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vol.014「リスペクトプロジェクトを医療界そして世界へ」

2013年01月08日

公益社団法人日本放射線技術学会 広報委員長 加藤英幸

「今日はどうしましたか。」ちょっと咳が それでは聴診しますね・・・

皆さん一度はお医者さんにかかった経験があるのではないでしょうか。特に選手の皆さんは、整形外科の先生にお世話になったことがあるのではないでしょうか。

では、医療現場で働いているスタッフの職種をご存知ですか?

先生(医師)、看護師さん、受付の事務員さん、レントゲンを撮影する技師さん、血液検査を行う技師さん・・・など多くの職種が病院では働いています。その中で私は、千葉大学医学部附属病院で診療放射線技師をしています。

――リスペクトF.C. JAPANとどんな関係があるのか疑問に思いませんか?

最初に、私とサッカーの関わり、そしてこのコラムを書かせていただいた経緯を少しお話しさせていただきます。

現在50歳、高校からサッカーをはじめ、高校卒業後は腰痛のため現役を引退していましたが、1984年千葉大に就職し、当時としては素晴らしいナイター設備と全面天然芝の秋津グラウンドで、千葉大OBの先生方とサッカーをする機会を得て、楽しんでいました。その後は息子が地域のスポーツ少年団でサッカーを始め、ごく一般的な父親コーチとして、サッカーに関わるようになりました。

その中で、自分自身感じていたことは、子供たちへの指導と審判の難しさでした。特に皆さんも経験していることと思いますが、試合中の監督、コーチそして保護者からの思いと裏腹なプレーをする子供たちへの罵声、そして思いと異なる判定を下した審判へのブーイングです。

父親コーチをはじめて1年経ち、D級指導者を受講し、そのとき講師であった生浜高校監督の藤原明夫先生と巡り会いました。その中で学んだ日本サッカー協会の選手育成、指導者育成プログラムが、現在医療分野で課題となっている新人教育、卒後教育に大いに役立つと考え、2009年に千葉県内の放射線技術に関する研究会時、藤原先生に“ライセンスとは何か”をテーマとして特別講演していただきました。“ローマは一日にして成らず”と同じく、今日の日本代表が輝かしい成績を残しているベースには、長年進めてきた選手育成、指導者育成が実った成果であると知ることができました。そして指導者だけではなく、審判育成に至っても、日本サッカー協会の考え方は、他のスポーツそして他分野でも大いに参考になると考えました。

その中で昨年日本サッカー協会のホームページを拝見していて、リスペクトプロジェクトが目に留まりました。“大切に思うこと”まさしく現在医療界でメディカルスタッフが推進しているチーム医療に通じるものであり、真のチーム医療になくてはならない、欠かすことのできない理念だと思いました。

 

選手同士、選手と監督、コーチ、審判そして父兄に観客、サッカーに関わるすべての関係者同志が思いやること。この思いやりは、がん治療や放射線治療での医師、看護師以外に薬剤師、診療放射線技師などの職種が個々の専門性を出し合い、患者さん個々に適した治療を行っている現状に合致します。私が専門に行っているX線透視下で行う血管内カテーテル手術でも、術者としての医師、看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、臨床工学技士などがチームとなり治療を行っています。

以前の医師中心の医療から、患者さん中心の医療に変わり、そして患者さんを含めたメディカルスタッフが一丸となり最先端の医療技術を駆使して治療を行うことが現在の医療です。その医療現場で一番重要な点が信頼関係であり、お互いを認め、お互いを思いやるこころです。しかし未だに医師が怒鳴り治療を行っているチームが存在するのも事実です。

日本サッカー協会のリスペクト理念を、チーム医療が行われている医療現場のスタッフに伝えたいという願望に駆られ、当時の審判委員長であった松崎康弘さんに思いをぶつけました。願いが叶って、昨年2月公益社団法人日本放射線技術学会関東部会研究発表大会の“チーム医療を考える”の中で野田朱美さんにリスペクトプロジェクトについて特別講演していただき、多くの方々にリスペクトを伝えることができ共感していただけました。

 

ご存知の方も多いと思いますが、乳がん撲滅運動としてのピンクリボンは医療界から市民へと浸透しました。

私の願いは、リスペクト“大切に思うこと”をサッカー界から医療界、そして市民へ広めていくことです。2014年春、本学会と日本医学放射線学会などが合同で開催する国内最大規模の学会が横浜で開催されます。ワールドカップイヤーに横浜から全国へ、そして全世界の医療従事者にリスペクト“大切に思うこと”を伝えたいと考え、いま取り組んでいます。リスペクトF.C. JAPANメンバーの中にも少なからず医療関係者の方はいらっしゃると思います。

ぜひ医療界へもリスペクト“大切に思うこと”を浸透させて行きましょう!そしてどの医療機関でも良質な医療が患者さんに提供できる基盤を作りましょう!リスペクト“大切に思うこと”を掲げて!!

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