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知的障がい者サッカー日本代表 ~2023アルゼンチン国際マッチ~
2023年12月27日
知的障がい者サッカー日本代表が、アルゼンチン(マル・デル・プラタ)にてアルゼンチン代表と国際親善試合を2試合行いました。
大会概要
名称:2023アルゼンチン国際マッチ
期日:12月20日、22日
場所:アルゼンチン(マル・デル・プラタ)
相手:アルゼンチン代表
監督・選手コメント
西眞一 日本代表監督(日本知的障がい者サッカー連盟)
2026年開催予定のもうひとつのワールドカップ(Virtusサッカー世界選手権)に向けて、アルゼンチン代表との国際マッチを2試合行いました。日本から開催地(アルゼンチン/マル・デル・プラタ)まで約41時間の移動のあと、現地到着後3日目、5日目にアルゼンチン代表と対戦しました。試合結果は、第1戦0-4(前半0-1)、第2戦0-2(0-1)でした。2試合の総括として、日本は「全員守備・全員攻撃」のゲームコンセプトのもと、1対1のバトルに勝つこと、そして良い守備から意図的にボールを奪い、サイドを起点にした攻撃で得点を目指しました。アルゼンチン代表は、南米独特のリズムと高い個人技術とスピードを兼ね備えた2人のFWにシンプルにボールを入れ、鋭い攻撃で日本ゴールを脅かしました。日本は、第1戦開始早々はスピードについていけないシーンがありましたが、時間の経過とともに良いポジションを取れるようになり、素早いアプローチによるインターセプトと速い切り替えからアルゼンチンDFの背後へのアクションと、サイドを起点とした攻撃でクロスによる決定的シーンを作りましたがゴールの枠を捉えきれませんでした。一方アルゼンチンは、日本のDFがボールウオッチャーになった一瞬の隙を見逃さず、日本の最終ラインをタイミングよく抜け出そうとしたアルゼンチンFWにMFが日本のDFラインの背後へ質の高いパスを送り、日本GK徳村との1対1を制してゴールを決めるなど、決定力に差がありました。
第1戦から第2戦の成果は、守備時にアルゼンチンのプレースピードに順応し、ボールを奪う・奪えないの判断とその対応が良くなったこと、攻撃時は相手の状況を観たうえで、シンプルに背後を狙うことやボールを保持しゴールを目指すことなど状況に応じた使い分けができていたことです。また、選手の自発的なミーティングにより選手間での戦術理解のコミュニケーションが図られたことは最も重要な成果です。90分の試合時間で高い集中力を保ち守備ができていましたが、ボールウォッチャーになりマークを外した状況で背後を取られ、また、自陣ゴール前で相手FWに前に入られクロスに合わされるなど一瞬の隙をつくったこと、判断を伴ったコントロールとパス、シュートの質の向上は課題です。
長時間の移動、時差、食事、言語、日本の冬からアルゼンチンの夏の季節の違いなど、日常と違う環境下でのパフォーマンス発揮の重要性の理解とその対応力は経験から学ぶことが多いと認識していますが、今遠征が初めての海外という選手が初め戸惑いをみせながらも環境に素早く適応しプレーできたことは自信に繋がったと思います。
私たち知的障がい者サッカー日本代表は、「海外を日常に。」のヴィジョンを持ち活動しています。今遠征の経験をオンザピッチ、オフザピッチともに選手の日常に生かし、代表チームの強化に繋げていきたいと思います。今回の国際親善試合実施にあたり全国の多くの皆様にご理解とご協力、そして大きなご声援をいただきました。ありがとうございました。引き続き知的障がい者サッカー日本代表チームへのご声援をよろしくお願いいたします。
佐藤快 選手(日本知的障がい者サッカー連盟)
アルゼンチン代表は、個人技術・戦術、チームプレーともにレベルが高く良い経験になりました。自分達は、プレッシャーが速いなかでもボールを保持する練習をしてきました。アルゼンチン代表に対して、ボールを保持してシュートまでいけたことは成長している部分かと思います。ただ、ゴールを決めないと勝つことはできないので、ボールを保持するクオリティーは上げつつ、少ないチャンスを決める「決定力」が今後強い相手と対戦するときには必要になるので、「決める」という気持ちでトレーニングをしたいです。今回、所属チームではしていないトップ下でのポジションでの出場で少し戸惑いもありましたが、色々なポジションを経験できることは自分のプレーの幅が広がると思うのでポジティブに捉えて新しいポジションにチャレンジしていきたいです。アルゼンチン遠征を通してたくさん学びがあり参加できて良かったです。
髙木翔 選手(日本知的障がい者サッカー連盟)
アルゼンチン代表と2試合行いましたが、2試合ともアルゼンチン代表のパススピードとコントロールの質に翻弄され、また失点に関与することが多くありました。1試合目は初めての海外選手との試合でしたので、とても緊張して思い通りのプレーができませんでした。相手の体格、パスのスピードと正確さ、体の使い方に対応できず、後手の守備となり簡単に前を向かせてしまいワンツーでペナルティーエリア内に侵入されるなど苦しかったです。2試合目は、積極的にインターセプトを狙い、前を向かせない守備もできるようになり相手FWの突破を阻止することができ1試合目より良い守備ができたと思います。アルゼンチン代表との試合で体感したパスの質や体の当て方などを忘れずに県や地域の活動で練習していきたいと思います。
下鶴掛夢 選手(日本知的障がい者サッカー連盟)
初めて海外の選手と試合をして、プレススピードやパスの質、シュートの質がすごく高く世界の基準を知ることができました。1試合目は、相手の動きになかなかついていけずボールを奪うことができず苦しい時間でした。徐々にスピードに慣れ、ボールの移動中に寄せ手に届く距離で守備ができる時もありましたが、簡単に逆を突かれてドリブルされたりしました。攻撃面では、相手を引きつけてトップ下の選手にパスを入れるなどサイドで起点となりゴールに繋がりそうなシーンがあったので良かったと思います。失点したシーンは自分のサイドから多くあり、ボールウオッチャーになって背後を取られました。2試合目は、右サイドからのクロスに対しゴールを決めることができずにチームを助けることができませんでした。自分の持ち味であるドリブルでの仕掛けや味方との連係によりペナルティーエリアに進入してシュートを打つようにしたいです。次、対戦するときには、競り合いで負けないようにすることと、SBやFWの選手ともっとコミュニケーションをとり気持ちを伝えるようにしたいです。