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宮城県中体連女子サッカーフェスティバル ~宮城県サッカー協会の取り組み
2021年07月07日
宮城県サッカー協会が、6月27日(日)に松島フットボールセンター(宮城県)で、普段中体連のサッカー部で男子選手と活動している女子選手の環境改善を目的とした練習会〈宮城FA中体連女子サッカーフェスティバル〉を初めて開催しましたのでご紹介します。
今回は対象となる中学生だけではなく、宮城県内の高校女子サッカー部の部員がサポートスタッフとしてかかわり、中学・高校とつながりのある活動にしていくことを目的に取り組まれました。
練習会の最後には、参加高校の部活紹介をおこない、中学生の生徒たちに「高校で一緒にサッカーを楽しみましょう」というメッセージを伝えていました。
コメント
佐々木好人 先生(宮城県高体連サッカー専門部女子副委員長)
宮城県の高校女子サッカーは、私立高校の強化育成が行われ、これまでも輝かしい実績を残されてこられました。さらに近年では新しい私立高校なども着実に力をつけています。しかしその一方で、かつて全日本高等学校女子サッカー選手権で活躍した公立高校の統廃合に伴うチーム数の減少が続いていました。高体連チーム数と競技者数の減少は、我々県高体連の顧問としても喫緊の課題であり、日頃から関係者と対応策を検討していました。具体的には、ここ数年で県FAから中体連サッカー部の女子登録数や、高校進学後の競技継続状況などの具体的な分析データを示して頂けたことにより、より一層課題が明確になりました。例えば、前述の私立高校の各校は、県外からの越境入学生、県内のクラブチームを主たる活動場所にする選手、さらにトレセン活動も経験している選手が多く所属するのが現状です。そのことが敷居を高くしているのか、県内の中学校サッカー部で男子に混ざって活動をしている女子選手の多くが、前述の私立校を含め女子サッカー部のある高校にあまり進学していなく、高校進学後は競技を継続していません。そこで今回は、県高体連が主となり県FAの協力を得て、中体連所属の女子選手を対象としたフェスティバルを開催することにしました。イベントの準備にあたり、フェスティバルの目的は「高校女子サッカー部への出会いの場を提供すること」にしました。そういった目的もあり、今回は実際に中体連出身の女子選手が多く、ここ3年間で部員数を着実に伸ばしている聖ウルスラ学院英智高校の安住先生を中心に、東北高校・大崎中央高校・宮城第一高校の先生方や生徒に、参加中学生の指導や受付対応をお願いしました。イベント当日、やはり緊張した面持ちの選手が多かったです。普段は男子生徒の中でおそらく遠慮がちにプレーしている選手たちが、女子選手だけで40名ですから当然です。開会式では、「自分たちと同じ環境(男子サッカー部で女子部員として活動している)で頑張っている仲間がこんなにいるんだよ!」とあいさついただきました。最初は中学生同士のコミュニケーションが大変かなと思ったのですが、高校生が上手にフォローしてくれました。アイスブレイクからゲーム、そして最後の集合写真まで、本当に笑顔の絶えないフェスティバルとなったと思います。また閉会式では宮城県各校(11校)の選手登録状況や高校女子の大会情報も告知する資料を配付し、オープンキャンパスや学校説明会への参加も訴求することができました。最後に、今年度の宮城県高校総体女子サッカーの大会プログラムをみると「前所属チーム」が空欄の生徒が多数います。これは高校からサッカーをはじめた選手たちです。今年度だけで、10名以上います。今後はその様な境遇の高校生も確実にフォローしながら、「宮城では安心して高校からでもサッカーをはじめられるよ」というメッセージも中学生にわかりやすく発信できればと思います。
安住建志 先生(聖ウルスラ学院英智高等学校女子サッカー部)
中体連フェスティバルは予想を上回る参加人数となりましたが、皆様の協力により何とか無事に終えることができました。高校生がコーチ的な立ち位置で中学生に対して発信できる機会もすごく貴重な経験になったようです。また、中体連で頑張っている選手がこんなにもいるんだなということに驚きと喜びを感じました。それと同時に、中体連から高体連への女子選手の連携などはまだまだうまくいっていないのかなという印象も受けました。サッカーをする機会を提供するということだけ考えるのであれば、ゲームを中心に組み立ててもいいかなという思いもありましたが、今回は高校に繋げるということを考えて普段のトレーニングを行いながら、何を考え、どういうことを大切にしているのかということをポイントにして指導させていただきました。そういった意味では事前の準備の部分から、指導者の打ち合わせをより密に行い、共通理解を図っていくことがより必要になってくると思いました。正直、今回指導をメインにさせていただき非常にありがたかったと思う反面、指導者を始めとしたスタッフの管理や対象生徒、人数などあやふやな点が多くあったとは思います。この部分においては今後検討し、改善していかなければならない部分であると思います。進路選択に繋げるという意図も公立高校は推薦ではなく、一般受験というハードルがあり、私立高校はそれぞれの学校の状況に応じて募集活動なども異なるという難しさがあり、一緒くたにどこかに入れればいいね、サッカーを続けてもらえたら嬉しいね。という簡単なことではないのかなと思います。ただ、普及という観点でいえば、フェスティバルはすごく重要な取り組みであると思うので、これっきりにならず今後も行って関係性を構築していくことは間違いなく重要だと思います。その上で、普及、強化に加えてより多くの選手がサッカーを“継続”していくためにどうすればいいのかという点が大きな課題とも思います。これは宮城県だけでなく、全国でも同様のことが言えるのではないかと思います。生徒数が減少してきており、また、難しい社会情勢の中、スポーツの在り方や部活動の考え方などが変化していく中でサッカーを続けることも容易なことではないと思います。またスポーツにおいてはどうしても強豪校に選手が集中して集まり、切磋琢磨し合えるほど、県内にチーム数がなかったり、レベルの差があったりという状況が宮城県のみならずの課題です。もちろん強豪校が悪いわけでは全くなく、そこを目指したい、挑戦したいという選手の思いは大切だと思います。ただ、強豪校に入ることが全てではなく、ましてや強い弱いという側面だけに捉われないことが重要ではないかと思います。自チームだけでなくもっと広い視野でサッカーを良くしていこう、盛り上げていこうという思考を多くの関係者で共有し続けられたらなと思っています。そのために本当に微力ではありますが、自分にできること、できる限りのことをしていきたいと思いますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。
中田麻衣子 さん(宮城FA女子サッカー普及コーディネーター)
宮城県では初の試みとなる高校女子部会が中心となり準備から運営に至るまでフェスティバルを担当していただきました。対象が中体連所属の女子選手ということで、例年ではなかなか集まらない印象の年代で不安がありましたが、中体連で県として、市としてサポート、ご尽力いただいたこともあり、対象選手に情報が伝わり、予想を上回る参加者数となりました。やはり、活動の場を求めている選手が多いのだということを知ることができました。同時に、初めて顔を合わせる選手たちでしたのですぐには馴染めない様子も見られました。定期的に活動機会を創出することで他校との繋がりもでき、継続意欲に繋がるのではないのかと思います。練習だけではなく、宮城県のWEリーグの観戦や、JFA中学校女子サッカーフェスティバルなど試合ができる環境に繋げていけると良いなと感じました。また、前述した通り高校女子部会が担当し、当日はサッカー部に所属する高校生も参加してくれました。直接触れ合うことで中学生が感じられるもの、見える世界が広がったのではないかと思います。「高校でもサッカーを!」となるともちろん勉学の問題も出てくるかと思いますが、「この高校でサッカーをやりたい」となればモチベーションとなり、目的達成のためにスキルアップはもちろんのこと、勉学等にも励むきっかけになるのではないかと考えます。今回の参加者の中でクラブにも所属している選手は約3割でした。7割は中体連のみで頑張っている選手でしたので、高校でも続けられるという意識づけのためにも継続した活動にし、宮城県では自分らしく、自分に合った場所でサッカーが続けられる環境選択肢があると感じてもらえるようにしていきたいです。沢山の方にご参加いただけたことは前進できましたが、課題もありましたので、まずは関わってくださった皆様とコミュニケーションを取りながら今後につなげていきます。また、アンケートも取らせていただきましたので、分析しながら活かしていきたいです。多くの皆様のお力添えにより、素晴らしいきっかけの機会、フェスティバルとなりました。ありがとうございました。
千葉拡 さん(宮城FAユースダイレクター)
昨年度よりユースダイレクターに就任いたしました、就任直後からさまざまな事業が中止になりましたが各種別や女子委員会の方々とつながることができ指導者同士が共通の課題解決をできるようになるべく現場に足を運ぶようさせて頂いております。
今回の事業に際して近年高校年代のチーム数の減少がみられ、女子委員会より提案があり高体連の女子部の先生方が中心に動いて頂き、また3種中学校の先生方にも助けて頂きながら立ち上げることができた事業です。
当日は参加者数が私の予想より多く驚きました、またそれと同時に今後への期待も大きくなりました。
宮城県として女性指導者を増やすことと女性の関わりをどのようにしていくべきかユースダイレクターと同時に47FAインストラクターとして検討している時期でもあり、今回聖ウルスラ高校の安住先生が中心になり、中学生に指導して頂きサポートを自チームの選手にしてもらっていましたが中学生に対しての声がけや指導にさいして心がけることなどを事前に行っていたようで指導していた高校生にさまざまな可能性を感じました、またなにより中学生が楽しそうに行っていたのが印象的でした、中学生にも高校生にもそして運営して頂いた高体連の先生方そして保護者にとってとても貴重なものになったと感じています。また、宮城第一、東北高校、大崎中央の女子選手がサポートすることで中学生の皆さんには高校サッカーへのイメージがどのように思っているのか今後聞いてみたいと思っています。
今後は今回の事業を一度限りの活動にしないことと継続できるような仕組み作りを行っていきたいと感じています、そしてもっと多くの方々にこの活動を見て頂くことでより一層女子の活躍できる場の創設をできればと考えております。今回参加してくれた中学生が高校年代に進みサッカーに関わり続けてくれるきっかけ作りになり、そして今回参加の中学生・高校生から将来指導者やサッカーに関わり続けてくれるよう環境作りやきっかけ作りをしていきたいです。今後とも宮城県全体で協力あえる環境を構築していきたいと考えています。
私自身ができることは多くありませんが5年後、10年後その先を意識しながら今後の活動をしていきたいと思っています。
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