆さんが行なっている「リスペクト」を投稿してもらい、その中ですばらしい事例を表彰するというものです。
もともと「リスペクト」というものは大きな事柄ですよね。全ての物事・行動に関わる部分があり、もちろんサッカーにもあります。言葉にすると難しく捉えられてしまうので、まずは具体的な事例で、わかりやすく皆さんに伝えていきたいと思います。
デフテックだったりミスチルだったり、よく歌の中で「一番大事なことは目に見えないこと」という歌詞がありますよね?その通りかもしれないけど、よく見るとグラウンドにも家庭にもたくさん「リスペクト」があります。数字以外のところでの賞賛に値するところがたくさんあります。表現しにくいけれども、何もしなければ始まらないんです。
サッカーで言えば、育成年代に対してはそういう目で見ないと良くないと思っています。
僕が行なっているサッカースクールでは、常にそういう目線で見ています。この子のどこを褒められるかという視点で、その子が一番喜ぶことは何か、それに気づくことが非常に大事だと思っています。そして、それに気づくことが、自らをも育てることにつながっていくことになります。
どうしても育成年代を見ていると、子どもたちを上手くさせたいがために技術指導ばかりに力を入れてしまうことが多いように思います。しかし、この年代ではそれ以上に子どもの心に刺さる言葉をどう掛けてあげられるかが大事です。これから「リスペクトアワード」に投稿された事例等を見ることで指導者の方の参考になれば、と考えています。
難しい、けれど簡単なことなのです。
先日、小学校1年生の大会でメダルをもらった子どもが、お母さんに駆け寄ってメダルを掛けてあげたんです。その行動ひとつが親の喜びであり、子どもに一番教えたい部分です。普段の会話や生活の中から感じ、取った行動だと思います。その子どもがなぜこのような行動に出たのか、なにかきっかけになる話をしたのか、お母さんに是非聞いてみたいと思いました。
「リスペクト」は早い段階で自然と理解を持つことが重要で、それによりお互いが理解し合いながら誰かに喜びを与えられる、と思いながらサッカーをやれるといいと思います。競技だけをすればいい、という訳ではありません。
例えば、ミスをした子どもをかばうアクションをする子どもが必ずいます。しかし、目立つのはミスに対して文句を言った子どもです。教えている側も、文句を言っている子どもに対して「文句を言うな」と言ってしまいます。でも、文句を言った子どもを叱るより、かばってあげた子どもを褒めてあげることの方が、よほど有効な指導だと思います。
今後、現場でこういった動きが増えることを期待しています。日本人は褒めることが下手だし、賞賛する場が少ないように思いますが、今からでも「リスペクト」が広まって行けばいいと思います。自分たちの年代は叱咤されて育ってきたので、『褒めて伸ばす』というのは難しいのですが、実際に子どもが伸びていくのを見ることによって自分の考えも変わってきました。
「褒めるべきことや褒め方」がわからないということはありませんか?是非「リスペクトFC」のホームページで投稿された事例や活動を見てください。きっとヒントがあると思います。(了)
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