福山シティFCが初出場同士の一戦を制して3回戦へ 天皇杯 JFA 第100回全日本サッカー選手権大会
2020年10月01日
天皇杯 JFA 第100回全日本サッカー選手権大会は9月30日(水)に2回戦の残り1試合を実施しました。
福山シティFC 1-0(前半1-0、後半0-0)FCバレイン下関
広島広域公園第一球技場では、共に初出場の福山シティFC(広島県代表)とFCバレイン下関(山口県代表)が激突しました。序盤に主導権を握ったのは2024年のJリーグ参入を目指し、今季から本格強化に乗り出した福山です。「守備から試合に入ろうと意識していた」(小谷野拓夢監督)前半は、相手の強みであるサイドでボールを奪い、自陣からテンポよくボールを動かしながらサイドチェンジによって相手ゴールに迫りました。
25分には右サイドでパスを受けたMF隅田航選手が、ペナルティーエリア右へと追い越したMF礒江太勢選手に展開。ゴール前に入れたマイナスのボールをフリーで受けたMF田口駿選手が「自分のところに転がってきたので、決めるだけだった」と冷静にゴールネットを揺らしました。28分には「うちの武器」と小谷野監督が評するMF高橋大樹選手が左サイドを抜け出し、ゴール前にパス。FW吉井佑将選手がスライディングで反応しましたが、わずかに合いません。35分には高い位置で相手ボールを奪った田口選手のスルーパスから、吉井選手がゴール前を抜け出しましたが、シュートは枠から外れました。
福山と同じく将来的なJリーグ参入を狙う下関は、別大会から中2日でこの試合に挑みました。「前半は0-0でしのぎ、後半に勝負しようと考えていた」(福原康太監督)ため、序盤は無理せずにブロックでの守備で福山のビルドアップに対抗しましたが、一瞬の隙を突かれて失点。攻撃では、サイドに張り出す右のMF大賀優将選手、左のDF孫正倫選手が数的有利をつくりながら仕掛けましたが、前半はゴール前での精度を欠き、決定機もわずかでした。
しかし、主力を次々に投入した後半は「サイドの選手が幅を使い、2枚目、3枚目の選手が絡んでいくトレーニングをしていた」(福原監督)通りの形が増えました。立ち上がりにはコンビネーションから右サイドを攻略。ゴール前に入ったボールを大賀選手、FW谷本一弥選手とつなぎましたが、シュートは相手守備陣に阻まれました。その後も、交代で入ったフレッシュな選手が高い位置からのボール奪取を狙い、76分にはMF西田憲誌朗選手のカットからMF舛田勇士郎選手がシュート。終了間際にもMF田原伊織選手のパスを受けたFW無津呂武瑠選手が振り向きざまに強烈なシュートを放ちましたが、GK平田陸選手の好セーブに阻まれ、1-0で福山が勝利。初出場初勝利を手にした小谷野監督は安堵の表情を浮かべつつ、「私たちはJクラブを倒すのを目標にしている。あと3つ倒さなければたどり着けないので、結果にこだわっていきたい」と次戦以降に気持ちを切り替えました。
この結果、10月28日(水)と11月11日(水)に開催される3回戦に進出する16チームが出揃いました。
小谷野拓夢 監督(福山シティFC)
うちの所属が県1部リーグなのに対し、相手は中国リーグの所属。選手たちはチャレンジ精神を持って試合に挑もうと口にしていました。自分たちの狙いとするゲームはできたのですが、欲を言えばもう一点取りたかったです。ビルドアップの部分は良かったのですが、ゴール前でのパスやシュート精度は課題として見つかったので、次の試合では改善したいです。3回戦に残っている県リーグのチームは自分たちだけになったので、僕たちが一番下の立ち位置になりました。構えていたら負けるので、相手を食うくらいのチャレンジ精神を持ち続けます。
田中憧 選手(福山シティFC)
終盤は相手に押し込まれる時間が増えましたが、身体を張った守備や前線からの守備に対するコーチングを意識しました。監督の分析通り相手が攻撃をしてきたので、練習の成果が出たと思います。今日の試合は、選手一人一人が練習から前向きでした。控えの選手も含めてチームが一体感を持てたのが勝因だと思います。平日開催にも関わらず、多くのサポーターが足を運んでくださいました。負けたら終わりという一発勝負の試合で、多くの声援をもらえるのは心強かったです。3回戦に向けて、自分のたちのサッカーの精度をより高められるよう練習から準備していきたいです。
福原康太 監督(FCバレイン下関)
前半を無失点でしのげれば勝機はあったと思うのですが、失った1点を追い掛けるのが難しい試合でした。後半は攻撃の時間が増え、指示していたサイド攻撃が相手に消されていて、相手に研究されていると感じました。それでも、チャンスは作れていただけに最後の精度が低かったのが悔やまれます。今年は天皇杯の予選や中国リーグの延期が続く中、こうやってお客さんの前で真剣勝負できることに感謝したいです。今までの環境は当たり前じゃなかったと気付かされました。うちは全国大会の経験がない選手もいるので、緊張感のある今日の試合は良い経験になりました。
吉沢凛太郎 選手(FCバレイン下関)
前半を無失点に抑えれば、後半は僕たちが優位に立てると話していたのですが、前半に失点してしまい、思い通りに試合を運べなかったのが敗因です。チャンスを決め切る差が出ました。天皇杯初出場が決まってから選手が働くスポンサーの企業のみなさんが盛り上げてくださり、市長も応援してくださいました。支えていただいた皆さんたちのためにも勝ち上がって下関の名を全国に轟かせたかったので、残念です。僕自身は全国大会に出場したのは初めてで、特別な日になりました。すごくわくわくしたので、またこの舞台に戻ってきたいです。
【1回戦】9月16日(水)
【2回戦】9月23日(水)、30日(水)
【3回戦】10月28日(水)、11月11日(水)
【4回戦】12月12日(土)、13日(日)
【5回戦】12月20日(日)
【準々決勝】12月23日(水)
【準決勝】12月27日(日)
【決勝】2021年1月1日(金・祝)