「サンフレッチェ広島戦は燦然と輝く出来事になる」髙原直泰選手(沖縄SV)インタビュー ~天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会~
2019年07月01日
天皇杯 JFA 第99回全日本サッカー選手権大会の2回戦が7月3日(水)と10日(水)に開催されます。ここでは自らの手で立ち上げたクラブ「沖縄SV」を率いる髙原直泰選手兼CEO(代表取締役)に天皇杯への思いを聞きました。
※このインタビューは6月24日に実施しました。
――髙原選手にとって天皇杯は清水エスパルスとして出場した2011年の第91回大会以来8年ぶりの本戦出場となりました。
髙原 そうなんですね(笑)。正直、8年前の記憶はほとんどなくて。その時に限らずJリーグの選手として専念していた頃は勝ったイメージがなく(1999年のジュビロ磐田時代、準々決勝が自身最高成績)、天皇杯の思い出はほとんどなかったりするんです。
――しかし今年、自らの手で立ち上げた沖縄SVを率いて天皇杯の舞台に帰ってきました。
髙原 沖縄SVは4年目のチームで、今は九州リーグで戦っています。九州リーグでも常に沖縄を代表して戦っているという意識を選手たちには持たせていますが、正直なかなか伝わりづらいところがあります。ただ、天皇杯は否が応でも注目されますし、若い選手たちにとって沖縄を背負ってプレーすることの意味と実感がはっきりとわかる機会になるかと思います。(一回戦で)松山大学(愛媛県代表)に勝ち、今度はサンフレッチェ広島(J1)と対戦できる機会を得ることができました。この貴重な経験をみんなで楽しみ、失うものもなく自分たちができることをやるだけなので、そういった意味では、相手をリスペクトしすぎないようにしたいなと思います。
――Jリーグチームと対戦に目の色は輝いている。
髙原 そうですね。今の段階ではJのチームと公式戦で対戦できる機会は天皇杯しかありません。あとチームには髙柳(一誠)や前田(俊介)といったサンフレッチェ広島で育った選手もいますし、この二人を広島に連れて行きたいという選手の思いもみんなあったと思います。それとプラスして、若い選手にとってはJのチームと真剣勝負する機会は経験したことがないでしょうし、サッカーに対する考え方の部分で少しでも影響がでてくればいいなと思っています。
――九州リーグではトップをひた走っていますが、チームの状況はいかがでしょう。
髙原 試合を積むごとに良くなっているという印象です。課題がありながらもしっかりと改善していこうというのがチームの中にあって、みんなが積極的に取り組んでくれていることが結果につながっています。(6月16日の九州リーグ第9節で)8連勝同士のJ.FC MIYAZAKIと試合をしたのですが、(0-2のビハインドの状況で)今までならそのまま負けてしまうところ、その後3点を入れて勝つことができました。そういうところではチームの成長であったり粘り強さであったりだとか、ようやく出てきたかなと。非常に良い状態です。
――沖縄のサッカー環境は。
髙原 申し分ないですね。基本的に天然芝でトレーニングできますし、例え大雨が降ってグラウンドが使えない場合でも屋内練習場でボールが蹴れる環境があります。地域リーグのチームからすればこんなに恵まれている環境でサッカーができるというのは多分全国を探してもなかなか無いんじゃないかなと思います。成長の糧になれる土台は沖縄に揃っていますし、さらにより良い環境にするためにも自分たちがもっとアピールできるようにして、若い世代が良い環境でスポーツに取り組めるような形を見出せればなと思っています。それが沖縄SVの役割の一つだと捉えていますし、サッカーに限らず将来的に沖縄の観光、ITに次ぐ3本目の柱であるスポーツ産業の発展の礎になれればと思っています。
――普段はクラブの代表者でもありチームの監督という立場でもありますが、天皇杯は選手としての登録です。髙原選手として追求していきたいところは。
髙原 選手として追求していきたいというのは基本的にはあまり無いですよね。ただ、選手としてプレーしているからにはどんなことがあっても他の選手と同じようにトレーニングをこなさなければいけないと思っています。自分ももう40歳ですが、年に見合ったトレーニングをしていたら結局落ちていく一方なんですよね。体に負荷はかかるけれども若手と同じトレーニングを当たり前のようにこなしていくことは自分が今こだわっているところです。逆にそれができないようであればもう選手を諦めて経営に専念したほうがいいでしょう。でも全然普通にみんなと一緒にトレーニングできていますし、クラブの代表としての仕事もこなしながらプライベートで上手く体のケアを行っていますので、まだまだ選手として頑張りたいなと思っています。
――髙原選手にとっての天皇杯とは。
髙原 自分がプロでやっていた当時と今と比べれば天皇杯に対する捉え方が異なっていますし、自分たちのような地域リーグのチームにとってはすごく大きなチャンスがある大会だなと思います。沖縄SVを立ち上げて4年目にして初めて本戦に出場し、そしてサンフレッチェ広島と対戦します。その瞬間が訪れたとき、自分の中の記憶として燦然と輝く出来事になるのかなと思います。
【1回戦】5月25日(土)、26日(日)
【2回戦】7月3日(水)、10日(水)
【3回戦】8月14日(水)
【ラウンド16(4回戦)】9月18日(水)
【準々決勝】10月23日(水)
【準決勝】12月21日(土)
【決勝】2020年1月1日(水・祝)