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ホーム > JFA Youth & Development Programme(JYD) > 【 JYD / Story 】株式会社モルテン|「当たり前にある安心」を求めて。黒子として日本サッカーを支え続ける。

STORY共創型アクティベーション事例

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株式会社モルテン

「当たり前にある安心」を求めて。
モルテンは黒子として日本サッカーを支え続ける。

体育の授業から部活の現場、全国大会の会場まで。日本でスポーツをする人の現場を支え続けてきたのが、競技用ボールの製造・販売を主としたスポーツメーカーであるモルテンです。誰もが一度は触れたことがあるこの老舗ブランドは、サッカーボールの改良と品質向上に取り組み、日本サッカーの育成と発展に寄与し続けてきました。

長らくスポーツの現場を支え続けているモルテンが、JYDのパートナー企業として、日本サッカー発展のために行なっている取り組みや思いはどのようなものなのでしょうか。スポーツ事業本部 マーケティング統括部長・椙浦正俊氏と、同部ブランドマーケティンググループグループリーダー・長谷川乃亜氏にお話を聞きました。

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JFAと歩み、醸成された信頼感

モルテンは2016年から正式にJYDパートナーとなりましたが、それ以前から試合球の提供や検定球の承認を受けています。後者に関しては1982年から始まったので、40年に渡りJFAさんの検定球を展開している形ですね。我々はサッカーの普及・育成の発展を目指して取り組んでいますが、“どのようなボールを使っていただくか”は、今後もスポーツ界を支えていく上で重要と捉えています。

部活やクラブチームでプレーをする中学〜高校年代だけでなく、その前の年代、早くは未就学の段階からボールを蹴り始めるケースも多いですよね。その年代のプレーヤーに対しても適切な製品提供ならびに使用を促すことは重要と思っており、実際にキッズ用のボールもJFAさんのサポートをいただきながら開発しました。

画像左がキッズ用のボール

現在、日本ではサッカーボールのサイズ規定があります。小学生年代までは4号球、それ以上は5号球。身長100cmの園児が小学校6年生になると160cmを越え、体重が倍になることもありますが、その過程で扱うボールも変化しなければいけません。筋力もなく骨も柔らかい未就学のお子さんに対しては、4号球よりもサイズの小さい3号球の中からさらに軽く柔らかい素材を使ったものを提供し「サッカーって楽しいな」「プレーを続けたいな」と思っていただきたいなと。そう思わせる活動や製品の展開が、我々の任務です。

実際、JFAさんと取り組みを始めてから育成年代の現場をはじめ多くの大会で試合球として使っていただき、強い信頼が築かれていると感じます。幼い頃からサッカーをやっていた人には『モルテン』ブランドの信用が大きいのだなと常日頃から感じます。

高校サッカーの経験者から「ペレーダを使っていました」という話を聞くこともあります。サッカーに打ち込んでいた時代を共にしたボールの思い出は、我々が思っている以上に大きいんです。そういった方々が再びサッカーをする時に「モルテンを使いたいな」と思っていただけることは一番の資産だと思います。

雨天時、ボールは200gも重くなる

画像部活の定番『ペレーダ』

ビジネス的なリターンとして大きいのは、JFAさん主催の大会で試合球としてモルテンのボールを使っていただけることですね。その中で、選手や指導者の方から挙がる満足の声が一番の喜びです。

画像スポーツ事業本部 マーケティング統括部長・椙浦正俊氏

ボールで実力以上のものを発揮させることは難しいですが、実力に応じたプレーを実現させることは我々に求められていること。ウェアやスパイクと異なり、ピッチ上の22人が同じボールを使います。だからこそ、ポジションや敵味方に関わらず、公平性を意識して作らなければいけません。プレーヤーが試合をして「モルテンのボールで良かった」「また使いたいな」と思っていただかなければいけない。

我々は選手がピッチ上でベストを出せるように幾度もボールの改良に取り組んできました。歴史を紐解くと、1982年のワールドカップまでは天然の牛皮を使ったボールが試合球だったのですが、86年大会から人工皮革となり、それ以降はいろいろな素材を吟味しながら作っています。
商品開発において大きな要素が、雨天次のコンディションです。正確な数字は知られていないと思いますが、雨で水を吸ったボールは200gほど重くなるんです。ここまで重量が変わると、ヘディングやキックをした時の衝撃が大きくなり、通常時のプレーができなくなります。結果的にそれは試合内容だけでなく、選手の満足度にも影響してきますよね。

FIFAの国際規格では、通常時の10%まで重量が増えていいと記されています。ただ、昔のボールはそれよりも重くなっていました。今のボールの重量の10%というと40g程度ですが、これでも影響は大きい。モルテンとしてはこの問題を解決したいという思いを持っており、小中学生の年代の大会では水を吸いにくい非縫型のボールを推奨しています。

これに留まらず、育成・普及・強化の現場で日々、課題は生じるものです。ユース年代のボールの大きさから、最近だとヘディングの問題もありますね。こういったものをJFAさんと一緒に解決していきたいです。加えて、競技における問題だけでなく、社会課題や環境問題という大枠についてもJFAさんと共同で解決したいと考えています。

画像スポーツ事業本部 マーケティング統括部・長谷川乃亜氏

「ボール作り」で教育の分野へ進出

その中で一つ形となったのが『MY FOOTBALL KIT』という商品です。環境に配慮した素材を使用した組み立て式のボールになります。子どもたちに説明書に沿ってボールを自ら組み立て、出来上がったものでサッカーを楽しんでもらうまでの体験をセットにしたものです。

これは、子どもたちに教育とサッカーの両面を提供したいという思いから始まった、モルテンの新しい取り組みです。世界にはスポーツができない子どもたちが多くいるので、彼ら彼女らに何か提供することはできないか? とずっと考えていました。そして、JFAさんと一緒に、世界中の子どもたちに成長のきっかけとなる機会をこういった形で提供しようと。

画像MY FOOTBALL KIT本体と、構成するパーツなど

天皇杯、企業連携、JFAと組むメリット

JFAさんと取り組むことで得られるモノはたくさんあります。例えば、1年の初めである元日の天皇杯で共にお仕事をできる点。スポーツファンが注目するイベントで、自社製品が満員のスタジアムで使われていることは社員にとっても喜びです。こういった大きなイベントで自社製品が使われていることは、社員が業務に当たる上で大きなモチベーションの源泉になっているとも感じています。

2021年元日の決勝戦では弊社の製品や取組を紹介するブースを出し、訪れた方へ『MY FOOTBALL KIT』を紹介しました。「こんなボールまであるんだね」という驚きの声を挙げてくださったお客さんも多くいらっしゃいました。ブレークスルーではないですけど、これまでのモルテンのイメージを替えられたようにも思います。100回もの歴史がある天皇杯に関わり様々な取り組みを紹介する機会を与えていただけることに、とても感謝しています。

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競技場の外にブースが設置され、お客さんも実際にMY FOOTBALL KITを使用
JFA「SDGs推進チーム」メンバーの播戸竜二さんもブースに訪問

JYDで色々な企業さんと交流や取組があった中、印象深いのは第99回の天皇杯です。

弊社とアイリスオーヤマさんとJFAさんが連携して、第99回天皇杯の決勝試合球を99個限定で作りました。そのときにモルテンはボールを作り、デザインをJFAさんが担当しました。そして、99個のパッケージにアイリスさんの人工芝を引くという形で商品化しました。また、トヨタさんとは、JYDパートナーとして取り組みはじめてから関係を持たせていただくようになり、タイで『MY FOOTBALL KIT』を作るイベントを一緒に実施した思い出があります。

「当たり前にある安心」を追い求めて

モルテンのボールはサッカーの現場で "あって当たり前" になってしまっているのかな、とも思いますし、「もうちょっとアピールした方が良いのかな」と思う瞬間は組織として多分にあります(笑)。ですが、競技をする方が安心して我々が “特別ではない” 存在にある状態が最も良いのかなと。“当たり前のようにある安心” みたいなものを、我々としては目指していきたいところです。
当たり前のようにプレーヤーの方はボールを使っていると思いますが、どういう形で使われてもある程度、ボールの品質が長く続くことに気づいていただけると思います。すぐに使い物にならなくなる、ということはないです。その裏には、なかなか厳しい品質基準があるんです。そして、それをクリアするために表には出ない我々なりの努力があります。だからどうだ、と言うつもりはなく、「本当に安心して使っていただけますよ」と伝えたいですね。

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当たり前に使っていただく中で、より身近に感じ、親しみを持っていただきたい。その状態が続くことが、サッカーという競技を好きになることに繋がると思っています。

我々はひたむきにスポーツと向き合って現場を良くしようと思っていますし、ひたむきに挑戦する競技者をサポートしている部分もあります。そういう意味では、スポーツの良い部分と寄り添えるブランドなのかなと。

これからも、世界でも同じように「モルテンは間違いない」という信頼を愚直に築いて、啓蒙する活動を展開していきたいですね。

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