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ずっとEnjoy♫ みんなPlay! だれでもJoin♪ 家族で育んだ 心安らぐ居場所づくり(JFAnews2017年1月情報号より転載)
2017年01月31日
日本サッカー協会機関誌『JFAnews』では、「JFAグラスルーツ推進・賛同パートナー」の活動紹介を行なっています。その第5回目として2017年1月情報号(No.393)に「引退なし(ずっとEonjoy♫)」「補欠ゼロ(みんなPlay!)」「障がい者サッカー(だれでもJoin♪)」賛同パートナーである特定非営利活動法人 プチユナイテッドアスリート(山形県米沢市)の活動を紹介しました。
■JFAnews2017年1月情報号(No.393)より転載 ■情報提供:サカイク、大塚一樹
山形県米沢市の特定非営利活動法人プチユナイテッドアスリートクラブは、小学生から社会人までが所属するフットサルクラブです。トップチームは競技志向で、社会人県リーグ2部に参加していますが、クラブ自体はフットサルの普及のほか、地域の子どもたちとの交流を積極的に図っています。
2007年にクラブを立ち上げた荒木秀和監督は、現在も現役でフットサルをプレーしています。クラブ創設のきっかけについて、「この地域に移ってきたとき、あるチームの活動を手伝うことになった。関わっているうちに、地域の子どもたちの中に身体的、精神的、そして金銭的にサッカーやフットサルをすることが難しい子たちがいることに気がついた」と語ります。
クラブ最大の特徴は、家庭環境に問題があっても、障がいがあっても、誰でも参加できるところにある。創設時から、荒木監督はそういった子どもたちと共にフットサルを楽しみ、時には自宅に招いて食事を共にするなど、クラブの枠を超えた関わりを持つようになっていきました。「多いときは10人くらいが家に来てご飯を食べます。その中の何人かは寝泊りしたり、私の家から学校に行ったりしている」と荒木監督。当然、金銭的な負担は大きく、荒木監督は、子どもたちを継続的に受け入れるために、2016年にNPO法人化に踏み切りました。
クラブの中心は、プレーヤーとしてフットサルに真剣に取り組んでいる荒木監督とその家族です。妻ののぞみさんは、文字通り“クラブのお母さん”。夫の並々ならぬ情熱に影響を受け、フットサルをプレーするようになりました。フットサル3級審判資格も取得し、今では年間100試合近く笛を吹いています。「フットサルは年齢も性別も関係なく、とにかく楽しめる。だからみんなでやりたい。無心でボールを追いかけている子どもたちはいいですよね」と話すのぞみさんに加え、20歳の長女・法子さん、17歳でチームの主力を担う長男・秀平さん、7歳の次女・乃々歩ちゃんまでもがクラブの活動に関わっています。
今あるクラブの方向性を決定づけたのは、ある少女との出会いでした。法子さんが高校1年生の時、同級生の森谷亜依さんを家に連れてきまました。フィリピン人の母親を持つ森谷さんは、小学6年生のときに米沢市に引っ越してきました。学校になじむことができず、家庭では家出を繰り返すなど、居場所といえる場がありませんでした。森谷さんは荒木家の温もりに触れ、「日本に来て初めて安心できる場所、自分の家を見つけたような気がした」そうです。現在、彼女は、クラブのもう一つの柱である「アニマルハウス」の施設長を務めています。「保護者と子どもの居場所づくりと、助け合い、孤独にならない子育てなどの支援事業」を中心にさまざまな活動を行う施設が彼女の“居場所”となっています。
荒木監督の夢は壮大です。「まずは続けること。Fリーグの選手を輩出すること、いつか自前の体育館をつくって、そこを子どもたちの居場所、みんなの成長の場所にすること」と語ります。門戸を開き、地域の人々を受け入れるプチユナイテッドは、これからも地元に根ざした活動を続けていきます。