AFCチャンピオンズリーグ（ACL）2022決勝第2戦が5月6日(土)、埼玉スタジアム２００２で行われ、浦和レッズが連覇を狙ったサウジアラビアのアルヒラルに1-0で競り勝ち、2戦合計2-1で5大会ぶり大会史上最多となる3度目のアジア制覇を達成しました。浦和DF酒井宏樹選手は大会最優秀選手賞を獲得。好セーブ連発で勝利に貢献したGK西川周作選手はこの試合のマン・オブ・ザ・マッチに選ばれました。

一週間前のリヤドでの第1戦を1-1で引き分けてアウェイゴールの優位性を手にホームに戻った浦和は、第2戦では勝つか0-0の引き分けで優勝が決まります。それを後押ししようとスタジアムには53,374人のサポーターが駆け付け、キックオフ前から大声援を送り、圧巻の雰囲気を作りました。

第1戦と同じ先発メンバーで臨んだ浦和に対して、アルヒラルは3人を変更。出場停止のFWサレム・アルドサリ選手と負傷離脱のMFサルマン・アルファラジ選手に代えてMFアブドゥラー・アルハムダン選手とMFアブドゥラー・オタイフ選手を加え、3人目の外国籍選手にはFWムサ・マレガ選手に代えてMFアンドレ・カリージョ選手を起用しました。

勝つために得点が欲しいアルヒラルは、試合序盤から攻撃を展開。開始早々、FWオディオン・イガロ選手が右クロスに反応してゴールを狙い、アルハムダン選手らがこぼれ球に詰め寄りましたが、GK西川選手が体を張って阻止します。

2019年の決勝では浦和を阻止して初優勝したアルヒラルは、ボールを保持して攻撃を仕掛け、21分にはアルハムダン選手、42分にはカリージョ選手がいずれもミドルレンジからシュートを狙いますが、西川選手がセーブします。

前半は風下となった浦和は、相手にボールを持たれながらも激しく競り合い、ブロックを作って守備を固めて相手のパスコースを限定。前半半ば過ぎからはカウンター攻撃で相手ゴールに迫ります。

30分、右サイドを攻め上がった酒井選手がMF伊藤敦樹選手のパスを受けてペナルティエリアに切り込んでクロスを入れると、逆サイドに走り込んだFW興梠慎三選手が右足アウトサイドで合わせます。しかし、このボレーは惜しくもクロスバーを叩いてゴールにはなりません。前半終了間際には、オフサイドにはなったものの伊藤選手のパスを受けた興梠選手がMF小泉佳穂選手にパスを送り、右ポストをかすめるシュート場面も作りました。

試合が動いたのはハーフタイム後、間もなくでした。

後半も立ち上がりから相手と激しい競り合いを続ける浦和は、中盤で小泉選手が倒されてFKを獲得。キッカーの岩尾選手がペナルティエリア左に入ったDFマリウス・ホイブラーテン選手へボールを送り、ホイブラーテン選手がヘディングでゴールを狙います。すると、これがクリアを試みたカリージョ選手の足に当たってゴールに吸い込まれ、浦和が48分に先制しました。

浦和は74分にMF大久保智明選手がペナルティエリア右から、2分後に伊藤選手がミドルから狙い、追加点のチャンスを得ますが、枠をとらえることができません。

一方、2017年決勝で敗れた雪辱を期す元アルゼンチン代表FWのラモン・ディアス監督の下、1点を入れて追いつきたいアルヒラルは、後半半ばの選手交代を機に中盤の形を変えて前線に人数をかけ、浦和ゴールに迫ります。

65分にはイガロ選手がクロスに合わせ、73分には途中出場のサレハ・アルシェハリ選手がシュート。81分にはミシャエウ選手のシュートにゴール前でイガロ選手が頭で合わせます。さらに90分にはカリージョ選手、イガロ選手が立て続けに浦和ゴールに迫りますが、浦和はGK西川選手を中心に守備陣が冷静に対応し、ゴールを割らせません。

試合終盤には浦和サポーターがボリュームアップした”We are Reds!”の大チャントや大合唱で後押し。浦和は終盤の相手の攻撃も乗り切って1-0で勝利を収め、Ｊリーグ30周年の節目のシーズンにアジア王座奪還を達成しました。

浦和は2007年、2017年に続いての優勝で、2002年に始まったACLで3度の優勝は初めてです。

この結果、浦和は今夏に始まる2023シーズンのACLにプレーオフから参戦することが決定し、サウジアラビアのアルイテハド（2004年、2005年）以来となるアジア王座連覇に挑みます。なお、本戦からは昨季Ｊリーグ覇者の横浜F・マリノス、2位川崎フロンターレ、天皇杯優勝のヴァンフォーレ甲府が出場します。

監督・選手コメント

マチェイ・スコルジャ 監督（浦和レッズ）
我々には素晴らしい選手がいて、ポテンシャルもあると分かっていました。ACLという大きな舞台に臨むということで、シーズン前のキャンプからできる限りの準備をしてきましたが、そのようなハードワークの後にこの結果を手にすることができて、とてもうれしく思います。分析スタッフ全員で相手の細かなところまでチェックして、スペースを与えずに1対1でしっかりチャレンジして、コンパクトな守備をすることが重要でした。もっと攻撃的にボールをより長く保持して戦いたかったのですが、目標は優勝することでしたので、失点のリスクを冒して戦う必要はありませんでした。アルヒラルのような素晴らしいチームに勝てたことは嬉しく思います。

GK 西川周作 選手（浦和レッズ）
リーグで浦和がやっていることが試合に出たかと思います。中を締めながら、相手のサイドからの攻撃のパターンは想定内だったので、うまくコミュニケーションをとってやれていた部分が大きかったかと思います。ACL決勝が初めての選手もいるので、若手の成功体験としてACLを獲りたいと思っていました。自分も2017年に獲ったことは非常に大きかったですし、アジアに対してもその先のクラブワールドカップもそうですが、ここでやれるという自信をつければ日本代表にも入っていける選手は間違いなく、たくさんいます。自分もまだまだ目指してやっていきたいですし。その意味でも勝って成功体験として歴史に名を刻んだことは大きかったと思います。

DF 酒井宏樹 選手（浦和レッズ）
守備陣に求められるのはクリーンシートで、今日もそれを意識して試合に入りました。攻撃陣が1点とってくれると信じていましたし、それに近い展開で得点することができました。今日の浦和サポーターは特別です。これだけのサポーターが来て相手に圧をかけてくれて、頼もしさしかありません。ACLは日本に戻ってきて目標にしてきていたので、今日獲得できて幸せに思います。ただ、内容的には差があったので、チームとしてレベルアップして、こういうレベルの相手にもしっかり戦えるようにしたいと思っています。

FW 興梠慎三 選手（浦和レッズ）
2019年の決勝でアルヒラルに負けたことは一度も忘れたことがなかったですし、この日を待っていたのでリベンジできてよかったです。2019年に悔しい思いをした人たちのためにもリベンジしたかったので、勝ててよかった。アウェイを1-1で帰ってきたことで、「これは絶対に優勝しないといけない」と思っていました。ほっとしているというのが一番です。サポーターが素晴らしい雰囲気を作ってくれました。僕は慣れているつもりですが、若い選手には初めて経験する選手もいて多少緊張もあったかと思いますが、これが浦和です。ACLを3つ獲ったことは記録に残りますが、ACLを獲った年にＪリーグを獲ったチームはまだないので、そこを目指したいと思います。

ラモン・ディアス 監督（アルヒラル）
非常にタフな試合でしたが、我々はリヤドでの第1戦よりも良い試合ができました。チームは多くのチャンスを作りましたが、残念ながら得点には結びつかず、1つのミスが結果に影響する形になりました。ですが、選手たちの頑張りでここまで来ることができました。彼らのハードワークに感謝したいですし、クラブとファンにもお礼を言いたい。結果は申し訳なく思いますが、我々は王者としての気概を見せるプレーをしたと思います。来週から国内の試合に戻って、再び高いレベルの試合をしたいと思います。

YouTube(The AFC Hub):#ACL2022 FINAL - 2nd Leg - URAWA RED DIAMONDS (JPN) 1-0 AL HILAL SFC (KSA)

大会情報はこちら